
ブルネイの首都・バンダルスリブガワンを流れるブルネイ川の上には、集落が広がっています。この集落は42の村と人口4万人弱が住んでいる巨大集落で、世界最大規模といわれています。集落の名は「カンポン・アイール」。600年以上の歴史があると考えられています。
そもそも、ブルネイの人口は40万人。「カンポン・アイール」に住んでいる人は4万人弱なので、実に国民の1/10の人たちがこの水上集落に住んでいるということになります。それだけ、ブルネイのなかでは大きな集落だということが分かりますね。
では、「カンポン・アイール」に住む人々はどのような生活を送っているのでしょうか?「川の上に住んでいる」と聞くと、どうしても原始的な生活をイメージしてしまいますが、「カンポン・アイール」では生活に必要な電気や水道ももちろん通っており、インターネットも可能です。それどころか、暑い国なのでクーラーも設置されている家が多いのです!川の上に建っているという点が変わっているだけで、近代的な設備を持つ普通の街なのです。
それだけ多くの人が住んでいるということは、当然学校もあります。もちろん警察もお店も病院も。生活に必要な建物はひととおり揃っており、村や各建物は歩道橋でつながっています。さすがに水上なので、道路はありません。移動は水上タクシーを使い、集落の各所に設置されている船着き場を行き交っています。
「カンポン・アイール」があるブルネイとはどんな国なのでしょうか。ブルネイは東南アジアにある5,770平方キロメートルの小さな国です。国の大きさは日本の約1/65くらい。国の面積は小さいけれど、その国土からは石油や天然ガスが豊富に採れるため、実はとってもお金持ち!もちろん日本も天然ガスをブルネイから輸入しています。ブルネイの王様であるボルキア国王は、「世界一の富豪」としてギネスブックに載ったことがあるくらい、とても豊かな国なのです。
経済が豊かなので社会福祉にも力を入れており、日本では当たり前の所得税、住民税もありません。そして医療費も教育費も基本的に無料です。「カンポン・アイール」が近代的な理由のひとつは、経済的に国が豊かだったからなのですね!
経済的に豊かなブルネイではありますが、敬虔なイスラム教国でもあります。そのため、街にはモスクが建ち、イスラム教徒への「金曜礼拝への不参加」「ラマダン(断食月)中の断食破り」には刑罰が下されます。もちろんお酒は飲みません。お金持ちだけれど戒律に厳しく平和な国、それがブルネイなのです。
2014年、日本とブルネイは外交関係樹立から30周年を迎えました。日・ブルネイ友好30周年のロゴマークは、ブルネイの国花「シンプール」と日本の国花「サクラ」をイメージしています。
実は日本は東日本大震災の時に、ブルネイ政府から100万ドルの寄付と民間からの義援金、そして天然ガスの緊急調達などの支援を受けました。日本にとってブルネイは、天然資源の貿易相手国としてだけではなく、大切なパートナーとしてこれからも有効な関係性を築いていく必要があるのです。