所長あいさつ

ミャンマーでは、2015年11月に複数政党制による歴史的総選挙に圧勝した国民民主連盟(NLD)による政権が、2016年4月に発足しました。

ミャンマーが目指す民主化と市場経済化の成功のためには、民族間の和解を進め、豊富な資源と後発国の利点を活かし、果断に政策を決定し改革を着実に進めることが不可欠です。また、多くのミャンマー国民が高いモチベーションを維持し、自らの幸福と国の平和や繁栄に向けて努力し貢献し続けるためには、開発が包摂的に進められ、国民一人一人が主人公として活躍の場を与えられ、成果を享受できることが重要でしょう。

1954年の「賠償及び経済協力に関する協定」で始まったミャンマーに対する日本の経済協力は、近年ミャンマーの民主化の進展に伴い、新たな段階に入っています。2016年11月に開催された日・緬首脳会談では、5年間で官民合わせてのべ8,000億円の支援が約束され、2017年10月には、青年海外協力隊の初代隊員が着任しました。2017年11月の日・緬首脳会談において安倍首相は8,000億円の貢献について、「ヤンゴン都市開発」、「運輸」、「電力」を中心とした協力を加速していくことを表明致しました。また、2018年1月には河野外務大臣が就任後はじめてミャンマーを訪問し、アウン・サウン・スー・チー国家最高顧問兼外務大臣と面会するとともに、外国政府関係者として初めてラカイン州北部マウンドー地区を訪問し、ラカイン州に対するミャンマー政府の取組を最大限支えることを表明しています。日本は、ミャンマーとの間でこれまで培ってきた信頼をベースに、大規模なインフラ開発支援から、草の根レベルの支援までダイナミックで包摂的な協力を続けていきます。JICAが近隣アジア諸国への開発援助を通じて培った様々な知見や教訓をミャンマーに提供し、また日本の民間企業や地方自治体、NGOなどが持つ様々な資源のミャンマーへの活用を支援して参ります。

民主化や市場経済化は一朝一夕には達成できません。JICAは、1981年のヤンゴン事務所開設以来、これまで晴れの日も雨の日も、ODAを通じてミャンマーに対する建設的な関与を続けて参りました。新政権が発足し、改革の一歩を踏み出した今、ミャンマーが望む包摂的な開発の方向性や進め方に、JICAは改めてよく耳を傾けたいと思います。社会や経済に埋め込まれた様々な困難を克服し、新たなミャンマーらしさを自ら創り出せるよう、また新たなミャンマーらしさが、制度や人材、経済社会基盤に裏打ちされてしっかりと根付くよう、JICAは辛抱強くODAを通じて支援をし続けます。主役たるミャンマー国民が、ミャンマーの改革や開発への寄与を通じ、日本や国際経済社会の健全な発展に資するよう努めます。

JICAミャンマー事務所長
2018年2月
唐澤 雅幸