2018年度帰国 日系社会シニアボランティア(NSV) 與那覇 順子(浦添市出身)

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職種:高齢者介護
派遣国:ブラジル
配属先:サントス厚生ホーム
派遣期間:2015年6月~2018年6月
略歴:大学を卒業し金融機関などで働いた後、夫と共にブラジルにわたる。同国で20年余過ごした後に帰国。介護福祉士などの資格を取得し介護の道へ。2012年7月からシニア日系ボランティアとしてサンパウロ日伯援護協会のカンポス・ド・ジョルドン市さくらホームで活動。2015年7月から3年間サントス市サントス厚生ホームで活動した。

インタビュー

1.任地の気候や食べ物、生活環境などを教えてください。
サントス市は日本からの移民船が到着した港町で移民の玄関口だった。日本移民ゆかりの地、1908年最初の移民船、笠戸丸の到着を記念して建てられた「移民の像」は私の住むアパートから徒歩で10分のビーチ公園にあった。その移民の像から,7キロにわたるビーチは土、日になると市民、観光客で賑わっている。市民の多くが親日的で私はサントスの町が大好きだった。
サントス厚生ホームの施設はかってブラジルに到着した日本移民が各地に移動する前に一時的に宿泊した「移民の家」があった所である。
2.活動された内容を教えてください。
毎朝7:30前後に出勤し朝食を済まされ入居者の方々に声掛けをする。8:30からラジオ体操。月水金は午前に縫い物、折り紙、塗り絵などの手先を使う作業。午後は理学療法士と協力してリハビリ体操、お手玉を使うことを導入した体操は好評だった。介護予防の視点から心身の活動低下を防ぐ活動に取り組んだ。また、ホーム職員のスキルアップのため「認知症講座」を2回開催、介護スタッフと一緒に入居者に寄り添うケアを心掛けた。
3.活動にあたり障がいとなったことやそれを克服していった事例があればお教えください。また活動はどうでしたか?
サントス厚生ホームは発足当初、老人ホームというより老齢や病気、環境、経済的な理由で生活に困窮した方を収容保護したと聞く。2015年着任からホームで活動する中で見えてきたのは60人の入居者という大世帯のなかで40%が90歳代という超高齢で認知症の発症も顕著であること。介護スタッフのスキルアップとホーム運営に携わる方たちの意識変革を痛感した。昨年11月、知人の大学の先生がサントスを訪問した機会に「認知症の基礎を学ぶ」勉強会をお願いし快く引き受けて頂き、介護、運営スタッフ一同に参加してもらった。認知症ケアの意識変革と取り組みが始まった。
4.失敗談や楽しかったこと、困ったこと、大変だったことは?
3年間の活動はともかく多忙であっという間だった。なにしろ2015年7月6日ホームへ着いた、その日から活動が始まった気がする。毎日、多忙で動き回り大変だったと言えばウソになるが活動が形になり入居者のみなさんに喜んでいただいたことは何よもうれしいこと。チャンスがあればもう一度、入居者のみなさんに会いたいと思う。
5.2年間のボランティアを漢字一文字で!(その理由もお願いします)
「絆」
移民110年という歴史に中で、どうしても助け合わなくては生きていけないという現実。その中で生まれた「絆」を感じた。同じ船でブラジルに来た、同じ入植地だったなど、そのつながりは遠くの親戚以上のものだったと思う。
6.これから海外に出ようとしているウチナーンチュに一言。
人口120万余の小さな島、沖縄。しかし、ブラジルどこに行ってもウチナンチュは頑張っていた。サントス厚生ホームを支える地元ボランティアだけでも運営委員長を務め今も副運営長の安次富さん、運営委員と顧問医兼任のテルヤさん、マッサージ師・アゲナさん、美容師・ツカザンさんなど沖縄をルーツする方々がいらっしゃる。これからも世界へ雄飛した先輩たちに続きたいものである。