草の根協力支援型

2015年度 採択内定案件

I.提案事業の概要
1.対象国名 セルビア共和国
2.事業名 セルビア共和国スメデレボ市実施対象校の教員に対する難民児童への「心のケア」支援事業
3.事業の背景と必要性

90年代に発生した一連の内戦から長い年月が経った現在でも、セルビア共和国には約27万人のクロアチア、ボスニアそしてコソボから逃れてきた難民(国内避難民も含む)が暮らしている。特にコソボ難民にはロマ人が多い事もあって、地元住民の中には難民への差別感情が根強く存在しており、社会的融和には至っていない。また難民児童においてとりわけ問題となるのが、義務教育である初等学校(日本の小中学校に相当)における怠学、留年、退学(妊娠による若年結婚の退学も含む)、不登校というドロップアウト傾向である。このままでは学校からのドロップアウトが実社会でのドロップアウトに直結し、親世代と同じく福祉依存、正職に付けないが故の季節労働という「難民生活」の恒常化が懸念される。

教員は難民児童への配慮ある対処法の必要性を認識しているものの、そのノウハウを学ぶ機会が不足しており、結果としてどのような層の生徒にも画一的な「知識学習型教育アプローチ」を実施している。加えて2015年9月にセルビア政府が発表した「心理職や専任の生徒指導など生徒を授業以外の側面から支える専門職」の人員削減は、教員にとって適切な対処法で難民児童と接する必要性を更に増したといえる。そこで本事業では、教員が心のケアに配慮した対処法を身に付け、子ども達が問題を抱えながらも義務教育を修了できるよう、適切な指導力を獲得することを目的として実施する。

4.プロジェクト目標 実施対象校の教員が心のケア対処法を習得し、日々実践することにより、難民児童の学校適応が促される。
5.対象地域 スメデレボ市マラ・クルスナ地区、コバチチェボ地区
6.受益者層
(ターゲットグループ)
直接受益者:スメデレボ市コバチチェボ地区ブラニスラブ・ヌシッチ初等学校、マラ・クルスナ地区ジュロ・ヤクシッチ初等学校の教員約80名 間接受益者:実施対象校に通学する難民児童約230名、周辺校の教員等同地域の教育関係者約450名 合計:760名
7.期待される成果及び活動

(成果)
1.心のケアに関する座学と支援技法に関する研修を受けた教員たちが基礎的な知識を手に入れる。
2.月2回の課外活動が軌道にのることで、当初OTJを受けていた教員たちが、内容策定やファシリテーションなどでイニシアティブを取ることが可能となる。
3.心のケアの取り組みに関するマニュアルが作成され、教員における知見の定着と地域に向けた情報発信がなされる。

(活動)
1.難民等社会的弱者層に対する理解を深めるための座学研修の実施。教員を対象に子どもの話を聞く態度を育成するトレーニングの開催。教員を対象とした宿泊を伴う研修の実施。研修実施後にアンケート調査を行い、研修による教員の理解到達度を調査。
2.難民児童及びその周辺児童を対象とした英語、PC等をモチーフとしたワークショップ形式の課外活動を実施し、それを心のケアに関する受益者教員のOJTの場とする。難民児童の生活拠点において、学校生活及び課外活動参加へのモチベーション向上を目的としたワークショップの開催。難民児童、地元児童及び教員間の関係性強化のために、史跡、美術館の見学等の校外活動の実施。教員ならびに児童に対するアンケート、聞き取り調査により、課外活動でのグッドプラクティスと問題点を明らかにする。定期的な授業視察により、教員たちの心のケアの実施具合を確認する。
3.これらの活動で浮上してきたグッドプラクティスや課題も含めて、心のケアによる対処法をまとめたマニュアルを受益者教員と共に作成し、学校内での心のケアの定着と活用に繋げ、事業終盤には教員による「活動成果発表」の場を設け、事業経験を関係諸機関、周辺校の教員に発表する。

8.実施期間 2016年8月〜2018年1月(1年6か月)
9.事業費概算額 9,996,000円
10.事業の実施体制 プロジェクトマネージャーの監督の下、現地スタッフを3名雇用して各活動がスムースに行える様に人員を配置する。ACC東京事務局でも国内調整員を2名配置する。
ACCと長年協力関係にある現地NGO“Zdravo da ste”と提携して事業を展開し、実施校、スメデレボ市地域教育センターとの綿密な連携体制の下に事業の実施にあたる。
II.応募団体の概要
1.団体名 特定非営利活動法人 ACC・希望
2.活動内容 セルビア共和国、カンボジア王国、日本国内に於ける心理社会的支援、教育環境整備支援