草の根パートナー型

平成21年度第一次補正予算による草の根技術協力事業 緊急経済危機対応−包括型採択内定案件

I.提案事業の概要
1.国名バングラデシュ
2.事業名ジョソール県オバイナゴール郡における砒素汚染による健康被害・貧困化抑制プロジェクト
3.事業の背景と必要性

バングラデシュでは1993年に飲料水から高濃度の砒素が発見され、その後の調査で約30%のチューブウエル(管井戸)が砒素に汚染されて約3万8千人の患者がいると報告されている。

アジア砒素ネットワーク(AAN)は2005年から2008年までJICA提案型技術協力プロジェクト(PROTECO)「持続的砒素汚染対策プロジェクト」を受託し、ジョソール県シャシャ郡とチョウガチャ郡で、砒素対策における住民主体性を確立すると共に、地方行政機関と政府機関(公衆衛生工学局と保健・家族福祉省)による支援体制の構築を目指してきた。この取り組みから、ユニオン砒素対策委員会を核として安全な水供給を持続させる仕組みが作られ、プロジェクト終了後も活動が継続し発展している。医療に関しては、保健・家族福祉省がつくった枠組に添って砒素中毒患者の確認システムを確立し、郡保健所が1,165人の患者を確認・登録して、指導と治療をおこなっている。また、対象2郡で砒素中毒患者の薬代を政府開発予算から支出することを試み、2008年1月地方自治局が砒素中毒患者の薬購入を予算費目に含める通達を発令し、全国に普及されることになった。

こうした成果を残す一方で新たな課題も見つかった。一つ目は、砒素中毒を診断・治療できる医療保健関係者が不足し、地域によっては未発見の患者が存在する可能性があり、たとえ確認されても適切な治療が受けられないという点である。二つ目は、砒素中毒は栄養状態の悪い貧困層に発症しやすく、治療で一時的に症状が回復しても、十分な栄養と安息を確保できないために、すぐに元の状態に戻ってしまう点である。

こうした状況から、1)住民自身が生活習慣を改善し中毒症状を予防する、2)保健・医療従事者による早期発見、治療開始によって重症化を予防する、3)さらに重症化してしまった患者とその家族を行政が支援する仕組みを作って貧困化を防ぐ、この3つのセーフティ・ネットの整備を根本的解決のための水供給と平行して進めることが急務となっている。

4.事業の目的対象地域において砒素汚染被害を抑制するセーフティ・ネット整備のため、住民、保健・医療従事者、行政の能力を強化する。
5.対象地域バングラデシュ国ジョソール県オバイナゴール郡
6.受益者層

住民検診と啓発:ハイリスク地域の約5万人。患者支援:179人、生活支援:100人

保健・医療従事者:205人、モデルユニオンの砒素対策委員会メンバー:60人

7.活動及び期待される成果
1) 住民への啓発活動
住民によって砒素による健康被害拡大防止のための生活習慣が理解される。
2)保健・医療従事者の能力強化
対象地域における保健・医療従事者の砒素中毒患者を治療する能力が向上する。
3)行政による患者生活支援の能力強化
ユニオン砒素対策委員会の砒素中毒患者の生活支援能力が向上する。
4)成果の普及活動
プロジェクトの成果を普及する。
8.実施期間2010年3月〜2012年3月(2年間)
9.事業費49,994千円(予定)
10.事業の実施体制

アジア砒素ネットワークが、関係機関である砒素対策委員会、郡保健所、県病院、県保健局と連携し、国立予防社会医学研究所(NIPSOM)の協力を得て事業を実施する。

II.実施団体の概要
1.団体名特定非営利活動法人 アジア砒素ネットワーク
2.活動内容アジアの地下水砒素汚染が見られる地域における、調査、啓発活動、医療支援、飲料水供給支援