2021年度3次隊JICA海外協力隊派遣前訓練修了式

2021年度3次隊JICA海外協力隊34名の修了式を執り行いました。JICA二本松での訓練期間は、9月7日から10月21日までの45日間。派遣予定国数は11か国です。代表答辞を務めたのはカンボジアへ「サッカー」で派遣される予定の滝井 敦史隊員で以下に全文の写しを掲載します。

2021年10月21日

隊員代表答辞(全文)

行楽の秋も終わりが近づき、日増しに肌寒さを感じる中、二本松訓練所での生活も最後の日を迎えることとなりました。はじめに、本日はご来賓の皆様、田中所長はじめ訓練所職員の皆様、語学講師の皆様のご臨席のもと、このような盛大な修了式を挙行していただき、心より御礼(おんれい)申し上げます。私達JICA海外協力隊2021年度3次隊34名は、本日をもって派遣前訓練を修了致します。
私たちは多くの方々のご支援、お力添えをいただき、この日を迎えることができました。美味しい食事や施設の清掃で私たちが心地よく訓練生活を送ることができるよう支えてくださった商船三井興産株式会社の皆様、リモート訓練期間から訓練所内での最後の授業まで誰一人取り残さぬよう、また、現地で活きる実践的な語学が身につくよう、ご指導くださった語学講師およびバークレーハウスのスタッフの皆様、コロナ禍という特殊かつ終わりの見えない厳しい状況の中、訓練前から派遣に向けて全ての面で手厚く、継続的にサポートしてくださったJICA・JOCAスタッフの皆様、並びに訓練生を温かく迎え、力強く応援してくださった二本松・岳温泉の皆様をはじめ、この訓練に関わり、支えて頂いた全ての皆様に厚く御礼(おんれい)申し上げます。

始まりはまだ蒸し暑かった8月下旬、大きな荷物を抱え、コロナ禍で1年以上止まっていた私の中の「JICA海外協力隊」という道の第一歩を踏み出せたことに嬉しさを噛みしめながら、リモート型訓練が行われる東京のKKRホテルに向かったことを覚えています。遠い昔のように感じるホテルでの2週間を思い返すと、部屋に一人でいる時間が長く、スタッフの皆様や他の訓練生に直接会うことはほぼなく、会うとしてもパソコンの画面越しでした。そのような状況だった為か、何処となく居たたまれない気持ちの中、一人でがむしゃらに語学や新しい環境に奮闘していたように思います。そして秋に差し掛かった9月上旬、バスに長時間ゆられながら二本松訓練所に入所いたしました。ここから対面での語学授業や共同生活が始まり、より一層訓練に熱が入るとともに、スタッフの皆様や他の訓練生と直接関わる機会が一気に増え、苦楽を共にする仲間ができました。それからは、瞬く間に毎日が過ぎていきました。ふと気が付くと、一人で奮闘していたはずの訓練が、誰かと一緒に奮闘している訓練になっていました。私の周りには、一人で黙々と自習をしている人、訓練生同士で問題を出し合って知識や士気を高め合っている人、進んで自主講座を開講する人など、それぞれが主体的に動き、共に任国へ貢献したいと前に進んでいる訓練生の姿がありました。その姿は私にとって日々訓練に取り組むうえでの、何よりの原動力でした。そんな心から尊敬できる人たちと出会い、同じ釜の飯を食い、時間を共有できたことを幸せに思います。そして、今後それぞれの任国にそれぞれの思いをもって赴任したとしても、国際協力に貢献したいという強い気持ちを持ち、同じ方向に突き進んでいる同期が世界各地で活躍していることを励みにするとともに、この同志たちに恥じぬよう、私自身も任国での活動にまい進していきたいと思います。

素晴らしい仲間と、充実した毎日を送っていた中、私には一つ忘れられない出来事がありました。それはカンボジア人である私の語学の先生に、「なぜ先生はここでクメール語を教えているんですか?」と質問したとき、真剣な顔で「みんながクメール語を話せるようになって現地に行って、カンボジアを助けてほしいから」と返ってきたことです。普段は寡黙な先生のまっすぐな想いを聴いて(聞いて)、胸が熱くなりました。理屈ではなく、任国のために自分にできることを精一杯やろうと胸に刻んだ瞬間でした。

これから私たちは、新たな希望と期待と、そして二本松訓練所で得た友情と知識をもって任国へ旅立ちます。任国では、想像もできないような困難や壁が待っているかもしれません。しかし、そこには助けを必要としている生まれも育ちも違う人々が待っていると思います。ここに集う34名の誰もがその壁を乗り越える信念をもっており、それぞれが任国で出会う目の前の人々ために、全力を尽くしたいと思い、実践する力を兼ねそろえていると強く信じています。

そして、任国での活動を無事に終えた後、笑顔で皆様と再開するためにも、2021年度3次隊は2年の任期を全うし誰一人かけることなく無事帰国することをここに誓います。

結びに、皆様に出会えたご縁への感謝と任国での活躍をお誓い申し上げ、隊員代表の答辞とさせていただきます。

2021年度3次隊 滝井淳史

※ご本人の執筆した答辞原文を尊重し漢字/平仮名/漢数字等の表記は原文のままとしています。

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