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国民の5人に4人は肥満体・トンガ

国民の5人に4人は肥満体・トンガ

南太平洋に浮かぶ、エメラルドブルーの海に囲まれた島国、トンガ王国。約170もの島々から成るこの国は、太っている人が多いことでも有名です。どのくらい太っている人が多いかというと、国際共同研究「GBD研究2013」のデータによると、男女ともに肥満率は世界で第一位。約8割以上の人が肥満であると報告されています。トンガとは、いったいどのような国なのでしょうか。

 

※参照
http://kenko100.jp/articles/140625003019/#gsc.tab=0
http://blog.pic.or.jp/modules/bulletin/index.html?page=article&storyid=1444

 

 

遠くて近い国、トンガ

トンガ冒頭にもご紹介した通り、トンガはポリネシアに位置する島国で、南太平洋の国々のなかでもこれまで植民地になっていない珍しい歴史を持った国です。国土は720平方キロメートル。日本の市町村で例えると、北海道石狩市や山口県下関市と同じくらいの大きさの、国土という面ではそれほど大きくはない国。日本からは直行便は出ておらず、行くとしたらフィジーやニュージーランドから乗り継いでいかなければなりません。ただ、国交という点では、日本とトンガの距離は近く、2015年には皇太子ご夫妻が訪問しトゥポウ6世国王の戴冠式に参列するなど、30年以上前から両国の交流は定期的に行われています。また、日本からの援助は、2016年6月時点で、トンガの近隣国であるオーストラリア、ニュージーランドに続き第三位。無償の資金協力や技術協力など、トンガの発展に寄与しているのです。普段はなかなかその国名を聞く機会はありませんが、実は日本とトンガは「見知らぬ遠い国」というわけではなく、国交を温め続けている国なのです。

 

 

トンガが“肥満大国”になったワケ

トンガでは、なぜトンガは肥満大国となっているのでしょうか。実はそれには理由があり、まずトンガの生活文化として、「分け与える」という習慣があります。これは、誰かが食事を摂っている時は、周りの人にもシェアするというもの。トンガの人々の心の優しさをと慈悲深さを感じる文化ではありますが、そのために規則正しい食生活のバランスが崩れ、つい食事を摂りすぎてしまうことによって肥満が加速してしまうようです。また、トンガの主食はタロイモやヤムイモなどのイモ類。たくさん食べればそれなりにカロリーがあります。また、肉類もとても充実しています。そこに近隣諸国から輸入された近代的な高カロリーな加工食品が加わることによって、国民の摂取カロリーは着実に増加。現在の肥満大国としてのトンガが誕生したというわけです。
現在、トンガでは国を挙げて肥満解消に乗り出している最中です。国民の生活習慣の見直しや健康被害への啓蒙活動などを行っていますが、根付いた文化はすぐに変えることはできません。人に食事を分け与えることが当たり前のトンガの文化。この美しい文化を残しつつ国民の健康を守るために、トンガでは少しずつ国民の意識と生活習慣を変えていこうとしているのです。

 

 

 

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