長期研修員向け地域理解プログラム 「沖縄の戦後復興の歩みと平和への取組み」を実施しました。

2022年3月8日

 JICA沖縄では、これまで研修員福利厚生の一環として、平和学習ツアー(平和祈念資料館)や文化紹介・体験プログラムを実施してきました。
 今回、長期研修員(留学生)を対象に地域理解プログラムとして「沖縄の戦後復興の歩みと平和への取組み」をテーマに企画、3月2日に実施し、琉球大学で学ぶ4か国4人が参加しました。

①講義:沖縄の戦後復興の歩みと平和への取組み

 沖縄平和協力センター理事長の仲泊和枝氏を講師に招き講義を実施しました。

 「琉球王国」から日本の中の「沖縄県」となり、戦後「米軍統治下」の時代を経て現在の沖縄県となった経緯や、なぜ今も沖縄に米軍基地があるのか、戦争がもたらした悲劇と、その半面沖縄の戦後復興において米軍政府の貢献が大きかったこと、また沖縄県が戦後世代へどのような伝承、平和への取組みを行っているかなど、さまざまな面を学びました。

 沖縄で繰り広げられた地上戦の映像も紹介され、当時の状況がよりリアルに感じられる講義でした。

②視察:ひめゆり平和祈念資料館、平和祈念公園、平和祈念資料館

 講義の中で、沖縄県の平和への取り組みのひとつとして紹介された3つの施設を訪問しました。
 ひめゆり平和祈念資料館では、アニメ「ひめゆり」を上映いただき、教師を目指して学んでいた優秀な女学生たちが、戦力として沖縄戦に巻き込まれ、戦時中どのような状況であったかを観ることができました。沖縄の子どもから老人まで、兵士でない一般住民全てが戦力として戦争に巻き込まれた、沖縄戦争の過酷さを実感しました。

 平和祈念公園ではガイドツアーを行い、平和の火、平和の礎、慰霊碑をめぐりました。平和の広場の中央には、沖縄戦最初の上陸地である座間味村阿嘉島で採取した火と、被爆地広島市の「平和の灯」、長崎市の「誓いの火」の3つの合火である「平和の火」が灯されています。
 平和の火のモニュメントを中心に、平和の礎も広がる波紋のように配置され、沖縄から平和の波紋を世界に届けることをイメージして作られているとの説明に、平和への強い思いを感じました。
 平和の礎には、敵味方の区別なく、沖縄戦で尊い命を失った全ての方々の名前が記されています。県外、海外の方々の名前は男性のものがほとんどですが、沖縄の人たちの名前は女性のものも多くあります。ここでも、沖縄戦では兵士ではなかった一般住民が多く命を落としたことが見られ、心を打たれました。

 平和祈念資料館では多言語の音声ガイドの貸出しがあり、各自のペースで見学しました。今も沖縄の地には不発弾が埋まっていることに、研修員たちは大変驚いた様子でした。

③振り返り

 プログラムに参加した研修員からは、「3月は世界女性史月間であり、また3月3日は“ひなまつり”というこの時期に“ひめゆり”について学ぶことができたのはとても感慨深い」、「沖縄戦について学びながら、現在ヨーロッパで起きていることが重なり心が痛んだ」、「戦争のもたらした悲劇と、平和の尊さを学んだ」、「沖縄の歴史について知識が深まった」など感想が寄せられました。

 今後もJICA沖縄は、研修員の沖縄理解促進のためのプログラムを実施していきます。