月刊!プロジェクトマネージャーの1日 第34回

草の根技術協力事業の現場では、プロジェクト・マネージャーという、言わばリーダーのような人が指揮をとり活動をしています。プロジェクト・マネージャーの方々が、一日何をして過ごしたかを通じて、プロジェクトにかける想いを語ります。

今回は、インドで持続可能な農業復興と女性の能力強化に取り組む、特定非営利活動法人地球の友と歩む会(LIFE)の米山敏裕さんに筆を執っていただきました。

第34回:「インドで農民とともに、「農民の命」水資源を確保する。(地球の友と歩む会(LIFE)米山敏裕さん)」

  • プロジェクト・マネージャー:米山敏裕さん
  • 団体名:特定非営利活動法人 地球の友と歩む会(LIFE)
  • 事業名:持続可能な農業復興と女性のエンパワーメントをめざした社会開発(草の根パートナー型)

はじめまして。地球の友と歩む会の米山です。私たちが活動する農村では、大多数が農業従事者ですが、耕地の多くが耕作の困難な荒地です。最大の問題は、土地の乾燥・土壌劣化の深刻化。地下水の効率的な利用、分配が改善の鍵となります。また、女性の社会的な活動を促すことが、持続可能な農村開発と貧困削減のためには重要です。

そのような中、私たちは、インド、カルナータカ州中部に位置するホスペット郡にある26か村で農業復興のための水資源確保と有効活用のための基盤整備、そして女性の能力強化を図り生活環境改善を進めていく事業を行っています。

【写真】

農業専門家から今年の作柄について説明を受ける様子。右側が私です。

それでは早速、私のある1日をご紹介いたしましょう。

【私のある1日】

今日は、午前中はひとつのSHG(Self Help Group:自助グループ)が、最近できたリソースセンターで「マイクロ・クレジット」についての研修会を行うので、それに参加。午後は村を回って植林の進捗状況と貯水池の視察と、3か村の農地の視察。そして、夜はWDA(流水域開発委員会)の会議に出席し、最後に宿舎にもどりスタッフと打ち合わせ、という予定です。

AM 6:00

最近どうも歳のせいで早く目が覚めてしまう。外では村人がワイワイ言いながら植林のための穴掘りに夢中。今年の雨季は降雨量が多く、多くの植林ができそうなので村人の表情もみな明るい。
村人の作業を見ながら、いつもの樹の下にマットを敷いて座禅というか、ヨガというか、まあ新鮮な空気を吸いながら瞑想の時間をもつ。1時間くらい鳥の声、家畜の鳴く声を聞きながら静かな時間をもつ。最初のころは仕事のことが頭に去来して、瞑想にはならなかったが、しばらく続けているうちに雑念もなくなり頭もスッキリ。

AM 8:00

スタッフと一緒に朝食。話好きなインドの人たちとの食事は会話のとぎれることがない。会話も英語になったり、現地の言語であるカンナダ語になったりと聞き取りでも気が疲れてしまう。

AM 10:00 SHG研修会

【写真】

研修会の様子

お揃いのサリーを着たSHGメンバー15名が車座になっての研修会。今日のトピックは「マイクロ・クレジットに向けたこころ構え」。ファシリテーターがなにやら3つの大きさの違う石を持ちながら会場に入ってきた。
あいさつもそこそこに、今日の研修の趣旨をメンバーに伝えてワークショップの開始。メンバーの中から3名をボランティアで募って、前に置かれた石を取ってもらう。そのあとは、なぜその石を選んだかを言ってもらう。3Kgぐらいある石を持った女性は2人に先に取られてしまい、仕方なく重い石をつかんでしまった。「『仕方なく』で多くのお金を借りますか?」の質問に絶句。一番小さい石を取った人は「楽そうだから」という理由に「それでいいと思いますか」「努力をする必要はあるわね」などのやりとりがあった。
ファシリテーターとメンバーのやりとりで、みなは分相応なことでやっていかなければと気づく活動だった。さすが!

PM 2:00

外の気温35度、でも空気が乾燥しているので苦にならない。今年の植林は8月に雨が多く、予定通り植林ができ農民も満足。まだ苗木は小さいが、しっかり育てようと表情も明るい。貯水池にも水が満杯。近年になく貯水量が多く、「これくらいあれば1年分の農耕用水は困らないだろう」と農民に聞くと、「いや乾季にはこんな水すぐになくなってしまうので安心できないね」と厳しい表情。でも地下にも水が沁み込んでいっているので井戸水は安心だとの声。

PM 4:00 耕作地を視察

【写真】

たわわに実ったトウモロコシ畑の様子。これから刈り取りの作業が始まる。

トウモロコシ、ジャグリー(ひえの種類)がたわわに実り、そろそろ収穫。これから一家総出で刈り取りの作業が始まる。

PM 8:00 WDAの会議

男性ばかり20名が仕事を終え、村の寺院に集まり現状と今後の計画が話し合われた。皆と情報を共有する機会が月1回しかないので、議論は白熱。議題も忘れがちになってバトルになっていく一幕も。農民の一番の関心はやはり水資源の確保。植林、灌漑、井戸のことなど話は尽きない。

PM 10:00 スタッフと明日のスケジュールを確認しながら遅めの夕食

【写真】

SHGメンバーの家を訪問した時の様子。ミミズの堆肥づくりのすすみ具合を確かめた。

夕食メニューはごはん、豆のカレースープ、チャパティ、ヨーグルト、バナナ(基本的にはベジタリアンメニューである)

明日は5か村を回ってSHGのグループを訪問とミミズの堆肥づくりをすすめているSHGメンバーの家を訪問する予定。

【ちょっといい話】

【写真】

農業に適さない事業地の様子。

この事業地に最初に訪れたのは3年前。こんな不毛な土地で農業などできるのだろうかと思っていたが。いや変わればかわるものだなーと感慨。やはり水資源は「農民にとってまさに命」。水さえあれば、農業もできるし、健康な生活も送れる。水資源確保の整備に農民が参加し、木を植えていこうという意欲は、自立に向けての第一歩であると確信しています。

【地球の友と歩む会/LIFEとは?】

当会のモットーは「地に足がついた国際協力と参加しやすい国際協力」、これまでの20年間の経験値をいかして着実に歩むLIFE。日本人が事業の現場に足を踏み入れ学ぶ機会とするスタディツアーを開催しています。

【次号のお知らせ】

次号(第35号)は、スリランカで農業研修を通じ生活向上の支援を行う、特定非営利活動法人タランガ・フレンドシップ・グループの日置雅夫さんの1日をご紹介します。2月15日に掲載予定です。お楽しみに!