草の根協力支援型

平成19年度 採択内定案件

I.提案事業の概要
1.国名フィリピン
2.事業名聴覚障害教育における聴覚を活用した教育実施体制支援プロジェクト
3.事業の背景と必要性

フィリピンでは、福祉施策や教育行政の未整備、特に特殊教育に対する不十分な予算措置と人的配置、また保護者の経済的な問題から、補聴器を活用した聴覚障害教育の普及が遅れている。

聴覚障害児は、早期に補聴器装用による聴覚補償と適切な教育を受けなければ音や音声を受聴できず、話し言葉でのコミュニケーション能力や学習能力の発達に大きなハンディを背負う。そのため聴覚障害教育では、早期より基本的なコミュニケーションに対する意欲・態度・技能の育成を行うため、残存聴力の活用、読話、発音・発語訓練などを含む総合的な教育を行う。

提案団体はこれまで10年以上に亘り、フィリピンの5つのろう学校に対して1)里親制度による就学支援、2)補聴器や補聴システムなどの機材支援、3)ろう学校教員に対する現地での専門技術研修および日本での招聘研修、さらに4)現地での保護者、教員、医療関係者などを対象とした、聴覚障害児の早期発見と、聴覚を活用した教育の重要性についての啓発セミナーを実施してきた。その結果、提案団体が支援するろう学校では、聴覚を活用した教育が着実に根付き始め、また日本で研修を受けた現地教員が講師となり現地での啓発セミナーを実施できるまでになってきた。しかしながら、現地のろう学校教員は、早期教育の経験が乏しく、早期から聴覚を活用した指導に関する研修が望まれている。また支援対象校のうち2つのろう学校では聴覚検査室の未整備など、聴覚を活用した早期教育を効果的に実施する上で施設的な問題も抱えている。

さらにフィリピンでは聴覚障害の発生率が日本の10倍近いといわれているが、その理由として胎生風疹の予防接種が普及していないことがあげられている。そのため聴覚障害の早期発見とそれに続く教育の実施についてもろう学校と医療機関との連携は不可欠であり、教育行政関係者と、耳鼻科医師などの医療関係者あるいは医学生などに対して、将来的な聴覚障害の予防と発見などに関する啓発セミナーの開催、そして教育と医療のネットワーク作りの重要性が指摘されている。

4.事業の目的1.実施団体が支援する5つのろう学校、およびその周辺地域の聾学校教員の、聴覚障害児に対する聴覚を活用した教育指導技術を向上させる。
2.聴覚障害の早期発見後の聴覚を活用した教育を可能にするため、対象校の教育的支援体制の整備を図る。
3.実施団体の支援校がある都市とその周辺地域で、聴覚障害教育における早期補聴と聴覚を活用した教育を普及・促進するための理解啓発を図る。
5.対象地域実施団体が支援する5つの聾学校がある都市とその周辺地域(マニラ、セブ市、イロイロ市、バコロド市、およびダバオ市(現地の治安状況による))
6.受益者層聴覚障害児とその保護者、聾学校教員、学校管理者、教育委員会、学校関係者、耳鼻科医師、医療関係者
7.活動及び期待される成果1.対象校およびその周辺地域の聾学校の教員を対象とした、聴覚障害の早期教育に関する現地専門研修を行い、現地教員の聴覚を活用した指導についての理解促進と指導法の技術移転を行う。
2.支援対象校で早期教育を担当する教員を日本に招聘し、指導技術の向上を図るための専門技術研修を行い、教員の指導法および聴覚機器の取り扱い方法を習得する。
3.サン・マルチン・デ・ポーレス聾学校(セブ市)で、効果的な聴覚障害教育を実施するための環境整備支援として、集団補聴システムおよび聴力検査室の施設整備を行う。
4.対象校のある地域(セブ市、イロイロ市)で聴覚障害児の早期発見と聴覚を活用した教育の必要性と効果を啓発することを目的に聴覚障害児童の保護者、教育関係者、医療関係者および医学生などを対象とした啓発セミナーを開催する。
8.実施期間2007年10月〜2010年10月(3年)
9.事業費1,000万円(予定)
10.事業の実施体制

日本側:

  • フィリピン耳の里親会
  • 北海道の聾学校(旭川聾学校など)

現地側:

  • 提案団体の支援校5校
    1. セント・フランシス校(マニラ)
    2. サン・マルチン・デ・ポーレス校(セブ市)
    3. イロイロ市特殊学校(イロイロ市)
    4. エディケーショナル・リソース・センター(バコロド市)
    5. リザール・スペッド校(ダバオ市)
  • セント・トーマス大学(マニラ)の耳鼻科教授(マルチネス医師)
II.実施団体の概要
1.団体名フィリピン耳の里親会
2.活動内容フィリピンの聴覚障害児への奨学金支援(里親制度)
フィリピンの聴覚障害教育のための補聴器その他の教育機器支援
現地での聴覚障害教育についてのセミナー開催
フィリピンの聴覚障害教育に携わる現地教員の日本での研修
3.対象国との関係、協力実績

1992年以来、以下の事業を実施している。

  • 里親制度:2007年3月現在、56名の里子に対する就学援助を実施。
  • 聴覚障害教育機器支援:1992年から2007年3月までに、個人用補聴器431台、集団補聴器56台などの教育機器を支援。
  • 現地セミナーの開催:1992から6つの地域、のべ21回の現地セミナーを開催。
  • 招聘研修事業:1993年から7回実施し18名が来日。