所長あいさつ

日本が政府開発援助(ODA)を途上国に供与し始めてから、昨年は60周年の節目の年でした。この間アジアの多くの国々では貧困人口が大きく減り、社会環境も大きく改善いたしました。「奇跡」と呼ばれた東・東南アジアの持続的高成長は、新興工業地域やASEAN先発国から、中国・インドやASEAN後発国などへと引き継がれ、新世紀におけるアジアの存在感は益々大きくなって来ています。

民主化と市場経済化に大きく一歩を踏み出したミャンマーもこの波に乗ろうと必死です。成功のためには民族間の和解を進め、来る選挙を自由で公正なものとすることが必要です。また豊富な資源と後発国の利点を活かし、ASEAN統合の機会と脅威を十分に見極めつつ、果断に政策を決定し改革を着実に進めることも不可欠です。多くのミャンマー国民が高いモチベーションを維持し、自らの幸福と国の平和や繁栄に向けて努力し貢献し続けるためには、開発が包摂的に進められ、国民一人一人が主人公として活躍の場を与えられ、成果を享受できることが重要でしょう。

1954年の「賠償及び経済協力に関する協定」で始まったミャンマーに対する日本の経済協力も60年を越えました。JICAミャンマー事務所は、1981年の開設以来、これまで晴れの日も雨の日も、ODAを通じてミャンマーに対する建設的な関与を続けて参りました。ミャンマーの民主化の歩みとともに、日本とミャンマーの関係も新たな発展の段階に入りつつあるいま、ミャンマーが望む包摂的な開発の方向性や進め方に、JICAは改めて良く耳を傾けたいと思います。JICAが近隣アジア諸国への開発援助を通じて培った様々な知見や教訓をミャンマーに提供し、また日本の民間企業や地方自治体、NGOなどが持つ様々な資源のミャンマーへの活用を支援して参ります。

民主化や市場経済化は一朝一夕には達成できません。主役たるミャンマー国民が、社会や経済に埋め込まれた様々な困難を克服し新たなミャンマーらしさを自ら創り出せるよう、また新たなミャンマーらしさが、制度や人材、経済社会基盤に裏打ちされてしっかりと根付くよう、JICAはODAを通じて支援をし続けます。ミャンマーの改革や開発への寄与を通じ、日本や国際経済社会の健全な発展に資するよう努めます。

中澤 慶一郎
JICAミャンマー事務所長