戦後の沖縄県民を支えた公衆衛生看護婦〜よりよい研修のために〜

2012年5月17日

戦後の沖縄における公衆衛生看護婦制度の経験を、現代の途上国への協力に活用します。

母子保健分野検討会の様子

元公衆衛生看護婦の方々との記念撮影

「乳幼児死亡率の削減」や「妊産婦の健康の改善」は世界中、特に開発途上国において共通の課題であり、国際社会が優先的に取り組むべきとして「ミレニアム開発目標」にも定められています。これらの課題に対応するため、JICAでは現地での協力活動に加え、本邦で母子保健分野の研修を実施しており、参加した途上国関係者から高い評価を受けています。今般、北海道から沖縄までの4つの国内機関の研修担当者が沖縄に集い、より効果的な研修プログラムを提供するための方策について協議しました。

沖縄からの報告では、これまでの取組状況に加え、栄養失調やマラリア・下痢、結核など感染症の蔓延が深刻な問題であった終戦後の沖縄で、「公衆衛生看護婦」(現在で言う「保健師」)として活動をしていた新里厚子さん、福盛 久子さんから当時の経験を、現在沖縄県看護協会で途上国の保健医療従事者に対する研修を担当している銘苅辰美さんから沖縄の特徴を活かした研修の取り組みについて発表していただきました。これには参加者の反響が大きく、沖縄独自の経験(解説を参照)は、途上国の保健改善の学びになるとの声が多く上がりました。

へき地における保健医療の改善は世界共通の課題です。
今年5月15日は沖縄県本土復帰40周年。終戦後から復帰まで数々の苦境を乗り越えた公衆衛生看護婦たちの知恵・経験を踏まえつつ、今日的な観点から、開発途上国の保健衛生状況の改善に貢献できる研修を実施できるようさらに検討を進めたいと思います。

(解説)
終戦直後の沖縄は、衛生状況が劣悪であり、深刻な医師不足に悩まされていました。とりわけ大小様々な離島における公衆衛生の改善は大きな課題でした。当時の琉球政府は「駐在公衆衛生看護婦」という独自の制度を導入しました。離島やへき地へ駐在した「公看さん」らは住民への全戸訪問等を通じ、献身的かつ粘り強く住民に働きかけ、衛生教育を実施しました。また行政や学校などとの連携により感染症の撲滅や島民の生活向上に対して大きな貢献を果たしました。