ひろばニュース

TICAD7アフリカビジネスセミナー開催

2019年7月9日

アフリカ進出のすすめ!

経済同友会アフリカ委員会委員長・豊田通商顧問横井靖彦氏による講演

経済同友会アフリカ委員会委員長・豊田通商顧問の横井靖彦氏から、アフリカに成長機会を見出し既に進出している日本企業の最新事例と知見を紹介いただきました。アフリカの豊富な若い労働人口(平均年齢20歳以下が人口の過半数)、急増する中間層、技術の進歩などの成長市場へのチャンスや期待感と、その一方で、未発達のインフラ、ガバナンスの問題、感染症、治安等の様々なリスク・課題をどう捉えるかという点について、1970~80年代に日本企業がアジアへ進出した当時の状況と比較して考えてみてはどうかと問いかけました。さまざまな不安を乗り越え、他に先駆けて進出した企業に共通することは、思い切って早いうちに現地に飛び込み、学び・経験を得ることの意義、トップが自ら決断し、成功させるという強い想いを持って取り組むことの重要性、そして、現地パートナーや日本の政府機関や国際機関との連携によりチャンスを活かし、リスクを上手くコントロールしていることと説明しました。

アフリカ進出企業体験談-タンザニア-

会場の様子

JICAタンザニア事務所の山村所長は、東アフリカの地理的利点はアラブ・インド世界につながるインド洋経済圏の西端であり商圏をアフリカ以外にも広く持てること、また、タンザニア国内を走る中央回廊は国内および隣国の主要都市間を結んでおり物流の利便性が高く、タンザニアが経済成長ポテンシャルの高い国であると紹介しました。

セントパーツ株式会社(岐阜県羽島市)代表取締役の種谷謙一氏は、東アフリカにおける中古車市場の大多数を占めている日本車の流通に目を付け、2015年にタンザニアに進出し、自動車中古部品の輸出販売業を、2018年から整備事業も開始しました。今後はJICAの中小企業・SDGsビジネス支援事業を活用して、タンザニア人整備士の育成と起業・独立支援を通してタンザニア自動車産業への貢献を通じ、自社のビジネス領域を拡大していくと決意を述べられました。

アフリカ進出企業体験談-ブルキナファソ-

JICAブルキナファソ事務所の小林所長は、ブルキナファソへの進出企業はフランス・レバノンのような伝統国やインド・中国など新興国から企業が多く、日系ではヤマハ発動機の自動二輪組立工場があることや、製造業が未発達なサブサハラアフリカにおいてはFDIが重要であると考えられ、日本企業に対する期待が高いことを紹介しました。

株式会社秀農業(愛知県一宮市)代表取締役の加藤秀明氏は古くからイチゴ栽培がおこなわれているブルキナファソでJICAの中小企業・SDGsビジネス支援事業を活用し、同国のイチゴの産地調査を実施し、現地で日本品質のイチゴ栽培の可能性を確認しました。今後は栽培技術の実証事業を目指し、将来的にはジャム等の加工品を含めてブルキナファソ国内外に展開していきたいと述べられました。

アフリカ進出企業体験談-セネガル-

JICAセネガル事務所の小森所長は、海に囲まれた首都ダカールの街並みや、セネガルでは漁業が盛んであることや、コメの消費量が日本よりも多いことなどを背景に、ヤマハ発動機株式会社(FRP漁船)やカゴメ株式会社(トマト栽培・加工)など、農水産業での日本企業の進出が進んでいることを紹介しました。

ヤマハ発動機株式会社(静岡県磐田市)海外市場開拓事業部国際協力グループの中村彰氏は、セネガルで25,000隻以上ある木造漁船をFRP(繊維強化プラスチック)化し、零細漁民の航行・操業の安全と鮮度・品質向上による収入拡大を図るビジネスを目指していること、2016年からJICAの民間連携制度を活用し市場調査を実施し、現在はFRP漁船の現地生産体制の構築と人材育成、販売段階におけるファイナンスの構築などビジネスモデルを磨き上げ、2019年度内には事業化の判断をする予定であることを述べられました。

日本企業のアフリカ進出支援プラットフォームの紹介

日本企業のアフリカ進出機運の高まりを後押しすべく、国連開発計画(UNDP)のTICAD連携専門官の近藤千華氏は、JICAおよび日本貿易振興機構(JETRO)、国連開発計画(UNDP)の連携による進出支援について発表しました。

アフリカからの留学生との交流会

アフリカ人留学生との交流会の様子

セミナー終了後は日本企業のアフリカ進出の水先案内人となるべく、日本に留学中のアフリカ人留学生との交流会が開催されました。帰国後も日本企業に就職希望を持つ留学生とアフリカ展開を目指す参加企業との情報交換やマッチングを目的に開催された交流会ですが、インターンシップが決まるなど双方にとってよい出会いの場となりました。

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