月刊!プロジェクトマネージャーの1日 第4回

草の根技術協力事業の現場では、プロジェクト・マネージャーという、言わばリーダーのような人が指揮をとり活動をしています。プロジェクト・マネージャーの方々が、一日何をして過ごしたかを通じて、プロジェクトにかける想いを語ります。

今回は、ネパールで全ての子どもたちが教育を受けられるよう活動している、社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(SCJ)の定松 栄一さんに筆を執っていただきました。

第4回:「ネパールの全ての子どもたちが学校に通えるように(SCJ 定松さん)」

  • プロジェクト・マネージャー:定松 栄一さん
  • 団体名:社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン
  • 事業名:ネパール公立小学校教育向上事業(草の根パートナー型)

はじめまして! 私はネパールで活動している、定松 栄一です。私たちは、ネパールの全ての子どもたちが小学校で教育を受けられるよう、入学キャンペーン・補習学級・教室増築・分校設置などへの支援を、JICAネパール事務所や現地パートナー団体アスマンと協力して実施しています。

不可触カーストの村で住民にインタビューしているところ。

不可触カーストの村で住民にインタビューしているところ。右端が私(最近ちょっと太り気味・・・)。

それでは早速、私のある1日をご紹介いたしましょう。

【私のある1日】

私たちの活動地域は首都カトマンズから飛行機で30分ほど、インド国境近くのジャナクプール市周辺にある。日々の活動は現地のパートナー団体アスマンが担当しているが、3ヶ月に一度は私も現地で活動の様子を確かめている。今日はその1日目。ちょうど新入生の入学シーズンなので、私たちがこれまで進めてきた入学準備の活動がその成果を試される時だ。

AM 7:00

現地パートナー団体アスマンのスタッフたちと、車で1時間かけてダヌシャ郡ヤゲブミ村を訪問。この村の小学校は、私たちの支援で教室を増築したばかり。当初は2教室の予定だったが、先生たちが池の魚をがんばって売ってお金を足したので、3教室を増築できた。こういう話を聞くと嬉しくなる。

AM 9:00

車でさらに1時間かけてケシャブクティ村へ。この村では新学年が始まるのに合わせて入学キャンペーンを実施中。「うちの子は学校とは縁がないと思っていた。でも今回初めて入学させに来た。」というお母さんがいたので話を聞く(詳しくは後記【ちょっといい話】参照)。

AM 11:00

車を降り、炎天下の村道を30分ほど歩いて不可触カーストの人々が住むティントール村へ。この村は就学率が50%以下と低い。なぜなのか。学校に通っていない女の子とその母親にインタビューした。母親が娘に家事の大半をやらせているためらしい。「家が貧しいからしかたない」と母親。でも女の子は「隣の家の子はお母さんがもっと家事をやってくれるから、学校に通えるのに・・・」。アスマンと相談して、今年はこの村で10〜20代の青年ボランティアを育成して、親の啓発や子どもの入学準備の教室に力を入れることに。

PM 1:00

町に戻って、魚のカレーとご飯で昼食。このあたりは新鮮な淡水魚が捕れることで有名。

PM 2:00

アスマンとのミーティング。昨年は入学した子どもの出席が途絶えないようにすることを目指した。そのかいあって出席率は年間70%近くを維持。しかし増えた生徒の数に比べて学校側の受け入れ体制が追いついていない。特に1年生の教室や先生の不足は深刻。そのため授業について行けず2年生に進級できない生徒が多い。今年は進級率の向上も目指すことで意見が一致。

PM 5:00

ミーティング終了。お疲れさま!

一人でも多くの子どもたちが学校に入学できるようにと、これまで積み重ねてきた活動の成果が今日はいろいろな場面で確認できた。だが課題も残っている。入学する子どもがまだ少ない村もあるし、入学しても授業についていけなかったり、進級できない生徒も多い。でも新しい課題が見つかったということは私たちの活動が前進している証拠でもある。「すべての子どもを学校へ」という私たちの挑戦はまだまだ続く。明日はどんな新しい出会いや発見が待っているのだろうか。ますます楽しみだ。

【ちょっといい話〜送られてきた年賀状〜】

「年賀状」を持って入学手続をしに来たお母さん(ケシャブクティ村)

「年賀状」を持って入学手続をしに来たお母さん(ケシャブクティ村)

初めて子どもを入学させに来たお母さん。「どうしてその気になったの?」という私の質問に、「役場とアスマンからカードが送られてきたのさ。字が読めないから近所の人に読んでもらったら何と年賀状だった。しかも私の名前がちゃんと書いてある。年賀状なんてもらったことないから嬉しくてねえ。今年はお子さんをぜひ入学させてくださいとも書かれてた。うちの子のことなんか誰もかまってくれないと思ってたけど、そうじゃなかった。それでやってきたのさ。」

【私たちは子どもの大切な権利を実現するために活動しています!】

小学校教育を受けることは子どもの大切な権利です。それを実現するために、親は、先生は、そして政府は何をしなければならないのか。私たちはネパールの人々がそれを考え、それぞれの役割を果たすための手助けをします。

私たちのホームページでは、活動についての報告を行っています。興味を持っていただけた方は、ホームページを是非ご覧ください。

【次号のお知らせ】

次号(第5号)は、カンボジアで女性グループが主体となった農村開発を目指して活動している、特定非営利活動法人 国際ボランティアセンター山形の福原 陵子さんの1日をご紹介します。8月15日に掲載予定です。お楽しみに!