第2回:ネパールで循環型農業と景観保護を通じた農民の生計向上に取り組んでいます!ラブグリーンジャパン 鈴木 倫子さん

【画像】第2回は、ネパールで循環型農業と景観保護を通じた農民の生計向上に取り組む、特定非営利活動法人ラブグリーンジャパンの鈴木倫子さんに筆を執っていただきました。

Q1. 所属団体とネパールでの事業概要を教えてください!

団体/組織名 ラブグリーンジャパン
主な活動国・地域 ネパール カブレ郡 シンドゥパルチョク郡、マクワンプル郡
団体が目指していること ネパールに暮らす仲間とともに、より豊かな自然環境の回復と農村の生計向上を目指して活動しています。
事業名 丘陵地における自然環境に配慮した循環型農業と景観保護を通じた生計向上
事業概要 環境に負荷をかけず、出来るだけ自然の働きを活用した安全な野菜作りを中心に、植林やバイオガスの設置を組み合わせた循環型農業と景観保護で農村の生計向上をめざしています。農民を組織しての販売活動(BOPビジネス調査)にも取り組んでいます。

Q2. 国際協力に関わるようになったきっかけ、理由を教えてください!

海外とつながっていたいという思いがあり、大学卒業後は旅行業界に就職しました。人と接したり、人に喜ばれたりするのは好きでしたが、多忙なわりに、仕事への物足りなさを感じていました。

「もっと人の役に立つことがしたい」という思いから、それまで漠然と関心を持っていた途上国の人々に関わることにしました。まずはNGOが主催するスタディツアーに参加し、その後はNGOのイベントの手伝いや国内事務所のボランティアを始めました。

Q3. ネパールで事業をはじめたきっかけや対象地域、対象者を選んだ経緯・背景を教えてください!

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デモ畑づくりの様子

1991年の設立以来、現地の姉妹団体をパートナーとして、ネパールのカブレ郡パンチカール盆地で植林、農村開発活動を実施しています。2007年に同国で国際NGOとして登録してからは、先方の政府機関からの「活動をネパールの農村開発モデルとして、他郡にも拡げてほしい」という要望を受けて、カブレ郡でこれまで対象としていなかった村、また隣接する2郡でも活動を始めました。

Q4. 事業に関わる上で、一番気を配っていること/気を付けていることはなんですか?

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現地のパートナー団体との会議

活動の進め方についてはもちろん、日本側の計画もありますが、コミュニティの住民と直接関わるのは、現地パートナー団体のネパール人スタッフなので、現場をよく知る彼らの考えや取り組み方を理解、尊重し、できる限り現場の意向に添えるよう気を配っています。例えば、何か問題が起きた際には、必ず現場のスタッフに相談するようにしています。日本からは、外からの視点や気づきを伝えることができればいいなと思っています。

Q5. これまでに一番困った/苦労したことはなんですか?また、どのように乗り越えましたか?

こちらに赴任してすぐに「彼がなんでもしてくれるから大丈夫!」と頼りにしていたパートナー団体の重要なスタッフが病気になってしまったことです。プロジェクト現地指揮官の不在に、私も他のネパール人スタッフたちも動揺しましたが、このことをきかっけに「指示を待つのではなく、自分がすべきことは自分で責任を持つ」という自覚が、自分を含むプロジェクトスタッフ全体に芽生えたような気がします。

Q6. では、一番嬉しかった/やりがいを感じたことはなんですか?

私がネパールにいるということで本当に多くの人たちが応援してくれていると感じることです。友人や家族がネパールに遊びに来た際、プロジェクトの現場を訪問したり、観光に来た人たちが活動に共感し、会員になったりお手伝いをしてくださいます。また、現地に来ることができなくても、何かにつけネパールのことを気にかけてくれたり、いろいろな人たちに支えられていることが励みになっています。

Q7. 事業を進めていく中で、現地の人々にはどのような変化が見られますか?
今後重要になると思われること、今後の抱負を教えてください!

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IPM農法を取り入れたトマト栽培を観察

対象地の中には、カーストが低いとされる人々が住み、NGOの支援が入るのも初めて、という村もありました。当初、役所の人からは「彼らにはやる気がない」と言われていましたが、実際にプロジェクトを始めてみると、みな積極的に活動に取り組み、研修で習ったことをみるみる吸収していきました。

特に研修で紹介したIPM(Integrated Pest Management:総合的害虫・雑草管理)農法は、農民同士の口コミで広まっていきました。また、収穫した野菜を農民たち自身が販売する動きも始まっています。まだマーケットは小さいのですが、活動が根付くには、村の人々が自信をつけ、意欲を持つ姿勢が大事だと思います。これからも農村に暮らしたい人々が農業で稼げる仕組みを作っていけたらいいと思っています。

Q8. 最後にお聞きします。ずばり!国際協力を色に例えると何色でしょう?

緑:ラブグリーンなので、やはり「緑」でしょう。緑豊かな世界は人々の心も潤うのではないでしょうか?

ありがとうございました!