
世の中にはたくさんの生物がいますよね。目に見えないほど小さなものから、象やキリンのように大きなものまでさまざまです。今回は、「生物多様性」について考えてみましょう。「生物多様性」というのは、人間などの動植物から、菌類などの微生物まで、地球上に生息するすべての「いきもの」たちが支えあいバランスを保っている状態のことをいいます。地球上には、さまざまな環境に適応して進化した3,000万種ともいわれる多様な「いきもの」が生息しているのです。
「生物多様性」には、大きく3つのレベルに分類することができます。1つ目の「生態系」ですが、たとえば森をイメージしてみてください。森には木が生えており、季節によって、木は葉や花や実をつけます。葉は秋になると枯れて地面に落ち、生き物の餌になります。生き物はふんをして、そのふんが微生物のえさになり、やがて木の栄養になります。つまり、木は自立しているのではなく、さまざまな生き物とのかかわりによって相互が依存し、共生しているのです。気候や地質などの自然環境によって異なるこの生き物のかかわり方を「生態系の多様性」と呼びます。
続いて「種」ですが、これは動植物から細菌などの微生物にいたるまで、いろいろな生き物がいることを「種の多様性」と呼びます。動物で125万種、植物で30万種といわれています。生き物は、長い時間をかけて環境に対応するため進化していくうちに、突然変異などで種が分かれると考えられています。
最後に「遺伝子」ですが、例えば農作物などで遺伝子がまったく同じ植物を栽培していると、特定の病気の発生や気候の変化によって全滅してしまいます。それぞれが異なる遺伝子を持っていれば、個体によって耐性は変わってくるため、全滅を防ぐことができます。あらゆる環境変化に対して、生物は多様性を持つことによって生存率は高まり、絶滅の危機を避けられるのです。
私たちが当たり前だと思っていること。毎日の食事や医療、産業、文化に至るまで、自然の恵みがなければ成り立ちません。生物多様性のたくさんの恵みによって、私たち人間の暮らしが支えられています。
また、生物多様性によって美しい自然環境が守られています。例えば山の木をすべて切ってしまえば、木によって生態系を守っていたほかの動植物も生きていくことができなくなります。また、山は地面に水をためこむ力が弱くなり、急激な大雨が降った時に土砂崩れになる可能性が出てきます。豊かな生活を送るうえで、生物多様性を考えることは重要なことなのです。
WWFジャパン公式サイト「生物多様性」特集
http://www.wwf.or.jp/biodiversity/