地域経済活性化特別枠

草の根技術協力(地域経済活性化特別枠)事業概要

I.提案事業の概要
1.国名 中華人民共和国
2.事業名 遼寧省との揮発性有機化合物(VOC)対策協力事業
3.事業の背景と必要性 重化学工業地帯であり、また急速に自動車が増加している遼寧省では、PM2.5等による大気汚染が深刻な状態にある。PM2.5対策を行うには、原因物質である揮発性有機化合物(VOC)※等の実態を把握し、削減対策を検討することが必要となる。遼寧省ではすでに必要な分析機器(GCMS約2,000万円)や消耗資材を自己予算で整備しているが、高い精度の必要なVOC測定の技術的ノウハウを持ちあわせていなく、十分な対策が講じられていない。
こうした中、JICA草の根技協(地域提案型)「自動車排出ガス対策事業」(2012.7〜2015.3)を共同で実施している遼寧省側から富山県に対し、VOC対策への協力要請があった。PM2.5対策には、移動発生源である自動車の対策はもちろん、工場・事業場等の固定発生源の対策も必要である。そのため本事業は、先行プロジェクトを発展させ、全ての発生源を対象として、VOCという新たな切り口で対策を実施する。具体的には遼寧省におけるVOC調査体制の整備や排出抑制に向けた普及啓発に協力するとともに、排出抑制対策の立案・実行を支援する。またPM2.5等による本県はじめ日本への越境大気汚染の改善にも貢献する。
※揮発性有機化合物(VOC);揮発性を有し、大気中で気体状となるトルエン、キシレン、ベンゼンなど多種多様な物質の総称。工場や家庭などで溶剤や原料等として多用されるほか、自動車等の燃料にも含まれる)
4.プロジェクト目標 遼寧省においてVOC対策のための人的および技術的な基盤が整備される
〈指標〉
1)育成された人材(VOC測定技術習得20名・大気汚染防止政策の指導的人材5名)によるVOC対策の継続的実施
2)VOC実態調査結果をベースにしたVOC対策の立案
3)事業者等の省民に向けたVOC削減対策の普及啓発の実践
5.対象地域 遼寧省、瀋陽市
6.受益者層
(人数規模)
【直接受益者】遼寧省内の大気環境担当者による技術習得者数20名、指導的役割を担う人材5名、総括報告会の参加者100名、大気汚染防止の意識啓発が図られる瀋陽市民1000人
【間接受益者】瀋陽市民830万人
7.活動及び期待されるアウトプット 〈アウトプット〉
ア.遼寧省内の大気環境担当者が、VOCに係る採取、分析、解析技術を習得する。
イ.遼寧省瀋陽市の大気中VOCの汚染実態が把握される。
ウ.VOC実態調査体制の整備のあり方や、調査結果を活用したVOC対策などの企画立案、実行、解析について検討・指導できる人材が育成される。
エ.遼寧省の行政及び研究機関の担当者、VOC取扱い事業者など省民によるVOC等の影響を改善するための削減対策の取組みが推進される。
〈活動〉
1−1 遼寧省に富山県環境科学センターの職員を派遣し、VOC測定法の採取、分析、解析技術について現地指導を実施する。
1−2 遼寧省及び瀋陽市の大気環境担当者に対し、VOCの採取、分析、解析技術及びVOC調査体制の整備のあり方等についての研修を富山県環境科学センターで実施する。
2−1 既に遼寧省に設置されているガスクロマトグラフ質量分析計を活用し、大気環境のVOC存在状況を確認する。(定性調査、スクリーニング調査)
2−2 検出された物質を中心に対策が必要なVOC項目を選択し、住宅地域、工業地域、幹線道路沿道(都市部)等において試料をキャニスターで採取し、汚染濃度を把握する。
3−1 富山県、富山県環境科学センター、(公財)環日本海環境協力センター及び遼寧省の大気環境担当者がVOC対策協力事業の取組みに関する検討会を富山県で開催する。
3−2 遼寧省に富山県環境科学センター等の職員を派遣し、調査結果を基に問題点や疑問点について現地指導を実施する。
3−3 富山県、富山県環境科学センター及び(公財)環日本海環境協力センターの職員を遼寧省に派遣し、VOC対策協力事業が円滑に進行するように必要に応じて調査、調整を実施する。
3−4 遼寧省大気汚染防止コントロールセンターが、VOC調査結果の解析を実践する。
4−1 富山県、富山県環境科学センター及び(公財)環日本海環境協力センターの技術者を遼寧省に派遣し、遼寧省でのVOC調査結果や溶剤等の身近なVOC対策などについて提案し、理解を深めるための総括報告会を、大気環境担当者、事業者など省民を対象に遼寧省で開催する。
4−2 本事業の成果や家庭・事業活動、自動車運転等での身近なVOC対策を取りまとめた省民向けのリーフレット1,000部を作成する。
4−3 遼寧省との協力事業を富山県民にPRし、国際環境協力への理解を深めてもらうためのパンフレット1,000部を作成する。
8.実施期間 2015年1月〜2017年3月
9. 事業費概算額 28,515千円
10.事業の実施体制 富山県(環境政策課、環境科学センター)、(公財)環日本海環境協力センター
遼寧省(環境保護庁国際合作処、大気汚染防止コントロールセンター等)
II.応募団体の概要
1. 団体名(提案自治体) 富山県
2. 対象国との関係、協力実績 富山県と遼寧省は友好県省等を締結(1984(昭和59)年;友好県省締結、2009(平成21)年;互恵協力と共同発展のための協定を締結)している。富山県と遼寧省とは、これまで遼河流域や遼東湾の水質や黄砂、自動車排出ガスに関する共同調査研究・協力事業を実施し、現地調査、研修員の受入、技術者の派遣などの協力実績が多数あり、両者は良好な関係を築いている。