VIVA 中南米!距離は遠くても沖縄との関係は深い!~沖縄と中南米をつなぐ海外展開ビジネスセミナー~

2019年9月25日

 9月12日(木)、JICA沖縄では中南米における日系・県系社会との連携促進を目的とし、「VIVA中南米!距離は遠くても沖縄との関係は深い!~沖縄と中南米をつなぐ海外展開ビジネスセミナー~」を開催しました。
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「中南米日系社会との連携」
独立行政法人国際協力機構 中南米部 部長 吉田 憲

 豊かな自然と資源を持つ中南米地域はASEANのGDP1.8倍に匹敵する経済規模に成長。政治的には民主的選挙が実施され、都市部の治安は比較的安定している。中南米は資源・食料外交の最前線地域であり、特にレアメタル資源と農産物(大豆、コーヒー豆、さとうきび、オレンジなど)が輸出に占める割合は大きい。
 中南米における日本人移住の歴史は長く、戦前約78万人、戦後約26万人が移住し、沖縄系移住者は93,145人(全体の12%)で広島県系に次ぎ多い。2018年に日本政府は日本・中南米連結性強化構想を提唱し、日系社会との協力強化の継続を宣言する中、JICAは人材育成事業を通した日系社会支援のほか、日本の民間企業との連携を促進することで、現地の開発課題の解決に貢献し、さらに日本企業の中南米への事業展開を実現するための民間連携事業や中南米日系社会との連携調査団事業を実施している。


「多様性の国ボリビア その潜在力をどう活かすか」
 独立行政法人国際協力機 ボリビア事務所 所長 小原 学

今年、ボリビアは日本人移住120周年、オキナワ移住地入植65周年を迎えた。
ボリビアの主力産業は鉱物、天然ガス、農産品であり、中でも日系移民の農業関連(小麦、米、大豆)への貢献は大きい。経済・社会開発の状況は大きく改善されてきたが、保健医療の成熟度が低いため、日本からの病院運営や母子保健の技術支援が継続的に行われている。その他、再生可能エネルギー、防災・インフラ整備・水資源、農業生産工場に対する日本の支援も重点的に行われている。従来の支援の形に加え、パートナー(民間セクター、日系社会・団体、新たなドナー等)の拡大や連携強化を進めている。ボリビアにおける日系企業の進出は未だ少ないが、少ないからこそJICAのネットワークを活用してビジネスチャンスの可能性を探ってほしい。


「ごまで世界平和」
 株式会社わだまんサイエンス 代表取締役社長 深堀 勝謙

中南米へのビジネス展開のきっかけは、2013年2月に「第1回中南米民間連携調査団」に参加し、パラグアイにおける胡麻栽培の現状を知ることから始まった。胡麻は戦後パラグアイに移住した日本人によって広められ、2008年には日本への胡麻輸出額は90,000ドルにまで伸びたが、胡麻栽培を手掛ける小規模農家の多くは貧困にあり、生計向上が課題となっていた。㈱わだまんサイエンスが保有する胡麻の焙煎・加工技術をパラグアイで普及させることにより、小規模農家の生計向上を図るとともに、パラグアイ国内の消費市場の形成や、販売先の多角化(日本・ブラジル向け輸出等)により価格変動・シップバック等のリスクを軽減できると考えた。
JICA案件化調査(2013年)、普及・実証事業(2016年)に採択され、加工食品生産技術の移転、パラグアイ国内における市場の開拓、加工品開発による高付加価値化の可能性実証に取り組み、JICA事業を通して繋がった現地ネットワークを活かして同国での事業展開を進めている。


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かつて日本から中南米へと渡った日本人移住者及びその子弟によって築かれた日系社会を入り口として、現地の開発課題の解決に貢献し、さらに日本企業の中南米への事業展開を実現するための一助となるよう支援していければと思います。