「地場中小零細企業のためのクラウドファンディング」に関する現地調査を実施

2019年5月30日

ミュージックセキュリティーズ株式会社取締役 杉山 章子

2018年10月からJICA中小企業支援事業「ペルー国マイクロ投資クラウドファンディングを活用した地場中小零細企業支援案件化調査」が実施されています。本調査では、ペルーの地場中小零細企業の金融アクセスの改善のために、中小零細企業の資金ニーズやクラウドファンディングの資金提供者となる個人投資家層の市場調査、クラウドファンディングをめぐる法規制環境等の調査を行い、マイクロ投資クラウドファンディングのプラットフォームの構築の可能性及びビジネス展開に係る検討等を行うものです。

本事業の実施団体として日本でマイクロ投資型のクラウドファンディング事業を展開する弊社ミュージックセキュリティーズ株式会社(以下、「MS」と言います)は、2018年11月~12月、2019年3月~4月にかけて、ペルーの日系貯蓄信用協同組合Abacoと共同で、二度の現地調査を実施しました。

地方の生産者や都市のベンチャー企業への現地ヒアリング等の調査では、ペルーの中小零細企業には、銀行融資など既存の金融システムからの資金供給は十分ではなく、事業への共感に基づき個人から資金を集めることができるクラウドファンディングの仕組みに対する高い関心を確認することができました。

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オクサパンパ郡のコーヒー農家の設備

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オクサパンパ郡のコーヒー農家が育てる苗

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プノ市マス養殖場の様子

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オクサパンパ郡のコーヒー農家と調査団

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マスの加工場の様子

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プノ市マス養殖業者と調査団

クラウドファンディングにおいては、個人が資金の提供者となりますが、MSがペルーの中間層約300人に実施したアンケートでは、回答者の77%がクラウドファンディングに参加したい、又は内容によっては参加したいと回答し、特に、リターンが低い、又は元本を超えることはなくても、地方の中小零細企業の支援につながる社会投資型のプロジェクトに投資したいと答えた人の割合が28%と、ハイリスク・ハイリターン型の投資をしたい人の割合26%よりも高いという結果が出ました。これにより地方の中小零細企業でも、共感性の高い事業であれば、クラウドファンディングによって資金調達の可能性があることが示されました。

本調査を通じて、大学とも連携を進め、大学が持つ技術や起業家支援のノウハウ、卒業生のネットワーク等を生かす方法について意見交換をしました。特に国立サンマルコス大学とは覚書を結び、より効果的なクラウドファンディングプラットフォームの開発や運営を行うための協議を進めています。また、本調査にあたったMSとAbacoは、ペルーにおいてクラウドファンディングに関する事業を共同で進めていくことについて覚書を交わし、新会社Music Securities Peru, S.A.C.を設立しました。

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カハマルカ州小規模農家生計向上プロジェクト担当者とのミーティング

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国立サンマルコス大学とのミーティング

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国立工科大学とのミーティング

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国立工科大学が支援するベンチャー企業4社がプレゼンを実施

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パシフィコ大学とのミーティング

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Abacoとの覚書の締結

現在ペルーの国会では、クラウドファンディングに関する法案が提出されています。今後、法律が施行されれば、クラウドファンディングの分野に新たな規制が導入される見込みですが、同時に、新たな市場としての成長も見込まれます。本調査の結果をもとに、ペルーにおいて日本生まれのマイクロ投資クラウドファンディングの事業を開始し、地場中小零細企業の資金調達手段が多様化に寄与すべく、取り組んでまいります。