【開催報告】ふくしまグローバル人材育成指導者セミナー2017

(公財)福島県国際交流協会とJICA二本松の共催で、「ふくしまグローバル人材育成指導者セミナー2017」を6月17日(土)〜18日(日)の1泊2日で開催した。昨年に引き続き第2回目となる。アクティブラーニングの手法のエッセンスを学んだ。

2017年6月19日

開催概要

開会式

基調講演

参加者同士の交流(食事)

タンザニア料理
(初日の昼食)

ベトナム料理
(2日目の昼食)

閉会式
JICA二本松の洲崎所長が挨拶

■開催概要
・2017年6月17日(土)10:00〜18日(日)15:00
・会場:JICA二本松青年海外協力隊訓練所
・主催:(公財)福島県国際交流協会
    JICA二本松
・後援:福島県、福島県教育委員会
※募集対象:学校、公民館、青少年団体、国際交流協会等において若い世代の指導や研修企画等に携わる方。その他分野を問わずグローバル人材育成に関心のある方(大学生以上)

■日程
初日6月17日(土)
10:00 開会あいさつ 
10:10 基調講演「グローバル人材とアクティブラーニング」
 講師:田中治彦さん(上智大学総合人間科学部教育学科教授)
12:00 昼食交流会(タンザニア料理)
13:00 演習「異文化間コミュニケーション〜動機づけ」
 講師:川口立喜さん(会津大学グローバル推進本部国際戦略室准教授)
14:10 演習「異文化間コミュニケーション〜実践」
 講師:川口立喜さん(会津大学グローバル推進本部国際戦略室准教授)
15:20 実践報告
 報告者:福島県立郡山高校 吾妻 久さん
     福島県立安達高校 石井伸弥さん
16:30 国際理解教育リソース紹介
 JICA二本松
 福島県国際交流協会
18:00 夕食
19:30 演習「教材体験:サッカーボールづくり」
 講師:JICA二本松スタッフ
23:00 消灯

二日目6月18日(日)
6:30 二本松青年海外協力隊訓練所・派遣前訓練模擬体験「朝の集い」(国旗掲揚、ラジオ体操、ランニング)
7:00 朝食
8:20 朝のアイスブレーキング(体のストレッチ)
8:30 演習「初日の振り返りと学習プログラムの作成」
 講師:木下理仁さん(かながわ開発教育センター事務局長)
12:00 昼食(ベトナム料理)
13:00 演習「学習プログラムの発表と2日間の振り返り」
 講師:木下理仁さん(かながわ開発教育センター事務局長)
14:45 閉会
15:00 解散

各講座の内容と様子

■基調講演「グローバル人材とアクティブラーニング」
 講師:田中治彦さん(上智大学総合人間科学部教育学科教授)

「異文化間コミュニケーション〜動機づけ」と「実践」講師:川口立喜さん(会津大学グローバル推進本部国際戦略室准教授)

実践報告を行った吾妻先生

実践報告を行った石井先生

「教材体験:サッカーボールづくり」

二本松青年海外協力隊訓練所・派遣前訓練の模擬体験「朝の集い」

2日目の朝のアイスブレーキング

「初日の振り返りと学習プログラムの作成」「学習プログラムの発表と2日間の振り返り」講師:木下理仁さん(かながわ開発教育センター事務局長)

福島県内から、様々な異文化間コミュニケーションのやり方を体験的に学びたい方、国際理解教育に関心のある方、教育現場で国際理解教育を実践していて更にスキルを高めたい方24名が集った。

■演習「グローバル人材とアクティブラーニング」
 講師:田中治彦さん(上智大学総合人間科学部教育学科教授)
 内容:今回2日間のセミナーの基調講演として行った講座で、グローバル人材とは何か、「開発教育」や「ESD」という用語が何かとそれぞれの特徴、アクティブラーニングという学び方のそもそもの目的や特長等が体系的に解説された。
 受講者が主役の位置付けで意見を引き出していく「ファシリテーター」の手法や極意も紹介された。田中氏によると、ワークショップやファシリテーションの手法の数は限られているので、やること自体はハードルは高くないが、広い知識と知見・洞察力の裏打ちが必要となってくるので、「間口は狭いが奥行きは深い。要るのは少しの勇気」とのことだった。
 グローバル社会での「居場所」という概念が紹介された。地域社会やビジネスレベルで、グローバリゼーションの流れの中でも、「学びほぐし、学び直す場としての個人の『居場所』」が必要で、その居場所で創造的な仕事をしたり、困難な時にはその居場所に避難したりできるという、居場所の重要性も説かれた。
 受講者からは「居場所の概念や開発教育といった用語を初めて耳にして勉強になった」という感想が聞かれた。

■演習「異文化間コミュニケーション〜動機づけ」
   「異文化間コミュニケーション〜実践」
 講師:川口立喜さん(会津大学グローバル推進本部国際戦略室准教授)
 内容:基調講演をベースに、異文化間コミュニケーションの様々な手法とその使い方のコツや考え方が紹介された。例えば、”伝えることがいかに難しいかを実感させる手法”では、身振り・手振りだけで伝える伝言ゲームをした。スタートは「ハンバーガー」。最初の人はそれを言葉を使わずに身振り手振りで次の人に伝える。すると10人程先の最後の人では「鏡餅」になっていたりする。また、別のゲームではペアを作り、片方の人だけが「新幹線」の写真を見て、「新幹線」という固有名詞を使わずに色・向き・窓の数など特徴を説明する。もう片方の人はそれを聞きながら、何について説明されているのかを想像しながらスケッチする。
 講師の川口氏は随時コツや他の展開方法を紹介した。伝言ゲームでは、「ハンバーガー」という名称を言わずに言葉だけで特徴を説明していくパターン。また、説明を聞いてスケッチするゲームでは、「新幹線」のようなお互い知っているモノではなく全くの異文化間の人同士で片方の人だけが知っている物を英語で説明する場合等、後日、受講者自身が自分でこういった国際理解教育のワークショップを行う際のネタとして使える様々な手法が紹介された。

■実践報告
 報告者:福島県立郡山高校 吾妻 久さん
     福島県立安達高校 石井 伸弥さん
 内容:吾妻さんはモンゴルに、石井さんはガーナに、それぞれJICA二本松の「教師海外研修」で途上国に派遣された経験を持つ教諭だ。また、2人とも昨年の本セミナー「ふくしまグローバル人材育成指導者セミナー」に参加している。その2人から、昨年度どのような授業実践をしてきたかを紹介いただいた。2人のそれぞれの着眼点や経験で得た知恵が紹介され、受講者同士の交流の時間となった。
 吾妻先生は高校教諭だが、福島県国際交流協会に登録している出前講座の講師として小学校をはじめ県内各所に出向いていて、国際理解教育の授業には相当数の経験がある。中高生の場合だとJRC部のような部活単位で国際理解教育に取り組める場合や、役割分担を決めてシミュレーションする「ロールプレイング」という手法は小学生の場合だと概念が理解されにくくて使いにくい、といった様々な事例や体験談が紹介された。
 石井先生の所属する安達高校はユネスコスクールで、学校を挙げて国際理解教育に力を入れている。石井先生自身は物理が専門で、物理は一つ一つの事象に必ず「なぜ?」と問いかけることが必要な学問だという。国際理解教育では例えば生活の風景でも祭事でも、異文化の写真を見せると「なぜこうしているんだろう?」という疑問を考えさせやすい。国際理解教育の力で「なぜ?」と"疑問を持つ力"を養い、本業である物理の授業に活かしたいと想いを語った。

■演習「教材体験:サッカーボールづくり」
 講師:JICA二本松スタッフ
 内容:初日の夜となるこの講座では、体育館で軽く体を動かす講座が実施された。あるシニア海外ボランティア(小学校教育)が、カメルーンで体育の授業の教材として、生徒達が手作りしたボールを使った事例が紹介され、ペットボトルと新聞紙と布テープでサッカーボールを作った。そのボールを使っていくつか遊び方が紹介された。

■「朝の集い」
 内容:二本松青年海外協力隊訓練所・派遣前訓練の模擬体験として国旗掲揚、ラジオ体操、ランニングを行った。

■演習「初日の振り返りと学習プログラムの作成」
   「学習プログラムの発表と2日間の振り返り」
 講師:木下理仁さん(かながわ開発教育センター事務局長)
 内容:初日の様々な情報のインプットを受け、アウトプットするのが二日目のプログラム。午前中は、初日に学んだことが何だったかを洗い出し、木下氏からも新たにワークショップの代表的な手法とそのコツが紹介された。
 午後にかけて、受講者が今度は「自分自身が講師として国際理解教育の講座を行う」と仮定し、授業案を作った。教材は動画。インターネット上で、使用可能な教材として公開されている動画の中から、好きな動画を選び、それを使ってどんな授業ができるかの学習プログラム作りをした。動画を使う利点は、どんな状況なのかを受講者に一瞬で理解させられることと、状況が目で見てわかるので受講者の間で理解度の差が生じにくいことだという。そのため、動画を見せてから授業をしたり、授業の合間に動画を挟んだりなど、動画が強力なツールであるとのことだ。
 参加者は2日間で得た手法を基にプログラムを作り、最後にお互いのプログラムを発表しあった。



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