【開催報告】『ふたば未来学園JICAグローバルキャンプ2017』

文部科学省「スーパーグローバルハイスクール(SGH)校」の福島県立ふたば未来学園高校、ユネスコスクール加盟校であり二本松市の福島県立安達高校の2校合同の宿泊研修を開催し、高校生137名がグローバルリーダーとなるための各種講座を受講した。2017年度に引き続き3度目の実施。全員笑顔で修了!開催概要を掲載する。

2017年12月11日

ふたば未来学園・安達高校の合同宿泊研修

閉会式の後の全員集合写真。
皆笑顔で無事終了!
前列中央にはJICA二本松洲崎所長。

会場は「いわき海浜自然の家」
福島県いわき市

初日の開講式で挨拶を述べる和田教頭(ふたば未来学園)

初日開講式で挨拶を述べる千葉教諭(安達高校)

 福島県双葉郡広野町に位置する「福島県立ふたば未来学園高校」は福島第一原発事故の影響で避難を余儀なくされた生徒・学区をまとめて2015年4月に新規開校した学校だ。文部科学省SGH(スーパー・グローバルスクール)指定校で「原子力災害からの復興を果たすグローバルリーダーの育成」を掲げている。
 また、JICA二本松の地元・二本松市の安達高校はユネスコスクールの加盟校で、学校を挙げて国際理解教育を推進しており、これまでJICA二本松に何度も足を運んでくれている先生方や生徒がいる。
 2校の合同宿泊研修が2017年12月6日〜8日の2泊3日で行われ、JICA二本松は各種講座の総合プロデュースを担当。高校生137名が受講した。

■行事名称
ふたば未来学園JICAグローバルキャンプ2017
〜未来の「変革者たち」〜
■主催
福島県立ふたば未来学園高校
(文部科学省スーパーグローバルハイスクール(SGH)認定校)
■日程
2017年12月6日〜8日(2泊3日)
■会場
福島県いわき市「いわき海浜自然の家」
■参加生徒
福島県立ふたば未来学園高校 1学年全員、福島県立安達高校1〜2年生。また、富山県のSGH校である高岡高校から代表生徒2名が1泊2日の体験参加。
総合計137名

 研修には、JICAの青年海外協力隊経験者やJICA二本松と縁のある各界の著名人が講師を務めた。また、JICA二本松の派遣前訓練から「地球のステージ」や「貿易ゲーム」等、高校生向けにアレンジした訓練模擬体験も実施。生徒を引率したある教員からは「毎回、生徒たちの「急」成長を間近で見られるのが嬉しい限りです。」とコメントをいただいた。

研修プログラム

会場「いわき海浜自然の家」

講座「異文化理解」

食べ盛りの高校生には嬉しいバイキング形式の食堂

食堂

講座「フィリピンの防災・災害対策から日本の防災について知る」

講座「メディアリテラシー〜世界の読み解き方」

講座「エネルギー問題について」

2日目朝

講座「貿易ゲーム」

講座「貿易ゲーム」

講座「貿易ゲーム」

講座「貿易ゲーム」

講座「途上国におけるビジネスを活用した地域振興事例」
「浪江焼きそば味のふりかけ」が投票で1位だった。

講座「途上国におけるビジネスを活用した地域振興事例」

「地球のステージ」

「地球のステージ」

「調査手法(青年海外協力隊の派遣前訓練の模擬体験)」

発表準備

各班の発表「より良いふたば未来学園ライフを作ろうミニ・プロジェクト」

各班の発表、二本松市の安達高校生は「より良い安達高校ライフを作ろうミニ・プロジェクト」

JICA二本松洲崎所長から修了証書授与

修了証書を受け取ったら制限時間20秒で「これからのわたしのaction」スピーチ(ふたば未来学園生徒)。20秒より短くも長くもならないようにという条件で全員の前でスピーチした。

「これからのわたしのaction」スピーチ(安達高校生徒)

初日と比べ表情がぐっと引き締まって大人っぽくなった生徒達を前に洲崎所長が閉講式で挨拶

■日程
2017年12月6日〜8日(2泊3日)

■初日
1.開講式

2.講座「異文化理解」
〜狙い:ものの見方は1つではなく、立場によって変わることがあることを理解し、物事を多面的に見て判断する力を身に付け、福島が世界からどう見られ思われているかについて考えるきっかけをつくる。〜
講師:幕田順子氏(元青年海外協力隊ザンビア派遣,福島県国際交流協会主任主査)
■3日間のまず最初に行われたこの講座。ペアワークを多用しながら、3日間の研修に臨む姿勢作りを行った。「一番印象に残った講座」と感想に書く生徒もいて、物事を多面的・多角的に見る判断力や視野を拡げる様々なヒントを学ぶことができた。


3.昼食


4.講座「フィリピンの防災・災害対策から日本の防災について知る」
 〜狙い:フィリピンで「防災・災害対策」で活動した羽田氏の体験から途上国における事例を学ぶ。世界の防災についての考え方と取り組み方を通して、今自分にできることを考える。
羽田 達矢氏
■羽田講師は2015年度1次隊でフィリピンに派遣され、派遣前訓練はJICA二本松訓練所に入所していた。当時の修了式では隊員代表謝辞も務めた仲間達からも信頼篤い隊員だ。「防災・災害対策」として活動。東日本大震災・原発事故の被災地では防災・災害関連の職に就くことを希望する生徒が多く、この講座ではフィリピンで多い台風被害やその対策の具体的な方法が紹介され、日本以外の国での防災知識について学んだ。


5.講座「メディアリテラシー〜世界の読み解き方」
〜狙い:国際ジャーナリストとして名高い講師を迎え、紛争地域の様子やその中でのメディアの在り方や読み解き方を知る。メディアの特徴、強み、影響や功罪があるかを知り、報道の読み解き方を学ぶ。講座を通し、福島復興のためを念頭にどんな発信をするといいと思うか考える。

講師:野中章弘氏(アジアンプレスインターナショナル代表)
■冒頭「メディアは『ウソ』をつく」と野中講師。発信する側の意図によって、どの場面をどう見せるかで見る側の受け取り方が全くことなるように恣意的に報道が出来てしまう。だからこそメディアの読み解き方を知らないといけない、と話した。その例として野中氏が中東など世界各地で取材し報道した紛争地現場の様子を教材に視聴。子どもを失い泣き叫ぶ親の映像も生々しく上映され、今も戦争は起き続けていることを実感した。
 読むべきメディアとしては新聞が推薦されていた。新聞は各紙で紙面構成が違うとはいえ、どの新聞も必ず訓練されたプロの記者が事実かどうかを確認した上で記事を掲載する。活字を読むことで想像力も鍛えることができる。学校の図書館でぜひ新聞を読んでくださいと講師は話した。
 報道の見方や戦争の現実について考えた講座となった。


7.夕食


8.講座「エネルギー問題について」
 〜狙い:地震で同じように被害を受けたネパールの学校に、ソーラーパネルを用いて貢献している活動を紹介していただき、再生可能エネルギーの発展の可能性について考える。〜
■この講座はJICA二本松ではなくふたば未来学園高校が講師手配をし実施されました。


9.課題・宿題/入浴/身辺整理/就寝




■2日目
1.起床・朝食・身支度
 講座は早速8:30から開始だ。


2.講座「貿易ゲーム」
〜狙い:架空の国を作り経済活動(売る・作る・交渉する等)をしてみるシミュレーションゲーム。世界経済の動きを疑似体験し、貧困格差等の諸問題について考える。〜
 講師:JICA二本松職員
■各グループが架空の国となり、製品を作って売っていく貿易を疑似体験するゲームで、9月末にJICA二本松で開催した「ふくしまグローバルセミナー2017」等、様々なセミナーで行われている有名なシミュレーションゲーム。世界経済の動き、格差、構造的貧困等を考えるきっかけとするため青年海外協力隊の派遣前訓練でも行われている。JICA二本松訓練所バージョンの貿易ゲームは様々なオリジナルルールが用意されていて、ふいに無駄な情報が流れたり、ある国に青年海外協力隊が派遣されたり等々のケースがその時に応じて適用される。講師はJICA二本松スタッフ。生徒にとっては青年海外協力隊の派遣前訓練を模擬体験する講座でもあった。




3.講座「途上国におけるビジネスを活用した地域振興事例」
 〜狙い:現在派遣中の青年海外協力隊員が土産物等の販売で現地の雇用促進に貢献している好事例を基に、その活動手法を学び、自分ならどんな地域おこしをしてみたいかアイデアを出しディスカッションする。また、途上国で活躍する「青年海外協力隊」の参加方法や派遣システムを学ぶ。〜
 講師:JICA二本松職員
■JICA二本松職員が講師となり、ルワンダの「コミュニティ開発」の青年海外協力隊員、マラウイの一村一品運動が紹介され、現地の人々の収入向上と雇用促進の事例・手法・目の付け所やポイントが講義された。
 「買いやすいサイズやデザイン」「100%天然素材」等といった品質の高さをしっかり大事にすること。地元の素材やネタを活かし、生産者の想いをパッケージに記載するなどストーリーを大切にすること。意外で身近な所に応えやヒントがあること等が紹介された。
 それを基に、福島を盛り上げる革新的な商品/サービス/アイデアを考え発表するというワークショップを行った。一位は全国のコンテストでグランプリを獲得したこともある「浪江焼きそば」味のふりかけだった。



4.昼食


5.講座「ヨルダンにおけるシリア難民キャンプの青年海外協力隊活動」
 〜狙い:シリアから逃れてきた難民の暮らすキャンプにおいて活動した青年海外協力隊員としての講師の体験を紹介いただき、止むにやまれぬ事情で故郷から離れざるを得なかったシリア難民の状況や気持ちを学ぶ。60分の発表の後、ディスカッション・質疑応答の時間を設ける。〜
三角 梢恵氏
■講師はシリアとヨルダンへ複数回、青年海外協力隊として活動した経験がある。三角講師が「青少年活動」隊員として難民の子ども達に行った活動の内容や、難民やIDP(国内避難民)の定義やその数など難民に関する一般知識も学んだ。講師のシリアへの渡航は内戦前。平和で優しいシリア人の笑顔の写真を紹介するスライドショーが上映され、生徒全員食い入るように見つめていた。難民はニュース映像でしか触れることがなく現場の「生の声」を聞くことはなかなか難しい。日本でもシリア難民の受け入れを始めているところであり、司会進行を務めたふたば未来学園の先生は講座の最後、生徒達に、難民の中にテロリストが紛れ込んでいたヨーロッパの例もあるが、難民の方々の経験してきたことや置かれている状況を考えると力になりたいとは皆が思うはずだと話し、「自分のクラスに難民の方が転校していらしたら実際のところ自分だったら受け入れることができるか?言語や宗教や生活習慣の違いもある。ぜひ考えてみてほしい。」と伝えた。



6.コンサート「地球のステージ」
〜狙い:ライブ音楽と大画面の映像、スライドと語りを組み合わせたコンサートステージ。世界の貧困や紛争やそこで生きる人々の生き方に迫り、命のつながりについて考える。〜
講師:NPO法人地球のステージ
■全国の学校を中心に年間200前後も公演されているコンサートで、JICA二本松の派遣前訓練でも講座の一環として公演されている。フィリピンのスモーキーマウンテンや、東日本大震災の被災地宮城など、世界各地で生きる人々のドラマに迫っていく。語り手は「なんとかしなきゃ!プロジェクト」著名人メンバーの桑山紀彦氏。終わると会場の一角で桑山氏と質疑応答できる自由歓談の場が設けられた。生徒が何人も列をなして話しに行き、中には話しているうちにこみ上げる想いから涙を流している生徒もいた。



7.夕食



8.講座「調査手法(青年海外協力隊の派遣前訓練の模擬体験)」
 〜狙い:訓練の講座「参加型調査手法」を一部抜粋し受講。国際協力における現場のニーズを調査する方法や意見共有の方法を学ぶ。学んだ手法を実際に使ってみるため「○○活性化プロジェクト」を作り翌日に発表する。〜
講師:JICA二本松職員
■青年海外協力隊の職種「コミュニティ開発」の技術補完研修やJICA二本松の派遣前訓練では青年海外協力隊訓練生が調査の手法を学ぶ。その講座を一部抜粋し受講。調査手法の中でも「住民参加型」で調べる手法が紹介された。
 学んだ手法を実際に使ってみるグループワークとして「より良いふたば未来学園ライフ」「より良い安達高校ライフ」を実現するミニ・プロジェクトをそれぞれの班で考案するグループワークを行った。このグループワークは今回の研修の総まとめの位置づけにあり、その成果は翌朝発表する。


9.課題・宿題/入浴/身辺整理/就寝





■3日目
1.起床・朝食・身支度


2.発表準備
 〜前夜の講座で立案したミニプロジェクトを完成させる〜


3.発表
 〜「より良いふたば未来学園ライフを作ろうミニ・プロジェクト」/二本松市の安達高校生は「より良い安達高校ライフを作ろうミニ・プロジェクト」を、2会場に分かれ発表する〜


4.修了証書授与式&「これからのわたしのaction」20秒スピーチ
 〜2泊3日の研修で学んで今後取り組んでいきたいことを「これからのわたしのaction」と題する20秒のスピーチにまとめ、一人ずつ全員の前で発表する〜


5.閉講式


 プロジェクト発表では、「駐車場と校庭が一緒になっている」「移動教室が多いため授業開始に間に合わない生徒がどうしても出る」「食堂のメニューに油物が多い。」「女子更衣室が無いので体育の授業の前は苦労する」といった問題点が指摘され、それぞれの班で独自の改善プロジェクトが紹介された。
 ふたば未来学園はバドミントン部が全国大会の優勝候補筆頭だ。「特に大会前、運動部向けの栄養バランスに配慮した献立を入れて欲しい。運動部側からその要望を出す」等、高校生らしい発表内容が続出した。
 生徒が自ら考えた学校の活性化・改善案には、学校側がこれまで気付かなかった生徒の細やかなニーズが盛り込まれており、発表を見学した先生方も驚いていた様子だった。

 修了式ではJICA二本松の洲崎所長がスピーチ。これからの未来には「行動する者」を求めています、とメッセージを伝えた。研修初めと修了時で生徒達の顔つきはぐっと大人らしくたくましく変わった。
 この研修でJICAの経験・事例・智恵を学んだ高校生たちが、東日本大震災と原発事故から立ち上がりつつある福島県の未来のため活躍するよう願う。

学校で活用できるJICAプログラム

JICAでは、世界の現状や課題、国際協力への理解を深めるため、学校現場で活用いただける児童生徒向けのプログラムや、開発教育・国際理解教育に取り組む先生を支援するプログラム、また先生方の国際協力への参画を促進するプログラム等、各種実施しています。

JICA二本松青年海外協力隊訓練所へのご用命・ご相談はページ左「開発教育(訪問学習/出前講座)のご案内」から。

またJICA地球ひろばでは全国の各種プログラムを下記リンク先でご紹介しています。