【開催報告】2016年度教師海外研修ガーナ派遣 報告会(3月4日)

JICA二本松の教師海外研修、2016年度の派遣国はアフリカ・ガーナ。福島県の学校の教員8名が8月ガーナでの研修を受けた。先生方がガーナの素材を活かし帰国後にどんな授業を実践されたのか報告いただいた。報告内容となる「授業実践報告書」は本ページ下部から閲覧・ダウンロードできる。

2017年3月7日

序文  野口英世博士の夢の大地、アフリカ・ガーナへ!

報告会チラシ

ガーナの首都アクラにある野口英世博士の銅像と。

カカオ畑
(テテクワシ農園視察時の写真)

頭の上に物を乗せて手ぶらで歩けるガーナ人のバランスに一同驚嘆。チャレンジしてみた。

 教師海外研修はJICAが毎年実施している教員向けの海外研修。青年海外協力隊をはじめとした国際協力の現場を視察し、そこで得た知見を日本での授業に生かしていただくプログラムである。
 2016年度、JICA二本松が実施する教師海外研修の研修国はアフリカ・ガーナ。福島県から8名の教員が7月30日〜8月10日の派遣に参加した。



〜〜〜野口博士の夢の大地〜〜〜
福島人にとって「ガーナ」といえば野口英世博士。福島県猪苗代町出身で、黄熱病の研究中にガーナの首都アクラで没した。今回ガーナの教師海外研修に参加した先生方には「母校の校歌の歌詞に野口博士があった」と話す先生もいる。そういった「地元が生んだ偉人」というネタや、実際にガーナで出会ったチョコレートの原材料カカオ豆の農場とそこで働く人、温かく陽気なガーナ人、そこで活躍する青年海外協力隊員やJICA職員達。様々な教材と出会った。


 ガーナへの渡航は日本の学校が夏季休暇の8月。帰国後の2学期からそれぞれの教育現場では先生方が何をどう実践し、そして子ども達は何を学び成長したのかをレポートいただく報告会を3月4日(土)、郡山市で一般公開にて開催し県内から38名の参列者が集った。国際理解教育やアクティブラーニングに関心の高い教員をはじめ、ガーナに渡航した先生のご家族や教え子の高校生等が参集した。



■報告会
プログラム
○日程:2017年3月4日(土)開場13:00 開会13:30 終了15:30 自由意見交換〜16:00 閉場16:00
○場所:ビッグパレットふくしま3Fの「小会議室2」



※教師海外研修 年間日程
■海外研修(ガーナ国派遣)2016年7月30日から2016年8月10日まで(現地滞在7月31日から8月9日)
■事前研修 3回(6月11日、6月25〜26日※、7月23日)
※「ふくしまグローバル人材育成指導者セミナー」に参加
■事後研修 2回(9月3日、9月24日〜25日※)
※「ふくしまグローバルセミナー2016」に参加
■授業実践 帰国後から随時参加教員の各所属校にて。

報告会の様子

報告はポスターセッション方式

38名の参列者が集った。

報告は複数箇所で同時進行

ガーナで教材として購入した楽器。マラカスだが日本でよく見られるものとは形が違った。

 参加教員からの報告は、先生方が報告会に来られた方々との対話・質疑応答を重視したため、4か所にブースを設け同時進行で実践内容を報告するポスターセッション方式で行われた。参集者は報告内容がまとめられたポスターや写真を見ながら各教員の報告を見学した。

 「私の母校の校歌では野口博士が歌詞になっていました」と話す喜多方市立松山小学校の岩本教諭は、知的にハンディキャップのある子たちが入る特別支援学級を担当している。椅子に座っていると背筋が丸まって姿勢が崩れがちになるため、背筋・腰をしっかり伸ばす「立腰教育」も大切だそうだ。そこで岩本教諭は、ガーナ人が頭の上に荷物を乗せて手ぶらで歩いている写真やビデオを見せて、児童達にも同じことをやらせてみた。すると子ども達も頭に物を乗せて歩こうとすると自然と背筋が伸びるのを実感したそうだ。「普段見慣れないアフリカの景色やガーナ人の写真は子ども達の食いつきが抜群です」と話した。

 また、ガーナで数学の教科書を買い求めた福島県立いわき総合高校の横田教諭は、因数分解の解き方が日本とガーナで解き方が違うことを発見。日本の教室で自分の生徒達にガーナ式で因数分解を解いてもらう等、ガーナの素材で「数学的・論理的な思考」にも道筋が一つではないことを実感してもらい多角的に考える力を養った。

 石井教諭が所属する二本松市の福島県立安達高等学校は「ユネスコスクール」に認定されており、国際理解教育・国際交流活動に大変熱心な高校だ。石井教諭は顧問を務める自然科学部で、ガーナから連想することの「マインドマップ」を作成したり、フォトランゲージの手法を用いて日本とガーナの違いを探す機会を設けた。生徒達は初めは「貧しい国」から連想される負の印象が強かったそうだが、石井教諭の体験談や写真からガーナの人々の楽しそうで陽気な様子にも気づいたという。安達高校ではJICA二本松の「出前講座」で青年海外協力隊員を複数名呼んだ講演会も開催していて、学校を挙げた国際理解教育の実践が報告された。

 児童数の少ない小規模校の南会津町立舘岩小学校の藤教諭は、子ども達の住んでいる環境が自然豊かではあるがどの子も概ね同じ環境で育っていることに注目し、様々な価値観や立場や考え方があることを伝えようと、「違いの違い」ゲームを自作した。
 「違いの違い」とは国際理解教育でよく用いられるゲームで、「●●をする時に、○○国では△△をするが、□□国では××をする」と様々な違いを比較する。そして双方の違いが「あっていい違い」か「あってはならない違い」かを話し合うゲームだ。
 藤教諭が作成した「違いの違い」では、例えば「食事の時、日本では箸を使いますが、ガーナでは手で食べます」とお題を出すと、子ども達からは「スプーンは使わないの?」「食べ方が違うだけで、あってもいい違い」「手洗いはしないの?」等々、様々な意見が出る。
 「お客様が来る時は日本ではお寿司や焼き肉を食べることがありますが、ガーナではネズミのシチューを食べます」というお題では、子ども達全員びっくり。食用ネズミの一種である「グラスカッター」の写真を見せると「気持ち悪い」と言う子もいたという。藤教諭が「ガーナでは私たちが行く何時間も前から村の皆さんが準備してくださっていたんだよ。とてもおいしかったですよ」と紹介したところ、食べるものは違えどお客様に喜んで欲しいという「おもてなしの心」はガーナも日本も共通だと気付いたそうだ。

 それぞれの教科や学年や環境に応じて、各教員充実した授業実践内容を報告した。

【お知らせ】参加教員 授業実践報告書

 授業案や教材をまとめた参加教員8名の報告書を下記からダウンロードできます。国際理解教育のお手本としてぜひご覧ください。

■報告書の冊子が欲しい方には郵送いたします。また、本ページ掲載内容・教師海外研修全体、取材等についても下記にお問い合わせください。


JICA二本松
電話番号:0243-24-3200(教師海外研修担当)
Eメール:jicanjv@jica.go.jp(なんでも相談窓口)