月刊!プロジェクトマネージャーの1日 第40回

草の根技術協力事業の現場では、プロジェクト・マネージャーという、言わばリーダーのような人が指揮をとり活動をしています。プロジェクト・マネージャーの方々が、一日何をして過ごしたかを通じて、プロジェクトにかける想いを語ります。

今回は、ザンビアでお母さんと子どもの保健改善の支援を行っている、特定非営利活動法人TICOの田淵幸一郎さんに筆を執っていただきました。田淵さんは業務調整員として、プロジェクトマネージャーと連絡をとりながら、主に現地活動の調整を行っています。

第40回:「ザンビアのお母さんや子どもたちの健康のために住民とともに奮闘中!(TICO 田淵幸一郎さん)」

  • 業務調整員:田淵幸一郎さん
  • 団体名:特定非営利活動法人 TICO
  • 事業名:チボンボ郡農村地域プライマリーヘルスケア・プロジェクト(草の根パートナー型)

はじめまして。TICOの田淵です。私たちTICOが提唱している、包括的な農村開発のための『WAHEパッケージ』(下記参照)の中の健康分野のプロジェクトとして実施中です。首都から約100キロに位置するチボンボ郡モンボシ地域で、お母さんや子どもたちの健康が住民自身の手によって守られることをめざして奮闘中です。

それでは早速、私のある1日をご紹介いたしましょう。

【私のある1日】

今日はプロジェクト実施地への出張の日です。首都ルサカにある私の事務所から実施地までは片道2時間近くかかります。ガソリン代節約のためにも週1、2回の出張で、やりたい用事を効率よく進める必要があります。

AM 5:00

寒さで目が覚める。標高1300メートルあるルサカでは、アフリカだというのに最低気温が6℃くらいまで下がります。朝食を食べながら、日本に置いてきた妻子とインターネット経由でテレビ電話をするのが、日常のいちばんのお楽しみ。

AM 8:00

四輪駆動車で事務所を出発。道ばたの売り子から新聞を買うのが恒例です。ザンビアのHIVの感染率が少し下がったという記事が載っています。事実ならば喜ばしいこと。読み終わった新聞は、プロジェクト実施地の保健ボランティアにあげるととても喜ばれます。

AM 9:00

【写真】

看護師の指導で診察実習中の保健ボランティア候補生(両端)。

途中の町チサンバで一時停車。ここの診療所の職員を講師に迎えて、保健ボランティア(コミュニティ・ヘルスワーカー)の養成コースを6週間の合宿で実施していて、その様子を確認します。このコースで養成される7名は、実施地周辺の自分の村で保健活動の最前線として働いてくれるはずです。

AM 10:30

【写真】

徒歩で川を渡る。右に建築中の橋が見える。

プロジェクト実施地の手前4キロのところを流れる川の所で車を降りて、徒歩で渡る。橋は毎年雨季になると流されてしまいます。流されない大きな橋を着工しているのですが、3年たっても完成していません。脆弱なインフラは住民の生活をさらに困難なものにしています。

AM 11:00

【写真】

建築中の簡易診療所の前で、今後の作業工程の打ち合わせ(中央が筆者)

やっとプロジェクト実施地に到着。プロジェクトで建設中の簡易診療所の進捗状況を確認します。橋が流されているため、工事の遅れが心配されます。ガソリン代はかさみますが、資材は迂回路を使って何とか運んでいるので、大きな遅れはなさそうです。

AM 11:30

【写真】

木陰で住民保健組織とミーティング(中央が筆者)。

住民保健組織と打ち合わせ。乳幼児検診の補助や住民への健康教育を彼らが実施しています。トレーニングを受けた人材の数が十分でないため、手が回っていないというのが実情です。でもメンバーはボランティアでありながら、よくがんばってくれていると感心しています。

短期の調査旅行でここに滞在した日本人医学生から郵送されてきたスナップ写真を、メンバーに手渡す。とても懐かしがって喜んでくれました。

AM 12:00

学校の先生の自宅で昼食をごちそうになる。簡単に外食できる屋台などはありませんので、出張ではお昼を持参するしかないのですが、ときどきこうして招かれることもあります。ザンビアの主食「シマ」は、トウモロコシ粉のおかゆを団子くらいの固さまで煮詰めたもの。腹持ちもいいので、夕食がいらないほどです。

PM 2:00

また川岸まで30分歩いた後、車で帰路に着く。ルサカまで行きたいという保健組織メンバーの家族も同乗させてあげる。広大な土地に散らばって村があるザンビアでは交通手段を見つけることが大変で、しかもお金がかかります。

PM 4:00

事務所帰着。伝票の整理や細かい事務仕事を片付ける。

今日は、人と会うのに何時間も待たされるといったことがなかったので、日が暮れる前に帰ることができてよかった。

PM 5:00

終業。事務所の隣が自宅なので、即帰宅。ザンビアのビールを飲みながら、夕食の支度をする。

【ちょっといい話】

【写真】

月に一度の乳幼児検診には300組以上が殺到する。保健ボランティアが体重測定している。

TICOでは、農村開発に必要な4つの領域、(1)水Water、(2)農業Agriculture、(3)保健Health、(4)教育Educationの頭文字をとって『WAHEパッケージ』と名付けて、包括的な支援を行うことで持続可能な開発を促しています。モンボシ地域でも、この保健プロジェクトの他に、教育分野のプロジェクトとしてコミュニティ・スクール支援を並行して行っています。
この保健プロジェクトも3年計画のうち9ヶ月が経過したところで、単独で見ても成果を出すための下準備といったところです。総合的な効果が顕れるまでにはもう少し時間がかかることでしょう。

また当プロジェクトでは、日本人医学生の実習も積極的に受け入れています。特にアフリカでの保健医療事情の実際を知る機会は、国際保健協力に興味をもつ医学生にとって貴重かつ魅力的なものとのことです。住民保健組織に手伝ってもらって、住民へのアンケート調査を行うなど、医学生にとっても住民にとってもお互いよい刺激となっているようです。

【TICOとは?】

地球規模の問題に苦しむ人たちの自立支援を共同作業により実施し、そこで学んだ経験と知識を地域の人々と分かち合い、私たち自身のライフスタイルを振り返るとともに、地域の精神文化の昂揚に寄与することを目的としています。

【次号のお知らせ】

次号(第41号)は、フィリピンで少数民族の保健衛生の支援を行う、特定非営利活動法人21世紀協会の川嶌寛之さんの1日をご紹介します。8月15日に掲載予定です。お楽しみに!