草の根技術協力事業でモンゴルからの研修員が十勝の農産物貯蔵庫等を視察

2015年7月1日

2014年8月26日に完成したモデル貯蔵庫

K’s Farm 外デッキにて

愛菜屋訪問の様子

 2015年6月11日(木)〜16日(火)、北海道中小企業家同友会とかち支部が実施するJICA草の根技術協力事業(地域経済活性化特別枠)「農産物の安定供給のための貯蔵技術・普及プロジェクト」の一環として、モンゴルから5名の研修員を十勝へ受入れました。

 今年度3年目を迎える本プロジェクトでは、昨年2回の本邦研修を実施しており、1回目は、建設技術者2名を招いて、(株)大地で農産物貯蔵庫の建設技術研修を実施。研修直後に(株)大地の技術者を指導員としてモンゴルへ派遣し、研修受講生である2名を含むモンゴル人らと一緒にボルノールソム(村)にモデル貯蔵庫を完成させました。

 その後、今度は、プロジェクトのカウンターパート機関であるモンゴル国家農業普及センター(NAEC)の職員2名(首都にいる担当職員とモデル貯蔵庫のあるボルノール村に住む職員)を招き、十勝における農産物貯蔵庫の活用事例を学んでもらいました。そして今回、3回目(最終回)となる本邦研修では、NAEC職員2名(プロジェクト開始時から関わっている課長他)、食糧・農牧業省職員3名(畑作担当、畜産担当、経理担当)の計5名というこれまでよりも上の立場にある人たちを招き、十勝での農産物貯蔵庫の活用事例やそれに関連する畑作農家、流通・加工の現場等を視察し、参考にしてもらうための研修が行われました。

 6月12日(金)には、国の6次産業化推進事業を活用し、事業の多角化(外部環境に左右されづらい事業)と雇用の創出(農業を中心としたコミュニティ創出)を目的に、農家カフェをスタートされている「K’s Farm(梶農場)」を訪問。研修員は畑や倉庫、農業機械など十勝の一般的な農家の状況や、小麦畑の真ん中にあるカフェ“ふわふわ畑”を見せて頂き、興味津々、大満足の様子でした。

 6月16日(火)に訪問した芽室町の直売所「愛菜屋」は、野菜生産者6名による無人の直売所からスタートし、芽室農協が参画、国の補助事業として店舗が建設され、現在は106名の会員を持ち、冬期(12月〜4月)を除く営業のみにも関わらず、年間売上3億円以上(毎年増加)という注目すべき成果を上げてきた直売所です。芽室町で採れた新鮮かつ安全な野菜、加工品だけを売り、毎朝行列ができる大人気店です。

 店長の川角さんにお店のバックヤードを見せてもらった研修員らは、出品者に課される厳しい条件やバーコード管理システムに感心していました。

 研修の最後には、JICA北海道(帯広)で成果発表会が行われました。以下、研修員の発表からの抜粋です。

・今回の研修では色んなタイプの農家を見学できた。K’s Farmのように、若い経営者が夢を形にしている所。尾藤農産のように、大規模・機械化の進んだ所。(+尾藤さんのモンゴルの農業に力を貸したいという熱い想いも聴けて、応援してくれている人がいるということに感動した)そして、中藪農園のように自分で育てたものを自社で販売している所など。どれもが参考になった。

・JAの仕組みについても学んだ。十勝ではJAがかなり広範な事業を手掛けており、個々の農家を組織している。農家から貯蔵、流通面を任されていたり、愛菜屋など直売所の運営もしている(これは地方の役場などでもできそうだと感じた)。

・鹿追町の浅野青果で見た氷室貯蔵施設は、モンゴルでも活用できる形態である。

・モンゴルの農業地域では貯蔵+販売網がないため、夏にできた野菜は安く売られる現状がある。地方自治体や政府の援助を得ながら直売所を運営できたら・・。ボルノールソムで試験的にやってみたい。

・政府の融資について、日本は金利2%だがモンゴルは10%と高い。もっと低金利にして支援ができたらよいと思った。

 そして、「多くのことを学べた今回の研修は成功であった。これから国へ帰ってやることは、まず、学んだことを伝える、そして、今回研修に参加したメンバーは食糧・農牧業省の人材育成にかかわる主要メンバーであることから、プロジェクトの成功に向けて全力で取り組みたい」という言葉で締めくくられました。

 本案件では、残り期間に、モンゴルでの農産物貯蔵庫建設技術と活用に関する普及セミナーの開催や、昨年完成したモデル貯蔵庫でじゃがいもの越冬実験がなんとか成功したので、次は夏まで貯蔵するための氷室貯蔵の実験を行うことなどが予定されています。

(JICA北海道(帯広) 宮田 真理子)