草の根協力支援型

平成25年度 採択内定案件

I.提案事業の概要
1.国名 ブータン王国
2.事業名 ブータン王国における地域循環型有機農業による地域創成事業
3.事業の背景と必要性 ブータン王国(以下「ブータン」とする)は、国民総幸福量(GNH)を国民総生産に代わる開発指標として採用しており、その理念の下、同国農林省は2020年までに100%有機農業化を目指している。しかしながら、適切な除草方法や稲への窒素供給など農業技術に乏しく、特に雑草を原因とする稲への日照妨害および栄養素の奪取により、主要穀物である米の収穫量は非常に低く、自給率は50%程度に留まっている。また、農業の機械化が十分に進んでいないため、田植え、除草、刈取り、脱穀等の主要な農作業は手作業が主流となっており、特に若年層において重労働である農業への就業を敬遠する結果、慢性的な労働力不足という問題も抱えている。
米の自給率向上に直接的に貢献する単収の増加を実現するために最も効果的な対策は作付期間中の除草であるが、上記の労働力不足のため手作業では十分な対応ができない。その結果、雑草対策として除草剤の使用量が増加し続けている。除草剤の使用は除草に必要な労働量を大幅に減らし、除草のための作業員を雇用する人件費に比べ安価ではあるが、大量の除草剤に加え、収量確保のためには化学肥料も購入し続けざるを得ない状況が、農家にとって依然として大きな経済的負担となっている。また、除草剤および化学肥料の過度の使用は、長期的には土壌の質を低下させ、河川の汚染にもつながる。この現状は、ブータンにとって100%有機農業を達成するための弊害となっている。
上記の問題及び弊害を解決しつつ、農林省が推進する100%有機農業化を達成するためには、農作業の量及び金銭的なコストを抑えつつ、十分な収穫量を持った有機農業技術を確立・普及する必要がある。この技術が本事業の実施団体であるNPO法人民間稲作研究所(以下「稲作研究所」とする)によって開発されており、日本国内で実施されている事実を知ったブータン農林省は、稲作研究所に対し同技術のブータンへの移転について依頼した。
稲作研究所は、大豆、とうもろこし、米ぬか、レンゲなど自然資源を利用した循環型有機農法の技術を有しており、この技術がブータン国に移転されれば、農民の経済的負担を軽減し、持続可能、低予算、かつ環境負荷の少ない農業(特に主要穀物である米の生産)を実現することができる。また、油脂作物の生産及び油の生産並びに冬季における麦の裏作など農産物の多角化を推進することにより、若年層の雇用創出と農家の収入増も期待される。
100%有機農業化を推進するためには、ブータン農林省の研究機関が収量を確保した有機農業を実証し、農家への紹介・普及することが必須となる。この実証を行うためには、稲作研究所の有機農業技術をブータン農林省研究機関に移転し、同国における地域循環型有機農業推進のための基盤を整備することが必要である。この基盤整備を行うため、民間稲作研究所は草の根技術協力の提案書を提出し、同提案書は内定を受けた。
4.プロジェクト目標 ブータン王国農林省の各試験研究機関において循環型の有機農業技術が確立し、地域への普及事業を軌道に乗せること。
5.対象地域 ブータン王国、ティンプー、パロ、ワンディポダン県バジョ市
(Thimphu, Paro, Bajo(Wangdue Phodrang))
6.受益者層
(人数規模)
農林省関係機関の職員・研究者(6機関)、パロの有機農家(1世帯)
7.活動及び期待されるアウトプット <活動>
1-1. レンゲによる抑草技術の習得
1-2. 大豆粉末による育苗用床土の作成と4.5葉苗の育苗
1-3. 田植前30日及び田植後20日間、水深の安定した圃場での抑草
1-4. 2回代掻きによるヒルムシロなどの宿根性雑草の除去
1-5. 各種抑草資材の効果試験
1-6. トラクター、耕運機、レーキ等を用いた機械的抑草法の試験
2-1. レンゲによる抑草と地力向上
2-2. なたねの栽培と菜種油粕の肥料化
2-3. 大豆・なたね・米ぬか等を用いた有機質肥料の製造
2-4. 稲作の肥培管理の改善
2-5. 大豆-麦-イネ-なたねの輪作
2-6. レンゲ・大豆を栽培した圃場での稲の栽培
3-1. 大豆栽培による小麦の無窒素栽培
3-2. 大豆・なたねの搾油・精製
3-3. 精米技術の向上
<アウトプット>
1. 水田で除草剤を使わない省力的な雑草防除技術が可能となる。
2. 有機農産物の安定多収が可能となる
3. コメの品質が改善されとともに多様な農産物の生産が可能となる
8.実施期間 2016年10月〜2019年10月(3年間)
9.事業費概算額  9,997千円
10.事業の実施
体制
<日本側>
NPO法人 民間稲作研究所:上記の活動全般における日本国内および現地での研修実施およびモニタリングのための専門家派遣
学校法人アジア学院:ブータン王国農林省職員の研修受入れおよび現地業務補佐
<ブータン側>
ブータン農林省の以下の機関
National Organic Programme:現地での業務調整およびマネジメント
Research and Development Centre(ティンプー、バジョ): 試験圃場での実験、データ収集、専門家への報告
現地サポート機関
Agricultural Machinery Centre
National Plant Protection Centre
National Soil Service Centre
現地の農家:圃場での有機農業の実践
II.実施団体の概要
1.団体名 NPO法人 民間稲作研究所
2.活動内容 稲作を中心とした有機農業技術の研究、実践、研修の実施