パラグアイには、1936年の日本人移住者の入植開始以降、現在約10,000人の日本人移住者・日系人の方々が在住しており、特に農業分野を中心とした貢献によりパラグアイ社会で大変高い評価を得ています。また、我が国ODAを通じた、長年にわたる経済協力もあいまって、パラグアイは中南米諸国の中でも特に親日的な国の一つです。
同国は、農業を基幹産業とし、世界有数の大豆および牛肉の生産量・輸出量を誇る一方、気候変動の影響に伴う農作物の生産状況と国際価格の変動に大きく左右されるため経済は不安定かつ脆弱であることから、国際競争力の高い輸出産品を中心とした安定した農業生産性の確保が不可欠となっています。また依然として国内貧富の格差は大きく、特に農村地域において顕著なため、農村開発を通じた雇用の創出や生計向上が引き続き必要です。
他方、近年、パラグアイ政府は積極的な外資誘致策を推進しており、低い税率、安価な労働力や豊富な電力等を背景に、自動車部品、造船、食品加工分野等において、日本企業を含めた外国企業の進出が活発化しており、従来の農業依存型の産業構造からの転換も図りつつあります。こうした民間セクターの参入を促進するためには、ソフト、ハード面における投資・ビジネス環境の整備が急務となっています。
中南米諸国の中でも近年最も高い経済成長率を維持してきたパラグアイの開発、発展を確実に支援すべく、JICAが有する有償資金協力、無償資金協力、技術協力の3スキームのほか、ボランティア派遣、市民参加、民間連携などの各スキームを最大活用し、重層的かつ体系的な協力アプローチによる事業展開を図っていきたいと思います。
現在世界はコロナウイルスの猛威に見舞われており、パラグアイも例外ではありません。その中においても、信頼で世界を繋ぐ国際協力を推進していきたいと思います。
パラグアイ事務所長
福井 康