ネパール国迅速かつ公平な紛争解決のための裁判所能力強化プロジェクト:第4回本邦研修を終えて

2016年1月18日

裁判所能力強化プロジェクト(通称SCCプロジェクト)は、大阪にて2015年11月30日から2週間の研修を開催し、日本側とネパール側でネパールの司法制度改善のために活発な議論が行われた。同プロジェクトは、ネパールの裁判所における事件管理及び司法調停制度の改善・利用促進に取り組んできた。本研修は、この取組みの一環として行われたものであり、ネパール最高裁判事2名をはじめ、20名の裁判官、弁護士、裁判所職員が参加した。研修は法務省法務総合研修所(ICD)の全面的な協力のもとに行われ、本プロジェクトに当初から携わっているアドバイザリーグループ(AG)の吉野孝義教授(大阪大学・元大阪地方裁判所長)、稲葉一人教授(中京大学・元裁判官)も全体を通じて貴重なコメントを下さった。

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日本側からは日本の民亊事件管理や調停制度について説明があり、これに対してネパール側から様々な質問があった。ネパール側からは1)裁判所から見た事件管理(特に現行のカレンダーシステム)、2)弁護士から見た事件管理の問題点、3)現在作成中の裁判官向け調停ガイドラインの内容・検討課題について三つのプレゼンテーションが行われた。

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また、事件管理について大阪地方裁判所民事部、調停について同地裁調停部及び民間総合調停センターをそれぞれ視察し、各所で裁判官や調停員との意見交換も行った。本プロジェクトの高次目標が司法アクセスの確立にあるため、日本司法支援センター大阪地方事務所及び法テラス大阪法律事務所も視察した。

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今回の研修の特色はディスカッションに重点を置いたことである。研修の後半は、各プレゼンテーションや講義・視察の結果に基づき、日本側実務の中でネパールの裁判実務に活かせる内容や、ネパールの現状の改善課題について日本側AGを交えて活発な意見交換が行われた。特に司法調停については、調停ガイドラインの内容について、ネパールの現行法制度を前提として裁判官がどの程度積極的に調停に関わることができるか踏み込んだ議論が行われた。事件管理についても現行制度の中で裁判所がより積極的にスケジュール管理を行う可能性や、そのために弁護士会等と協議を行うことの必要性が検討された。

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本邦研修の成果はネパール側研修員によって報告書にまとめられている。その中には、調停ガイドラインの制定や事件管理の改善点等について、詳細かつ具体的な報告・提案がいくつも提示されている。今後、プロジェクトにおいて、各提案内容の実現に向けた支援計画を立てる予定である。

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