ニュースリリース

チリ大地震から間もなく1年

−専門家派遣や研修員の受け入れで日本の防災の知見提供−

2011年02月14日

今から約1年前の2010年2月27日、日本のほぼ裏側に位置する南米のチリ中部沿岸で、マグニチュード8.8の大地震が発生し、それに伴う30メートル級の津波が発生しました。日本にも1メートル程度の津波が到来しました。

この地震・津波後、浮き彫りになった課題などに対し、国際協力機構(JICA)は2010年12月2日、チリ国からの要請を受けて、「対地震・津波対応能力向上プロジェクト」を開始しました。現地への専門家派遣や、チリ政府関係者ら研修員の受け入れを通じて日本の地震・津波防災にかかる経験や教訓を提供し、チリの防災能力強化を行うことを目的にした技術協力を実施しています。

現地では地震の傷あとはほとんど見えなくなりましたが、震災1周年を控えた2月後半も、チリと日本の国内でさまざまな研修等が予定されています。

【対地震・津波対応能力向上プロジェクト】

(1)現地への専門家派遣を通じた協力

・耐震建築
過去のJICAによる研究協力が耐震基準の改定に貢献していたこともあり、多くの建築物は一部損壊にとどまりました。しかし、チリは、「被災建築物の危険度判定手法」、「被災建築物の改修・補強技術」、「公共建築物にかかる免震構造」、「液状化現象の発生可能性のある地盤の特定方法」など、未着手の課題の検討を進める計画です。JICAはこの取り組みを支援するため、RC構造物や地盤に関する日本人専門家を2月14日以降、現地へ派遣します。

・橋梁
チリ地震では、比較的新しい橋梁についても、多くの落橋被害が発生しました。地震後、橋梁耐震設計基準の一部において、日本の基準式や橋桁の落下防止装置が採用されましたが、チリは、引き続き、日本の専門家との協議を通じて、「橋梁の設計に必要な地盤分類および地震波スペクトルの考え方」や「地盤強度と橋梁の関係性」などの見直しを進めたいと考えているため、2月21日から専門家を現地へ派遣します。

【写真】

JICA兵庫での「コミュニティ防災」研修の様子

(2)日本への研修員受け入れによる協力

・津波警報システム
チリの津波警報の発令プロセスには、複数の機関が含まれています。その複雑さと津波警報の精度の問題があり、津波による被害を十分に防ぐことができませんでした。精度向上と実施体制の見直しなどため、2月16日からチリ内務省国家緊急対策室やチリ大学地震センターなどの関係者を招き、JICA横浜や関係機関で研修を実施します。なお、現地への専門家派遣は2010年12月に実施済みです。

・コミュニティ防災
チリでは、コミュニティ主導による防災活動実績が少ないため、2011年1月よりJICA兵庫での研修コース「コミュニティ防災」に参加し、日本の自治体とコミュニティとの関係や、コミュニティの災害時の役割などを学んでいます(2月18日まで)。

・災害対応能力向上(応急対応・復興計画・こころのケア)
チリ地震で課題となったのは、「災害発生時のコミュニティおよび地方自治体のニーズ把握方法」および「災害発生後24時間内に実施すべき応急対応チェックリスト」の整理でした。また、その後の復興計画に基づく復興事業の大半は終了に向かいつつあるものの、長期的な支援のための基金の創設・運用などは盛り込まれておらず、改善を図る必要があるとのことです。こうしたことから、阪神・淡路大震災を通じて得た知見・教訓を、研修員の受け入れを通じて、チリ側に提供します。
 チリでは、災害発生時の入院患者の移送方法や心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状が現れた人への対応などをまとめた「災害時におけるヘルスケアプラン」を作成済みですが、こころのケアの部分については、改定が行われる予定です。「災害発生前に行うべき準備」と合わせ学びます。
 研修は3月14日からJICA兵庫で実施します。

【地デジを活用した津波警報システム】

チリでは、デジタルテレビ日本方式が2009年に採用されました。同方式を用いて、津波警報システムからの情報などを全国の一般家庭に配信することを想定しており、日本とチリとの防災を通じた連携もより一層強化されることが期待されています。

地上デジタル放送開始に向け、JICAの長期専門家も現地に駐在しています。

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