第3回:ブラジルで子育て支援体制の強化による地域力向上に取り組んでいます!光の子どもたちの会 鈴木 真由美さん

【画像】第3回は、ブラジルで子育て支援体制の強化による地域力向上に取り組む、特定非営利活動法人光の子どもたちの会の鈴木真由美さんに筆を執っていただきました。

Q1. 所属団体とブラジルでの事業概要を教えてください!

団体/組織名 光の子どもたちの会
主な活動国・地域 ブラジル国セアラ州アラカチ市
団体が目指していること 活動を通して、特に子どもたちに対し、自らの将来を選択していくための「生きる力」を持てるように支援しています。
事業名 ブラジル東北部子育て支援体制強化による地域力向上プロジェクト
事業概要 地域の育児支援体制を強化し、子どもたちの健全な成長発達の促進と虐待防止に向け、下記3つの活動を実施。
1.子育て支援広場の開設、
2.小中学校7〜9年生の児童を対象にライフスキルトレーニングの実施、
3.地域住民と各行政機関が連携したコミュニティーネットワークの創設

Q2. 国際協力に関わるようになったきっかけ、理由を教えてください!

日本で保育士を目指していた学生時代、実習先の保育園や幼稚園で見た疲労感がある子どもや、遊ぶ元気もなくテーブルにうつ伏せになっている子どもを見て「この子どもたちはどうしたのだろう?」という疑問がわいてきました。"子どもは元気で、エネルギッシュ"という私の個人的な思いが強かったせいもあったと思います。この疑問から「世界の子ども達はどうなのかな?」と考えたことをきっかけに、「今しか行けない場所へ」と知人の紹介でブラジル、サンパウロにあるファヴェーラ(スラム街)の中の保育園に実習に行きました。そこで出会った子ども達は、栄養失調で着るものもなく、けっして豊かではありませんでしたが、目がキラキラと輝き、体の奥底から湧き出てくるエネルギーに溢れているのが見えるようでした。
「私の疑問の答えがここにあるかもしれない!!」世界中のどんな場所で暮らし、生活していても、子ども達には笑顔でいてほしい。そんな願いを胸に、国際協力に関わるようになりました。

Q3. ブラジルで事業をはじめたきっかけや対象地域、対象者を選んだ経緯・背景を教えてください!

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コミュニティーネットワーク創設式の様子

近年W杯やオリンピックの開催が決まったことにより、ブラジル政府は以前にも増して観光産業に力を入れています。私たちの活動拠点であるカノア・ケブラーダ地区は、政府が特に力を入れている東北部にあり、観光指定地区となったことで、今まで以上に急激な経済発展を遂げるようになりました。この影響で他地域からの移住者が増え、地域内格差が広がり、同時に治安の悪化や青少年の売春、麻薬の売買などの問題が深刻化し、暴力事件も相次ぐようになっていきました。そこで、地域が抱える問題(治安悪化・ストリートチルドレン・虐待・家庭崩壊など)の早期発見・早期対応に向けた取り組みを行うために、各専門機関と地域住民を交えたネットワークを構築し、青少年の問題減少を目指して、小中学校7〜9年生の児童が義務教育終了後の進路を自ら設計できる力を身につけられるよう、ライフスキルトレーニングを実施することとなりました。

Q4. 事業に関わる上で、一番気を配っていること/気を付けていることはなんですか?

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コミュニティーネットワークの定例会議

私は日本人なので、いつ何時、日本に戻る必要が出てくるか分かりません。そのため、どんな活動を実施するにしても、現地の人たちが主体となり、その後も自分たちの手で活動を継続できるよう、地域住民の人材育成を大切にしています。事業を実施する中でも、結論を出すのは地域住民。時間がかかっても、答えは自分達で出す。最終決断は自分達でする。そのために私は常に、一歩引いて見守り、場所や環境づくりをすることに一番気を配っています。

Q5. これまでに一番困った/苦労したことはなんですか?また、どのように乗り越えましたか?

事業の一環として子育て支援広場を開設したのですが、当初予定されていた場所を変更しなければならない事態が発生しました。開設予定地の管理をしていた住民協会の女性グループが、小さな子ども達がいては困ると言い始め、急きょ別の場所を探す必要が出てきたのです。地域行政も含め、それぞれが開設場所の候補地を出したのですが、なかなか1つに絞れず…。計画が大幅に遅れてしまう可能性があるため、効率良く決めてしまいたかったのですが、そこは議論が大好きなブラジル人。何度もとことん話し合い、関係ない話で盛り上がり、ようやく全員一致で開設場所が決定されました。有意義な時間ではありましたが、"計画"という2文字を知らない彼らに囲まれ、私は一人でひやひやしていました。また、ブラジル時間のため、いつも会議は予定時刻に開始されず…。今では、会議の連絡をする際、必ず開始予定時刻より30分前の時刻を伝えることにしています。

Q6. では、一番嬉しかった/やりがいを感じたことはなんですか?

当時、地域住民は地域行政や専門家に対していつも不満ばかりを口にしていました。しかし、コミュニティーネットワークの創設後、学校に対する不信によって登校拒否をしていた子どもの保護者から、学校と共に改善点を見つけていきたいとの申し出がありました。ネットワークが仲介をはかった結果、登校拒否だった児童は再び学校に登校できるようになりました。また、保健所や病院に「行きたくない」と言っていた住民が多く、そのために病気が悪化してしまうことがありましたが、専門家同士で連携を取り、巡回保健師や学校、保育園関係者からの情報を元に、専門家自らが動くようになったことで、悪化する前に手当てをすることができるようになりました。事業として実施していたことから発展した新たな取り組みを見ることができ、本当にうれしかったです。

Q7. 事業を進めていく中で、現地の人々にはどのような変化が見られますか?
今後重要になると思われること、今後の抱負を教えてください!

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赤ちゃん週間キャンペーン、ベビーマッサージの講座風景

事業開始から1年で、まだ実施できていない活動もあるだけに、そこまで大きな変化は現れていません。現時点での一番の変化は、地域行政に属する専門家たちの意識だと思います。看護師、保健師、ソーシャルワーカー、心理士など、地域住民にとっては遠い存在だった人たちが、地域住民の言葉に耳を傾け、必要とあらば家庭訪問をし、他の専門家と連携している様子を見ていると、これが事業を実施してから現れた変化といえるのではと思います。ただ、これらの専門家はずっと同じ地区、地域で活動していくとは限らないため、こうした活動を継続していくためには、その引き継ぎ方法というのが重要となってくると感じています。保健所の医師の多くは全く引き継ぎをしないので、地域住民は毎回自分の情報を伝えねばならず、なかなか治療が進められないということがよくあります。私達の活動の中で引き継ぎの方法を確立し、今後役立てていきたいです。

Q8. 最後に「くさのね」で、あいうえお作文をお願いします!

 苦しくても

 寂しくなっても

 望むことはただ一つ

 ネヴァー・ギブアップ!!

ありがとうございました!