2017年5月29日
5月10日(水)晴れ。今日はパナマ日本人学校(織田健校長)の生徒さん10名が先生と一緒に日本の協力で建設されたパナマ初の本格的なフアン・ディアス下水処理場を見学に来てくれました。実は、パナマ日本人学校とこのプロジェクトの始まりにはちょっとしたご縁があるのです。
2007年6月当時のパンフレット
今からちょうど10年前の2007年6月、パナマ湾が一望できるカスコ・ビエホ(旧市街)の外務省で、トリホス大統領(当時)が出席して「パナマ市及びパナマ湾浄化事業」の円借款調印式が開催されました。そのとき、当時の日本人学校の生徒さん32名が、日本とパナマの国旗をもってお祝いに駆けつけてくれたのです。
当時作成されたパンフレットには、「日本とパナマが協力してパナマ湾をきれいにするのはいいことだと思った」「これをきっかけに、パナマのことを日本の人によく知ってほしい」「パナマ湾がきれいになればパナマシティはもっと変わると思う」などと生徒さんの言葉が記されています。
また、生徒さんからは「とくに乾季には海の方向からどぶ臭い匂いが運ばれてくる。せっかく海の近くに住んでいるのに、家から見える海は灰色でゴミだらけ」「この海では遊ぶ気にはならない。きれいな海になってくれればいい」との声も聞かれ、当時は日本人学校でも汚れた海の臭いが感じられ、きれいな海が取り戻されることを楽しみにしている様子が伝わってきます。
現在もパナマ日本人学校はパナマ市マルベージャ地区(「美しい海」との意)に位置し、当時と変わらないたたずまいですが、周りはすっかり高層マンションが立ち並び、街の様子は大きく変わってしまったようです。最近の学校の様子について織田校長先生に伺ってみました。
「輝く笑顔の数は変わらない」織田校長
プロジェクトで作成したスペイン語の教材で水処理の仕組みを学習
紙芝居で水環境の大切さを学ぶ
日本人学校では、現地の環境への取り組みを学習し、自分なりの考えをもったり、自分にもできることを考え実行したりする指導を行っています。下水処理場の他にも浄水場見学やごみ処理の方法、スーパーや工場での環境への配慮なども学習しています。子どもたちのアイディアで、空き缶やガラスびん、ペットボトルなどの分別回収を学校でも始めました。本年度は、パナマの「水」をテーマとして、子どもたちが調べたことや学んだことを9月の学習発表会で発表する予定です。
生徒さんによる感想文
見学後、生徒さんは社会見学の感想文を寄せてくれました。「はじめて知ったことは微生物を利用して水をきれいにしていたことです」「下水に流すときには油、食べ残し、薬品などといっしょに流していないかたしかめるようにしたいです」「水が回りつづけている事を知りました。水をこれからも大切にあつかっていきたいと思います」などとそれぞれの感想を綴ってくれました。小学部の生徒さんには難しいかも知れないと思っていましたが、意外にも微生物の働きや水資源の循環について関心が高かったと言えます。
今日の社会見学には、保健省からはアイマラさんのほか、普段は幼稚園や小学校を巡回して環境教育活動をされているパナマ清掃庁のミグダリアさん、エドゥアルドさん、そして海外青年協力隊員の薗畠ひとみさんがきれいな海を取り戻すことの大切さをお話ししてくれました。また、現在実施中の技術プロジェクトで環境啓発活動を担当している専門家の木村光志さんが水がきれいになるしくみについてお話ししてくれました。次回は今回協力していただいた講師陣の皆さんにお話しを伺う予定です。
ご協力いただいた講師陣の皆さん