月刊!プロジェクトマネージャーの1日 第21回

草の根技術協力事業の現場では、プロジェクト・マネージャーという、言わばリーダーのような人が指揮をとり活動をしています。プロジェクト・マネージャーの方々が、一日何をして過ごしたかを通じて、プロジェクトにかける想いを語ります。

今回は、ザンビアの人々の結核に対する理解を深め、結核の蔓延を防止する活動をしている、特定非営利活動法人 アムダ(AMDA)の木下 真絹子さんに筆を執っていただきました。

第21回:「ザンビアにて、現地ボランティアと共に結核防止の取り組みを行なっています!(AMDA木下さん)」

  • プロジェクト・マネージャー:木下 真絹子さん
  • 団体名:特定非営利活動法人 アムダ(AMDA)
  • 事業名:ルサカ市非計画居住地区結核対策プロジェクト(草の根パートナー型)

私たちは、ザンビアの首都ルサカ市にある非計画居住地区と言われる35万人が住む2つのコンパウンド(居住地区)で、結核対策のプロジェクトを実施しています。ルサカの保健行政機関との連携を図りながら、DOTS治療サポーター(患者が結核治療薬を服薬するところを確認しながら治療のサポートをするボランティア)を育成し、コミュニティーの広い地域で投薬モニタリング、患者ケア、保健教育などの活動支援を行うことにより、結核治療の効果を高め、結核の蔓延を防止することを目的としています。

【写真】

結核担当ナース、ローカルスタッフおよび現サポーターと共に、新結核治療サポーター選出について話し合いをする本人(中央)

それでは早速、私のある1日をご紹介いたしましょう。

【私のある1日】

今日は現場レベルの日常の事業実施・モニタリング活動から、カウンターパートやJICAなどとの意見交換や会議の出席など典型的なプロジェクト運営全般に関わる私の一日が始まります。

AM 6:00

起床、透き通ったザンビアの青い空がまぶしい。朝食をとる。

AM 7:00

自宅で電子メールをチェックし、日本の本部や関係者団体とのやりとりをメールで行う。

AM 8:00

車で事務所に到着。事務作業開始。

AM 9:30

ルサカ郡保健局にて、結核・エイズプログラムオフィサーと今度のサポーター研修の内容を詰める。新規サポーター36人を対象にいつ、どのような内容で誰がファシリテーター(進行役)になるのかを話し合い、現サポーター60人を対象として主に結核・エイズの関係、カウンセリング、栄養を重点において研修を実施することが決定した。

AM 11:00

【写真】

患者カードの整理を結核サポーターとナースがしているところ

先日、サポーターを中心に患者カルテの整理をしたら、治療記録が途中でわからなくなった2005・6年登録患者のカルテは300部以上にものぼった。ジョージ保健センター結核コーナーにて、これらの結核患者カルテを確認しながら、治療を中断した患者のフォローアップをどうするのかアムダスタッフ、結核担当ナース、サポーターと話し合う。

PM 12:30

昼食の時間。ザンビアではシマというメイズ(トウモロコシの粉)を水でこねて作られた餅のようなものと小魚または肉や野菜と一緒に昼食として食べる。実は私はこのシマという料理が苦手であり、他のスタッフ(日本人も含め)全員がシマを手でむしゃむしゃ食べている横で私だけが持参したランチを食べる。

PM 2:00

【写真】

寝たきりの結核患者の家を訪問するサポーター

事務所にて、サポーターから提出された9月の家庭訪問記録に目を通し、結核患者の健康状態をチェック。9月はジョージ地区で126人の結核患者対象に計757回の家庭訪問が行われ、カニヤマ地区では123人の患者に計1823回の家庭訪問が実施された。中には、治療途中で惜しくも亡くなってしまったケースも記録されており、課題が残る。

PM 2:30

現場から戻ってきたスタッフと事務所内ミーティングを開く。前四半期の活動達成状況と今四半期の予定について話し合う。結核・HIV/エイズ統合対策の動きが加速している中、今後さらにHIV/エイズをどのように結核活動に組み入れていくのかが議論された。また、効果的・戦略的な結核保健教育を実施していくことになった。さらに、1年半後の終了時評価の準備にとりかかる必要性などについても話し合われた。

PM 4:00

JICAザンビア事務所にて月2回開かれるHIV/AIDS及び結核対策プログラム会議に参加し、所長やエイズ関係のJICA専門家と共に意見交換や活動報告が行われる。今回はそれぞれ9月のプロジェクト進捗状況を報告。我々が実施したサポーターのモチベーションの調査分析について、JICA側から様々な質問やコメントが出た。

PM 6:00

週2回ヨガのクラスに通う。呼吸を意識しながら精神を集中する。ヨガのクラスの後はすっきりとした気分になる。

PM 7:30

自宅に戻り、電子メールをチェック。

PM 8:00

野菜中心の夕食を作る。最近暑くなってきたのでハーブと豆乳の冷製スープを作った。明日のランチもついでに準備。

PM 10:00

自分の好きな時間。日本から取り寄せたお香をたいてリラックスしながら、結核に関する資料に目を通したり、本を読んだり、音楽を聴いたり、友人と話をしたり。

私たちが実施・支援している結核DOTSプログラムは国家保健プログラム戦略の中に組み込まれており、患者さんやボランティアさんから政府のレベルの関係者と常に良好な関係を保ちつつ活動を進めていくことが大切であり、今日のようにあちこちを飛び回る日はよくあります。明日の午前中はカニヤマにて治療を中断した患者の家を訪問し、治療中断した理由について話をする予定で、午後は事務所に戻って報告書の作成にとりかかる予定になっています。

【ちょっといい話─スーパー・ヒューマン・ビーングの存在─】

【写真】

人が集まる市場などでドラマ・歌を使い結核保健啓蒙教育をするサポーター達

結核治療サポーターは無報酬で結核患者を支援するボランティアさんのことを言います。ボランティアさんの中には、安定した収入がなく、子どもの学費を出すのも厳しいという人もいます。それに、伝染性(空気感染)の結核を持った患者さんと直接接しながら継続して支援するということは、ボランティアさん自身が感染してしまうリスクも伴うことになるのです。それでも無報酬のボランティア活動を続け、コミュニティーの健康改善に貢献することに意義があると信じているボランティアさんには頭が上がりません。いつも考えてしまいます、もし私が彼らの立場だったら、どこまでできるだろう・・・と。

“一体どこからこのモチベーションが沸いてくるのだろう?”

この疑問にまだ答えは見つかっていません。しかし彼らの生き方を学ぶプロセスのなかでヒントが見えてきているような気がしています。

【写真】

結核治療の薬を患者が飲むところを結核サポーターが確認しているところ(保健センターの結核コーナーにて)

【写真】

薬を取りに来た患者に保健教育をするサポーター

【アムダ(AMDA)とは?】

1984年に設立されたAMDAは、相互扶助の精神のもと、保健医療を中心とした緊急人道援助や社会開発事業を、アジア・アフリカ・中南米(現在までに50カ国)(2006年度は14カ国)において実施してきました。2006年7月、国際連合経済社会理事会の総合協議資格を取得しました。

【次号のお知らせ】

次号(第22号)は、ラオスで子どものための読書推進活動を支援している、特定非営利活動法人 ラオスのこどもの赤井朱子さんの1日をご紹介します。平成19年1月15日に掲載予定です。お楽しみに!