平成27年度帰国 青年海外協力隊(JOCV)伊波 良剛(宜野湾市出身)
職種:看護師
派遣国:パラグアイ
配属先:厚生省 トレス・デ・フェブレロ保健ポスト
派遣期間:2013年10月〜2015年6月
略歴:
2005年 宮崎大学医学部看護学科入学
2009年 仁愛会浦添総合病院 救命救急センター 入職
2012年 琉球大学大学院保健学研究科 入学
インタビュー
- 1. 任地の気候や食べ物、生活環境などを教えてください。
- かつての戦争の影響からパラグアイでは、男性が女性に比べて少ない時期があり、そのためか男性は大切にされる傾向にある。ここでは、男性は配偶者がいても、他にも恋人をつくる文化があるのか、パラグアイ人によく質問されることは、「恋人は何人いるのか?」と聞かれる。私が「結婚している。奥さんはエチオピアにいる。」と答えると、「じゃあパラグアイで恋人をつくった方がいいね」と返ってくる。私が「結婚しているから他に恋人を作ったら罰せられる」というと「パラグアイでは大丈夫だよ。何も問題ないよ」と返ってくる。この会話は1年間で何回もやってきた。
戦争の影響で男性が少なくなり、戦争が終わると男性が大事に大事に育てられる。その結果、男性はあまり働かなくなり、女性は働き者になる。実際にそうなのかどうかはわからないけれど、このような話はよく聞く。これは、特にパラグアイに限ったことではなく、戦後の沖縄もそうだったと思う。沖縄の男、特に長男は甘やかされて育てられているからダメだ。という話もよく耳にする。そういう意味では、沖縄とパラグアイの共通点を見つけることが出来たかもしれない。沖縄の長男である私が言うのもなんですが…
- 2. 活動された内容を教えてください。
- 2014年の9月から12月までの3ヶ月間、任地の肥満に悩む市民を対象に、ダイエット選手権を開催した。約30名の参加者を集めることができ、12月には表彰式も行うことができた。一位の方は、体重75.1⇒66.7キログラム・体脂肪39⇒32.9%・BMI29.7⇒26という結果を残し、市長から自転車のプレゼントも提供された。また、パラグアイで行われている保健衛生プロジェクトの専門家にも参加頂いた。
肥満・生活習慣病に悩む市民は数多くいて、配属先の保健ポストにやってくる患者の多くは、高血圧・糖尿病を抱えている。この為、私の活動の中心は肥満・生活習慣病対策となっている。
具体的には
・自ら家庭菜園を行い、任地には無い野菜を育て紹介する事。(現在はオクラを栽培)
・ダンス教室を開催して適度な運動を日常生活の中に取り入れる。(2014年12月頃から始めたが、現在休止中。今後再開を目指す)
・女子サッカーリーグを作り、女性の運動する場を増やす。(任地では、男性の運動する機会は数多くあるが、女性が運動する機会は少ない。この為女子サッカーリーグを作り,適度な運動の習慣化を目指す)
その他にパソコン・周辺機器の使い方を教えたり、カルテの整理をしたり等を行っている。
- 3. 活動にあたり障がいとなったことやそれを克服していった事例があればお教えください。また活動はどうでしたか?
- パラグアイで看護師としてボランティア活動を行えたことは、自分にとってとても有益であった。まず、生活面では、インフラの重要性を改めて学ぶことができた。日本ではあまり経験できない断水や停電が頻発する生活を体験してみて、水や電気が私たちの生活を根本から支えているということを実感することができた。また、任地から隣町までは、バスが一日一本しかなく、公共交通機関の重要性も身をもって知ることができた。一度私が虫に刺され、アナフィラキシーで全身蕁麻疹が出たときには、同僚が隣町まで救急搬送してくれたが、その時に、もしその同僚がいなかったらもっとひどい状況になっていただろう。日本では当たり前にある、救急車・電車・バス・タクシーがない状況で生きるという怖さを感じた。また、ありきたりかもしれないが、見知らぬ土地で言葉が通じない人々と、価値観の違いを乗り越え、何かを共に行うというのは、想像していたよりも遥かに難しく感じた。それでも任期を全うするまで頑張れたのは、任地の人々の優しさによるもの以外何物でもない。この経験は、自分の一生の宝になるものだと確信している。また、この経験が無駄にならないような将来を歩みたい。
- 4. 失敗談や楽しかったこと、困ったこと、大変だったことは?
- 断水はよくあるのですが、真夏に断水してそれが10日間続いたときは、さすがに生きる気力が徐々に削がれていく感覚があった。毎日4lのペットボトルの水だけで、お風呂に入っていると自分が徐々に近所の野良犬と一緒の匂いになっていった…。笑
- 5. 2年間のボランティアを漢字一文字で
- 「生」
- 6. これから海外に出ようとしているウチナーンチュに一言。
- 世界はあなたに対して、扉を開いて待っています。もし興味があるなら、一度扉の向こうに行ってみるのも人生を豊かにする手段の一つかもしれません。