【もしり電子版】第14回JICA理事長表彰受賞者 三上正幸氏に聞く

10月1日(月)「JICA理事長表彰」を受賞した帯広畜産大学名誉教授 三上正幸氏に受賞した感想やこれまで実施してきた研修コースのエピソードなどを伺いました。

2018年11月12日

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Q.受賞をされた感想は?
30年以上JICA研修に講師やコースリーダーとして協力してきたことが評価され、受賞したんだと思います。授賞式では北岡伸一理事長ともいろいろとお話ができて良かったです。


Q.どのような研修コースを行ってきたのですか?
当初は、帯広畜産大学で「酪農振興コース」という2か月間のコースでした。内容としては家畜、乳、肉、獣医に関する研修が主で、日本事情も知ってもらいたいということで、日本語、日本文化など多くの教員で指導していました。
現在は、「乳肉卵の衛生管理・品質管理の向上を通じた地域産業の振興」コースでコースリーダーとして,家畜の肥育から食肉の生産,鶏関係,食肉加工,生乳の生産から乳加工技術やそれらの衛生管理を指導する研修を行っています。
研修に参加する研修員は主に、公務員、大学関係者、試験場職員などです。


Q.研修コースについて思い出に残るエピソードは?
研修を引き受け始めた当時のことが、一番思い出に残っています。当時の研修員は帯広駅周辺のホテルに滞在していて、毎朝路線バスに乗って帯広畜産大学まで通っていました。研修は11月から12月にかけて実施していたので、毎朝バス停で待つ研修員がとても寒がっていたのが今も記憶に残っています。実習する食肉加工工場では、水道が凍結してしまい、ガスバーナーで水道管を温めて水を使ったこともありました。当時の工場はとても古く、いろいろと大変でした。
当時の工場は老朽化のため取り壊され、5年前に現在の新工場ができました。冷暖房完備で設備も充実しているので非常に助かっています。


Q.生ハムやソーセージを作るときに気を付けていることは?
添加物を使わずに、美味しい生ハムやソーセージを作ることです。
良い肉の条件としては、新鮮な肉であるということが一番重要ですが、飼育方法によっても味が変わってくるので、私は特定の業者から肉を仕入れています。塩、タンパク質、水が上手に固まることで美味しいソーセージができるのです。生ハムを製造・熟成させるうえで大切なのが温度や湿度の管理です。毎日の変化をノートに記入して適切な環境を保つように心がけています。
また、多くの人にこの美味しさを知ってもらうため、毎年音更町で添加物を使わない美味しい手作りソーセージ講習も行っています。

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Q.指導した研修員の研修後の活動状況を教えてください。
研修に参加した研修員の多くは自国で活躍されていますが、その中で何名かご紹介すると、

ルワンダからの研修員ピーターさんは、ルワンダ規格基準局で乳肉についての技術基準の策定や食品製造・加工技術標準に関する委員会の設立に携わり、ルワンダにおける食の安全性向上に貢献しています。

マラウイからの研修員ガブリエラさんは、マラウイ自然資源短期大学で、十勝で学んだソーセージ加工技術を自身で実践するとともに、大学での講義で学生に指導する他、製造業者への技術指導も実施しています。


Q.今後やって行きたいことは?
これからも畜産・食品加工の研修を適任者が見つかるまでコースリーダーとして続けていきたいと思っています。特に若い人に研修へ参加してほしい。より長い期間自国に貢献できるし、若い人は、一生懸命で、まじめ、そして覚えが早い。また、自身で会社を経営しているので、今後も食肉加工技術なども伝えてゆきたいと考えています。

【画像】<三上正幸氏の略歴>
1965年 帯広畜産大学 畜産学部 酪農学科卒
1967年 北海道大学 農学研究科修了
帯広畜産大学名誉教授 農学博士

2006年帯広畜産大学発のベンチャー企業として「株式会社十勝生ハム製造研究所」を設立。
食塩だけで長期間熟成させた本格骨付き生ハム(ウリカリップハム)、セミドライ・ドライソーセージなどの製造・販売を行う。