ニュースリリース

我が国ODAを活用した民間企業のプロジェクトが初めてCDM事業登録

—スリランカ「環境対策支援事業」による「ココナッツ殻の炭化及び発電事業」—

2009年03月31日

1.国際協力機構(JICA)がODA(円借款)で支援しているスリランカの環境対策支援事業(略称E-FRIENDS(注1))を活用したスリランカ・Recogen社の「ココナッツ殻の炭化及び発電事業」が、3月28日、国連のCDM理事会により、クリーン開発メカニズム(CleanDevelopment Mechanism (CDM)(注2))事業として登録されました。本件は、円借款を通じて支援した同社のような途上国の民間企業による環境改善事業がCDMとして承認された初めての事例です。

2.同社は、ココナッツ殻を原料とした炭の生産を行うスリランカの企業です。スリランカでは、従来、屋外の小規模な窯で、ココナッツ殻を蒸し焼きすることにより炭化させる手法が用いられてきましたが、同社は、この工程を機械化し、工場設備内の密閉された設備でココナッツ殻を焼成する技術を長年にわたり開発してきました。今回、CDM事業として登録された事業は、この技術を活用したもので、その実施により、従来の製造過程で発生するメタン等揮発性ガスの大気中への拡散が防止されるとともに、回収したガスの燃焼により発生する蒸気を活用して5.8MWの発電を行うことで、メタン回収と電力代替の双方から温室効果ガス削減が可能となるため、排出量削減が見込まれているものです。

【図表】

3.JICAは、E-FRIENDSのスキームを通じて、同社に対し、新技術の導入に必要となる事業費約10億ルピーのうち、1億ルピーを融資しています。E-FRIENDSは、仲介金融機関を通じて、民間企業に対して公害防止技術等の環境関連投資を行うために必要な中長期資金を供給すると共に、技術面、環境面を補助するコンサルタントの雇用及びトレーニングのために必要な費用を融資するものです(注3)。これまでに本事業を含め、延べ約800件、約70億ルピーの融資が行われています。

4.2009年4月1日から2019年3月31日までの10年間に本事業により見込みの排出削減量合計約43万トンのうちの一部については、日本カーボンファイナンス(株)(Japan Carbon Finance, Ltd.(JCF))が購入する予定であり、同社が購入した排出削減量は日本温暖化ガス削減基金(略称JGRF(注4))に転売されます。本事業がCDM案件として承認されたことで、京都議定書で我が国に課せられた6%の温室効果ガス削減目標の達成に向けた我が国の取り組みにも貢献することが期待されます。

5.JICAはこれまでも、大型のODA事業としては世界初のCDMとなる事業(注5)や、鉄道分野で初のCDMとなる事業(注6)を支援してきており、CDM事業の地理的偏在、分野偏在の解消に寄与してきています。今般の登録についても、本件が先例となり、JICA協力を通じた途上国民間企業の環境改善活動の更なる活発化とともに、それらの企業によるCDM事業の形成・実施が促進することへの寄与が期待されます。JICAは今後もODAの実施を通じ、ODAとCDMの共通の目的である途上国の持続可能な開発に引き続き取組んでいく方針です。

(注1)事業の英文名称である“Environmentally Friendly Solutions Fund”の略。E-FRIENDSは、企業の環境対策設備投資の促進、及び参加金融機関職員の審査能力の向上を図り、スリランカの公害防止・緩和を通じた環境改善に寄与することを目的としています。本事業の支援は1998年及び2004年の二度にわたり総額約79.7億円の円借款が調印されています。

(注2)クリーン開発メカニズム(CDM)は、京都メカニズムの手法の1つで、先進国・市場経済移行国が、開発途上国において温室効果ガス削減事業を実施し、それにより生じた削減分(排出権)をクレジットとして取得し、自国の目標達成に利用できる枠組みであり、途上国の持続可能な開発にも寄与するものです。

(注3)融資の枠組みイメージ図は以下のとおりです。

【図表】

(注4)JGRFは、2004年12月に設立されたアジア初のカーボン・ファンドであり(日本の政策金融機関や我が国の有力企業等が出資)、獲得した排出削減量は出資者へ分配されます。なお、JCFはJGRFの委託を受け、国連CDM理事会への登録申請などを行い、発行されたクレジットをJGRF出資企業に分配する役割も担っています。

(注5)エジプト・ザファラーナ風力発電事業(2007年6月登録)

(注6)インド・デリー高速輸送システム建設事業(2008年1月登録)