誘うアフリカ(上) JICA使節報告記〜エチオピア〜

2013年1月28日

エチオピア 〜農業での進出有望 海水淡水化に強い関心〜

広大な迷路のようなマーケット。強烈な香辛料の香りが辺りを包む=2012年11月10日、エチオピア

上里芳弘 県中小企業団体中央会事務局長
(JICA沖縄注:この報告記は、琉球新報2012年12月25日(火)経済第5面に掲載された記事を、(株)琉球新報社及び執筆者の許諾を得て転載するものです。)

国際協力機構(JICA)主催の第2回アフリカ使節団が2012年11月6日から16日まで、エチオピアとセネガルを訪ねた。使節団は全国各地から選抜された10人で、県内から県中小企業団体中央会の上里芳弘事務局長が参加した。経済発展の潜在力を秘めた両国での県内の中小企業の事業展開の可能性について、寄稿してもらった。

日本国内市場の閉塞状況等から、中小企業の海外展開は必須の検討事項であり、国や県の施策も全面的にこれを支援する方向で動いている。さらに県出身の金城拓真氏がタンザニアを皮切りに事業を大々的に展開しており、現地の状況を肌で感じ、事業展開可能性を追求したいという気持が高まっていた。

英エコノミスト誌によると、2011〜2015年の平均経済成長率上位10カ国の内、7カ国がアフリカ諸国であり、投資先としての潜在的収益性は欧米産業界を中心に広く認識されているという。

皮革工場の「カイゼン」の取組みを視察

最初の訪問国エチオピアの主要産業は農業で労働人口の8割が従事。日本からの輸出は自動車、機械類等76億円。エチオピアからの輸入はコーヒー、原皮39億円(2010年)となっている。

同国にはアフリカ連合やアフリカ経済委員会の本部が置かれるなどアフリカ地域の外交の中心地だ。現在、生活基盤の整備が急ピッチで進んでおり、滞在したホテル前の道路は水道管工事の真っ最中だった。

使節団はエチオピア投資庁やJICAが日本の「カイゼン」を指導中の現地皮革会社を訪問したほか、内陸部中心付近に設置されたコンテナ貨物集積地「ドライポート」を視察した。唯一の玄関港であるジブチまでは800km以上離れており、物流コストは高くなることが予想されたが、現場責任者によると、近辺の工業団地等に多くの外国企業が集積しており、有利な面も多いということだった。

JICAエチオピア事務所 大田孝治所長

ドライポートへの移動の最中、目にした外国企業のほとんどが中国や韓国だった。両国が長い年月を掛けてアフリカに拠点を築いた成果だ。高速道路の建設も中国企業が請け負うなど、同国での存在感は極めて高い。日本企業や政府の今後の奮起を強く望みたい。

アディスアベバ商工会議所会頭と懇談する機会があったが、海水を塩とミネラルウオーターに分離する技術を持つ沖縄の事業者を紹介したところ、大きな関心を寄せていた。

エチオピアは雨期を除いては、台風などもない安定した気候であるほか、人件費が極めて低水準であり、農業分野における県内の中小企業者の事業展開は有望だと思われた。

JICAエチオピア事務所の大田孝治所長は父親が八重山出身だ。アフリカで活発に医療関係事業を展開中の与座卓さんや、日本企業のエチオピア進出をコーディネートしている島袋博江さんも沖縄出身で不思議な縁を感じた。

今回の訪問で前述の金城氏との面談は実現しなかったが、彼の実践は県内中小企業者の海外進出の参考になる面が数多くあると思われ、ぜひ教えを請いたい。比較的政情が安定している東アフリカ経済ミッションを実現したい。