「IT技術で豊かな世界を希求 ~IT×SDGs課題~」を開催しました。

2019年4月17日

「IT技術で豊かな世界を希求~IT×SDGs課題~」

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(1)日時:2019年4月11日(木) 13:30-16:00     
(2)会場:JICA沖縄 ニライホール 多目的室      
(3)参加者:県内企業・団体39名(26企業・団体)      
(4)主催:JICA沖縄、沖縄ITイノベーション戦略センター(ISCO)
(5)後援:沖縄県情報産業協会

世界人口の40%以上がインターネットにアクセスし、日々新しいユーザーが増える中、20%を占める貧困層の中でも、10人中7人が携帯電話を有しています。ITが人々の生活に浸透し、様々な変化をもたらし、「デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)」“情報通信革命”が進んでいます。インフラ、制度、組織、生産方法などの従来の社会・経済システムに、革新的なIT技術やビジネスモデルが導入され、新しい価値や仕組みを創造する時代となりました。
沖縄県は「沖縄ITイノベーション戦略センター」を2018年7月に開設し、これまで産業やビジネスごとに分かれていたモノやサービスを、ITを活用して結びつけることで新たな価値を創造し、グローバルビジネスの中心的な拠点として沖縄の更なる成長と発展を目指しています。
 JICA事業におきましても、海外ビジネス展開を目指す企業がIT技術を様々な分野に活用し、開発途上国が抱えるSDGsに関する課題解決に寄与する事例が増加しています。今般、JICA事業好事例や企業プレゼンテーションを通して沖縄県内企業が情報を得ることで、途上国のニーズを踏まえた製品・技術開発、海外進出のための異業種連携、事業計画策定に役立てて頂くことを目的としセミナーを開催しました。

●セミナープログラム
13:00-13:05  開会挨拶         
        独立行政法人国際協力機構(JICA) 沖縄センター
        所長 佐野 景子

13:05-13:35 「沖縄県のIT政策と展望について」
        一般財団法人沖縄ITイノベーション戦略センター(ISCO)
        常務理事兼事務局長 盛田 光尚 氏

13:35-13:55 「JICA中小企業・SDGsビジネス支援事業~IT技術活用事例とSDGs貢献~」
        独立行政法人国際協力機構(JICA)沖縄センター
        民間連携担当 照屋 りか

13:55-14:05  休憩

14:05-14:50 「ミャンマー国における海外展開事例紹介」
        株式会社オーシーシー
        管理統括本部 グローバル事業戦略部 部長 比嘉 良行 氏

14:50-15:35 「ラオス国における海外ビジネス展開の事例紹介
        ~バスロケとWi-Fi バケットセンターによる低コスト交通観測システムの導入~」
        株式会社社会システム総合研究所 代表取締役 西田 純二 氏

15:35-15:55  質疑応答
       
15:55-16:00  閉会挨拶
        独立行政法人国際協力機構(JICA)沖縄センター
        次長 鈴木 薫

本セミナーでは、県内企業・団体39名(26団体)のご参加を得て行われ、冒頭の主催者挨拶で、JICA沖縄佐野所長よりJICAがODA実施機関として、開発途上国が直面する課題解決に向けて民間企業の技術やアイデアとJICAが持つネットワーク(相手国政府との信頼関係を含め)を結びつけた協力を行ってきたこと、「開発途上国が直面する課題」は、SDGsに言い換えることができ、その課題は日本の課題でもあり、沖縄県においても沖縄版SDGsを作ろうとする動きがあり、SDGs達成や課題解決にITがどのように貢献していくのか、できるのかという点について皆さんと一緒に考えていきたいとの発言がありました。 
続いて「沖縄県のIT政策と展望について」と題し、一般社団法人沖縄ITイノベーション戦略センターの盛田常務理事兼事務局長にご登壇いただき、沖縄県のIT政策と展望についてご紹介いただきました。沖縄県は、これまで本土の会社からの下請けだけに終わっていたとされるIT産業を観光、物流、医療・福祉、農業など様々な産業分野において活用し、産業全体の新興を図るとともに、新しい事業やサービス、スタートアップ企業などの創出を支援することを目的に、2018年7月に「沖縄ITイノベーション戦略センター」設立し、新ビジネス、新サービスの全国、全世界への展開を目指しています。次にJICA沖縄からは、中小企業・SDGsビジネス支援事業の説明とともに、IT技術を活用して途上国のSDGsの達成、課題解決に向けて海外展開している企業の事例を紹介しました。
後半は、「ミャンマー国における海外展開事例紹介」と題し、株式会社オーシーシー管理統括本部グローバル事業戦略部比嘉部長にご登壇いただき、①アジア経済の活況、②働き手の不足と人口構成の大きな変化に起因する、国内市場の縮小や需要供給バランスの大きな変化への対策の2つの理由から海外展開されたことに、加えミャンマーにおける病院向けシステムの販売等についてご紹介いただきました。ミャンマーの医療課題は、制度の課題、設備の課題、医療スキルの課題、衛生面の課題があり、日本の制度システムを持っていくだけで課題解決できると考えているとのことでした。
最後に「ラオス国における海外ビジネス展開の事例紹介」と題して株式会社社会システム総合研究所西田代表取締役にご登壇いただき、ラオスにおける交通渋滞の解消と公共交通(バス)の利用促進を目指した①バスロケーションシステムの導入、②Wi-Fiパケットセンサーによる交通観測システムの導入についてご紹介いただきました。バスが時間通りに来ないことが課題であったラオスにおいて、スマホで簡単にバスの位置情報が取得でき、逆にバス公社からは、バス待ちをしている人々の位置情報も簡単に取得し解析できるとのことで、バス路線の認知度も向上しバス利用者も増加しているとのことでした。特に外国人観光客のバス利用は増えており、JICAラオス事務所の協力により「地球の歩き方」でラオスにおける同社のバスシステム導入が紹介されたのを機に日本観光客のバス利用者も増えているとのことでした。

 本セミナーのテーマは「IT×SDGs」でしたが、ご登壇者の皆様の素晴らしいプレゼンテーションによりSDGsの達成、課題解決にITがどのように貢献しているかが参加者の方々に少しでもお分かりいただけましたら幸甚です。
JICA沖縄では、沖縄県内企業の皆様に途上国におけるSDGs課題やJICA事業等について理解を深めてもらい、JICA中小企業・SDGsビジネス支援事業の活用について積極的にご検討いただくため、今後も魅力的なセミナーやイベントを他の関連機関と共同で開催し、途上国への海外展開を目指す県内企業の皆様を積極的にサポートしていく所存です。

                                                  以上