第7回:インドで母子保健の改善に取り組んでいます!アーシャ=アジアの農民と歩む会 三浦 照男さん

【画像】第7回は、インドで母子保健の改善に取り組む、特定非営利活動法人アーシャ=アジアの農民と歩む会の三浦照男さんに筆を執っていただきました。

Q1. 所属団体とインドでの事業概要を教えてください!

団体/組織名 特定非営利活動法人 アーシャ=アジアの農民と歩む会
主な活動国・地域 インド・ウッタルプラデシュ州アラハバード県
団体が目指していること 「より持続可能に より女性の参加を より子どもに教育を」をモットーに農村で働く人づくりを目指しています。
事業名 インド・政府保健機関スタッフと農村保健ボランティアの協働による統合的母子保健事業
事業概要 北インドU.P.州アラハバード県の政府機関保健スタッフと育成された農村保健ボランティア(VHV)の協働によってモデル的な住民参加型母子保健・栄養普及活動が構築されることを目的とした事業を実施しています。

Q2. 国際協力に関わるようになったきっかけ、理由を教えてください!

19歳の時、アジアの農村で仕事をしたいという友人の話を聞いたのが国際協力に関わるきっかけとなりました。高専を卒業する20歳の時、通っていた教会の牧師と相談し、国際協力の道に進むことを決意しました。その後、農業や農村開発を学び、25歳の時(1978年)、NGOの農業プロジェクトスタッフとしてバングラデシュに赴きました。そこでの3年間は、文化、宗教、価値観の違いに戸惑い、葛藤の日々だったことは今でも忘れません。しかし、異文化社会での国際協力経験は私に次のステップを踏むうえで貴重な体験と学びを与えてくれました。国際協力に対する姿勢や考え方、また今後どのような学びを積み重ねていけばよいのか、多くの示唆を受けました。異文化同士だからこそ、現地の人々も私たちも成長できることを知ってからは、共に活動してくれる同僚や農村住民がいることにいつも感謝するようになりました。

Q3. インドで事業をはじめたきっかけや対象地域、対象者を選んだ経緯・背景を教えてください!

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育てた種から育てたモリンガの木をバックに全員集合

2004年に、現在のカウンターパートであるサムヒギンボトム農工科学大学・継続教育学部が実施していた活動を、私が引き継ぐことになったのが当事業を始めたきっかけです。私が引き継いでからは、それまで当学部が行っていた手押しポンプやトイレの設置活動から、農村保健ボランティア(VHV)育成に重点を移しました。その方が、より持続可能で、自発的住民参加の活動が行なうことができると考えたからです。
当初、VHVの募集は事業の紹介をするための村落集会で行っていましたが、応募する農村女性が非常に少なく、難儀しました。しかし、時間が経ち、住民との信頼関係が増すにつれ、応募者が増えてきました。応募者は継続学部と現場でのトレーニングとテストを何回か受け、保健ボランティアに適正かどうか判断されます。通常おおよそ3割の受講者がVHVとして残ります。
活動地域の選定については、県の保健局局長から県南部の辺境の郡、ジャスラ郡とシャンカルガル郡(人口38万人)を事業対象地域に含めるように頼まれました。この地域は石切り場が多い県内でも、特に貧しい農村地帯で、交通の便が悪く、労力や経費の負担も増すことが予想されました。しかし、弊会の目的に合致すること、政府関係者との協力体制が強化できる可能性があること等を考慮し、県からの申し出を受諾することにしました。

Q4. 事業に関わる上で、一番気を配っていること/気を付けていることはなんですか?

一番気を付けていることは、弊会のスタッフや専門家が手や口を出し過ぎないこと、可能な限り、VHVが主体的に活動できるようにサポートすること、その活動によって農村女性たちが自信と誇りを得、更なるチャレンジができるようにステージを整えることです。また、VHV同士がチームワークを発揮して活動することの意義を認識させ、他者を思いやり、協働することの大切さを学べることができるよう配慮しています。またベテランVHV(VHVリーダー)が新任のVHVを育成しているか、そして彼女たち自身が成長しているかを定期的な評価ができるよう気を配っています。

Q5. これまでに一番困った/苦労したことはなんですか?また、どのように乗り越えましたか?

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収穫感謝祭で優秀なVHVを表彰

アラハバードの人たちは時間を守ることが苦手です。当学部のスタッフ、VHVや農村の人たちもしかりです。30分の遅れはざらで、咎めると「あなたはインドのことを知らない」と反対に咎められてしまいます。私たちと協働している政府保健機関スタッフはもっとルーズです。決められた活動時間にスタッフや政府関係者が集まらないし、口頭で注意しても一向に改善されないので、以前はこのような状態で「協働」が本当に可能かどうか焦るばかりでした。そこで対策として、遅刻するVHVやスタッフには罰金を科し、反対に遅刻がなく、優秀な活動内容である者には、村の収穫感謝祭等で表彰することにしました。罰金をどのくらいにするか、表彰者を誰にするかはVHVたち、自らが決めています。この対策は功を奏しています。
政府関係者には毎月、郡の保健センターで話し合いをし、相手側のスケジュールに合うように、VHV活動計画を立てています。ミーティングには、相手が集まっていなくても、常に約束時間に当方のスタッフ、VHVは到着することにしています。これにより徐々に協働活動の時間厳守が改善されています。

Q6. では、一番嬉しかった/やりがいを感じたことはなんですか?

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緑黄色野菜クッキングのあとみんなで試食

この事業に関わる中で一番嬉しかったことは、VHVリーダーたちを統率するVHVスーパーバイザーを中心に、VHVが月例会で計画を立て、自発的な活動を展開できるようになったことです。現在50名いるVHV及びその候補者が5チームに分かれ、同時進行で、農村保健集会、乳幼児の体重測定、家庭菜園普及、又は健康クッキング普及ができるようになりました。また、独身でVHA(アシスタント)になり、結婚してからもVHVとして活動を続ける農村女性も現れています。VHV活動に誇りを持ち、頑強な伝統的価値観に立ち向かいながら自らを成長させているVHVがいることは、私たちの大きな励みになっています。

Q7. 事業を進めていく中で、現地の人々にはどのような変化が見られますか?
今後重要になると思われること、今後の抱負を教えてください!

一番の変化は、農村住民が我々の活動を理解し始めてくれていること、そして信頼関係が構築されつつあることです。この信頼関係は新たなVHVリクルートやVHV育成を加速させています。北インドの農村女性は父親、夫等の家長の許可なしには、ボランティア活動に参加できません。VHVの活動を見て、聞いて、是非とも参加したいという若い農村女性が増えてきたことは即ち、彼女たちの父親や夫もこの活動に同意していることを意味しています。VHVの訓練や活動を通して、今まで人前に出るとサリーで顔を隠し、まともに話ができなかった女性が、次第に村の集会でマイクを持って堂々と村人を前に話している光景を見る時、彼女たちの成長と変化を感じます。今後も母子保健活動を行いながら、さらに農村女性のキャパシティー・ビルディング、セルフ・エフィカシーにも力を入れながら活動を続けたいと思っています。

Q8. 最後にお聞きします。ずばり!国際協力を色に例えると何色でしょう?

緑です。命の芽生えと平和、躍動感、希望のイメージがあるからです。

ありがとうございました!