所長あいさつ

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ミャンマーは5,000万人を超える人口を有し、中国・インド・ASEAN諸国に近接する地理的要衝に位置しています。1948年の英国からの独立後、政治的にはまさに紆余曲折を経て現在に至っていますが、日本のミャンマーに対する協力は1954年の「賠償及び経済協力に関する協定」に始まり、1963年には「経済技術協力協定」を締結、JICAは1981年にヤンゴンに事務所を開設しました。1988年には大規模な民主化運動が起こり、国軍による民主化運動の弾圧という状況の中で、欧米諸国はミャンマーに対する経済制裁や事務所の撤退といった動きに向かいましたが、JICAは事務所を維持しながら必要とされる人道支援や麻薬撲滅のための代替作物の栽培等を支援してきました。そして、2011年に民政移管がなされ、日本政府による対ミャンマー経済協力方針が見直され、JICAとして待ちに待った本格支援の再開が実現しました。

そうした中で、2016年3月末に発足したNLD(国民民主連盟)率いるミャンマー新政権は、経済分野では国民の生活の質の向上を最優先目標とし、農業・教育・保健医療・財政金融等を重点分野として掲げました。日本はミャンマーの信頼できるパートナーとして、同年11月に開催された日本・ミャンマー首脳会談において、5年間に官民合わせてのべ8,000億円の支援を表明、翌2017年10月には初代の青年海外協力隊員も着任しています。そして、最近ではこの大規模支援の一環として、2020年1月に入り4事業、総額1,209億円余りの円借款貸付契約が調印されました。これら4事業は、最大都市ヤンゴンを中心とした都市圏の電力、水道、その他都市環境の整備・改善を図ると共に、地方部の電力・道路・給水といった経済活動を支える基礎インフラの整備を行うもので、ミャンマー政府の掲げる国民の生活の質の向上を後押しするものです。

「アジア最後のフロンティア」と言われて大きな注目を集めるミャンマー。2011年の民政移管後、8%を超える経済成長を達成しつつも、国民和解や、独立調査委員会(ICOE)レポート及び国際司法裁判所(ICJ)・国際刑事裁判所(ICC)への対応を含めたラカイン州問題といった重い課題を抱え、民間投資促進のための法制度や更なるインフラの整備、将来のミャンマーを支える若い世代への教育や人材育成といった重要なテーマにも取り組んでいかなくてはいけません。2020年は総選挙が控えている大切な年でもあります。ミャンマーの民主的な国造りについて国際社会と一体となって支え続けていくため、JICAはこうしたミャンマー政府の取り組みに真摯に耳を傾け、何が出来るかを一緒に考え、ミャンマーにとっての信頼できるパートナーとしてODAのあらゆるツールを活用して支援していきます。そして、こうしたJICAの活動は、国際社会、経済界、アカデミア、市民社会等関係の方々との連携なしに成し遂げられるものではなく、私どもJICAは皆様からのご意見やご提案を心よりお待ちしております。皆様と共にミャンマーの発展に向けて粘り強く考え、力強く支援していく所存です。

2020年3月
JICAミャンマー事務所長
阪倉章治