第1回:カンボジアで子どもの健康増進に取り組んでいます!シェア=国際保健協力市民の会 虎頭 恭子さん

【画像】記念すべき第1回は、カンボジアで子どもの健康増進に取り組む、特定非営利活動法人シェア=国際保健協力市民の会の虎頭 恭子さん(地域保健専門家)に筆を執っていただきました。

Q1. 所属団体とカンボジアでの事業概要を教えてください!

団体/組織名 シェア=国際保健協力市民の会
主な活動国・地域 カンボジア、東ティモール、タイ、国内(在日外国人・東北大震災)
団体が目指していること アジア・アフリカ地域へ保健・医療専門家を派遣し、プライマリ・ヘルス・ケアの理念に基づいて、地域保健、エイズ対策等のプロジェクトを実施しています。日本国内では、医療サービスを受け難い環境にある外国人を対象に健康相談等を行っています。
事業名 カンボジア国スバイアントー郡保健行政区における子どもの健康増進プロジェクト
事業概要 予防活動・診断活動・治療システム構築を3本柱として、2歳未満の子どもたちの健康増進(栄養不良児率低下)に取り組んでいます。特に、活動のキーとなる人たち(地域保健活動に関わる保健行政官・保健センターのスタッフ・保健ボランティア)の能力強化と連携強化に力を入れています。

Q2. 国際協力に関わるようになったきっかけ、理由を教えてください!

高校時代、映画で見ていた"外国"に憧れて米国に留学。しかし、留学先での同級生の多くはカンボジアやエルサルバドルといった内戦を経験している国々や、フィリピン、メキシコといった貧しい国々から来た移民の子どもたちでした。彼らとの出会いから"外国"には自分が想像していたよりも多くの国があり、各国に様々な事情があることに圧倒され、いつか国際協力に関わりたいと思うようになりました。
その後は看護師となり、青年海外協力隊でホンジュラスへ派遣されました。派遣先では、山間のクリニックで母子保健活動に取り組みましたが、自分が"主役"になることを描いていると何もできず、思い悩んでいました。
そんな折、専門家のプロジェクトを見る機会があり、まさに"黒子"となって現地の人々を支える彼らの活動に目からうろこが落ちました。自分もあんな活動に関わりたい−これが国際協力に関わるようになった原点です。

Q3. カンボジアで事業をはじめたきっかけや対象地域、対象者を選んだ経緯・背景を教えてください!

シェアでは、カンボジア国内において8〜10年間隔で活動を実施しており、本事業の活動地(プレイベン州スバイアントー郡)でも2008年から活動を開始していました。活動地を選ぶにあたっては、カンボジア国内における貧困率や乳幼児死亡率の高さ、カウンターパートである保健行政官のモチベーション等を吟味して地域をしぼり、さらに住民が保健センターのサービスにアクセスしづらい5保健センターの管轄区を選出しました。
活動開始当初、プレイベン州では10人に1人の子どもが5歳までに命を落としていました。子どもの死亡原因の35%は栄養不良であると言われています。そこで本事業では、子どもの栄養改善を軸として、コミュニティが予防・診断・治療という3本柱で子どもの健康増進に包括的に関わる仕組みづくりを行っています。

Q4. 事業に関わる上で、一番気を配っていること/気を付けていることはなんですか?

カンボジアの保健セクターでは、研修を受けられる人が非常に限られているため、保健行政官や保健センターのスタッフ、保健ボランティアなど、なるべく多くの人を巻き込むことに気を配っています。特に、活動の鍵となるのは保健センターのスタッフです。保健ボランティアとの協働に積極的でなかった保健センターのスタッフが、研修の機会を得て自分のスキルに自信をつけることで、保健ボランティアとの連携が進むという効果も出ています。

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低体重児の家をマップに記入する保健ボランティアと保健センター

また、個人的に気を付けていることは「決断に迷ったときは、一番弱い人の立場に立って決める」ということです。本事業は公的保健システムの強化を支援するものですが、最終的な裨益者は住民であることを忘れないようにしています。

Q5. これまでに一番困った/苦労したことはなんですか?また、どのように乗り越えましたか?

子どもの健康増進という目標を達成するためには、保健行政官と保健センターのスタッフ、保健ボランティアの協働が重要ですが、保健行政官と保健センターのスタッフは当初、保健ボランティアとの協働に懐疑的でした。彼らはお金が支払われないボランティア活動は成り立たないと思い込んでいたためです。保健センターのスタッフに「もしあなたがボランティアだったら、お金をもらえなくてもコミュニティのために活動しますか?」と尋ねた際、「しないね」と言われてしまったときは、困ったと思いました。
しかし、コミュニティで起きている子どもの栄養不良の現状について関係者が一緒に調査・分析を行い、計画を作成したことで、現在は「子どもの栄養状態を改善する」という同じ目標に向かって、現地の人たちが自ら主体的に活動を決めて行こうという姿勢を持つようになりました。自分ならボランティアはしない、と答えた前述の保健センタースタッフも、現在は積極的に最も保健ボランティアと協力するようになっています。

Q6. では、一番嬉しかった/やりがいを感じたことはなんですか?

私たちが仕掛けようとした活動以外に、対象者による自発的な動きが起きていることを知ると、とても嬉しいです。例えば、保健ボランティアと保健センターのスタッフが自分たちでコミュニティの栄養不良児へのフォローアップを始めています。また、保健行政局長も自ら活動のデータをまとめ始めています。

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関係者で計画作成

こうした動きを見るたびに、私たちが持つべきはあくまで外部的な関わりであり、現地の人々をコントロールしようとしてはいけないのだと改めて内省しています。

Q7. 事業を進めていく中で、現地の人々にはどのような変化が見られますか?
今後重要になると思われること、今後の抱負を教えてください!

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低体重児を診察する虎頭さん

保健行政官・保健センターのスタッフ・保健ボランティアが「子どもの栄養状態を改善する」という同じ目標を共有し、活動に関わり始めています。また、コミュニティの人々に、子どもの成長を見守る姿勢が見られるようになりました。今後は、こうした変化に関する情報や、既にまとめられているデータをカウンターパートと一緒に発信していきたいと思います。草の根で行われている活動の有効性や汎用性を報告し、カウンターパートがより自信をもって業務に関わっていけるようになればと思います。

Q8. 最後にお聞きします。ずばり!国際協力を色に例えると何色でしょう?

白:カウンターパートと裨益者と共に、ありたい事業の形を作っていく。何色に染まるか分かりませんが、スタートは白じゃないかと思います。

ありがとうございました!