ニュースリリース

スリランカ向け円借款契約の調印

−紛争影響地域の復興と首都圏における交通渋滞緩和を支援−

2011年03月22日

1. 国際協力機構(JICA)は、3月22日、スリランカ社会民主主義共和国政府との間で、計2事業を対象として、総額331億1,000万円を限度とする貸付契約を調印しました。

2. スリランカでは、2009年5月に、25年以上にわたる紛争が終結し、治安の本格的回復に伴う観光業や農業部門の成長により、2010年の実質GDP成長率は7.6%を見込むなど本格的な成長期にあります。一方、喫緊の課題としては、北・東部で紛争の影響により発生した国内避難民の再定住など紛争影響地域の復興を進める必要があり、中長期に安定的な経済成長を進める課題としては、電力・運輸などの経済基盤を強化していく必要があります。

3. こうした中、今次円借款では、紛争影響地域の復興及び首都圏の経済基盤整備を支援します。具体的な特徴は以下の通りです。

(1) 北部復興支援
北部州は長年にわたった紛争の影響により開発が遅れている地域です。紛争の影響を受けた人々が平和を享受し生活を向上させていくことが大変重要な課題となっており、今回供与する円借款事業のうち「ワウニア・キリノッチ送電線修復事業(II)」では、北部州への送電線約73kmを整備することにより、安定的な電力供給を通じた地域住民の生活改善、地域経済の活性化を目指します。

(2) 経済基盤整備
スリランカでは主要都市を結ぶ道路網が十分に整備されていない他、交通量の増加に対して道路整備が追いついておらず、交通渋滞が経済成長のボトルネックとなっています。また、国土の均衡ある発展という観点からも、主要な都市間の輸送能力強化に必要となる新規道路網の整備が必要となっています。「大コロンボ圏都市交通整備事業フェーズ2 (II)」では、首都圏の高速道路を建設することにより、交通渋滞の緩和等による経済基盤の強化を支援します。

4. 今後もJICAは、技術協力、有償資金協力(円借款)、無償資金協力それぞれのスキームの特性を活かしつつ、3スキームを一体的に活用し、紛争影響地域の復興並びに全ての国民が国の発展を享受できるための、経済・社会インフラ整備を支援していく方針です。

【参考】

案件名借款金額
(百万円)
金利
(%/年)
償還期間(年)据置期間(年)調達条件
本体コンサルティング・サービス
ワウニア・キリノッチ送電線修復事業 (II)1,4220.650.014010アンタイド
大コロンボ圏都市交通整備事業フェーズ2 (II)31,6880.200.014010タイド(注)
合計33,110

(注)STEP適用

(1) ワウニア・キリノッチ送電線修復事業 (II)
Vavuniya - Kilinochchi Transmission Line Project (II)

(事業の背景と必要性)
スリランカでは、政府とタミル人反政府組織「タミル・イーラム解放の虎(LTTE)」との間で、約20年に及ぶ紛争が続いていましたが、最終的には政府軍がLTTE主要拠点を全て制圧することで、2009年5月に25年以上に及ぶ戦闘が終結し、北部全域が政府管轄地域となりました。

しかし、最後まで紛争影響下に置かれた北部地域では、電力、道路等の主要経済インフラが破壊され、紛争地域であったが故に政府の開発事業対象から外されてきた結果、経済活動は停滞しています。中でも、90%の配電設備が損傷を受けた北部の電化率は、全国平均の80%に比べて、ワウニア64%、キリノッチ1% と低位に留まっており、復興開発のボトルネックになっています。

加えて、紛争終結後の北部地域解放に伴い、電力需要は増加傾向にありますが、ディーゼル発電による供給量は需要を賄うには不十分であり、北部住民の生活水準向上に直接結びつく電力設備の復旧を行うことが喫緊の課題となっています。

(事業の目的と概要)
本事業は、アジア開発銀行(ADB)との協調により、紛争で破壊されたスリランカ北部の送電網・変電所の再建を支援するものです。具体的には、1)スリランカ北部に位置するワウニア-キリノッチ間約73kmの送電線(132kV)の改修、2)キリノッチにおける変電所(31.5MVA、132/33kV)の再建を行い、同国北部における安定的な電力供給を実現し、北部地域の復興に寄与することを目的としています。

(事業実施機関)
電力エネルギー省(Ministry of Power and Energy)
住所:No.72, Ananda Kumaraswami Mawatha, Colombo 7, Sri Lanka
TEL:+94-11-257-4918、FAX:+94-11-257-4635

(今後の事業実施スケジュール[予定])
(i) 事業の完成予定時期:2012年12月(施設供用開始時をもって事業完成)
(ii) コンサルティング・サービス(施工監理等):雇用済み
(iii) 本体工事に係る国際競争入札による調達パッケージ入札公示:契約済み

(2) 大コロンボ圏都市交通整備事業フェーズ2 (II)
Greater Colombo Urban Transport Development Project Phase 2 (II)

(事業の背景と必要性)
スリランカでは道路輸送が陸上旅客・貨物輸送の9割を担い、同国の経済社会活動において極めて大きな役割を果たしています。しかしながら、交通量の増加に道路整備が追いついておらず、また既存道路においても維持管理が行き届いていないこと等から、国内の効率的な物流の妨げになっています。

特に大コロンボ圏では、コロンボ市中心部から放射状に7 つの幹線道路が整備されているものの、人口の増加及び住民の所得水準の向上に伴い自動車数が著しく増加している他、放射幹線道路を相互に結ぶ環状道路網が整備されていないといった構造的な問題があります。そのため、コロンボ市内では通過交通等による慢性的な交通渋滞が起こり、輸送効率及び一般車両の安全走行の障害となっていることから、コロンボ市の通過交通を分散させる新たな外郭環状道路の整備が急務となっています。

また、同国における経済活動の多くが大コロンボ圏に集中する中、国土の均衡ある発展と地方開発の重要性が認識されてきており、この観点からも、大コロンボ圏と地方、または地方主要都市間の輸送能力の強化を目的とする新規道路網の整備が必要となっています。

(事業の目的と概要)
本事業は、コロンボ市郊外のカドゥウェラ〜カダワッタ間を結ぶコロンボ外郭環状道路の建設(本事業は、全体約29km のうち約9kmを対象とする。南部区間約11kmについては、2007年3月に円借款貸付契約調印済み)、インターチェンジ2ヶ所の建設、料金所の機器設置等を行います。本事業により、コロンボ市中心部を経由せずに移動を行うことが可能となり、首都圏における道路交通渋滞の緩和、地方間の接続性の向上が図られることにより、同国の経済基盤の強化に寄与することが期待されています。

なお、本事業では、軟弱地盤対策及び都市部や狭小地における急速・省スペース施工のため、日本の技術を活用することになっています。

(事業実施機関)
港湾道路省(Ministry of Ports and Highways)
住所:9th Floor, Sethsiripaya, Battaramulla, Sri Lanka
TEL:94-11-288-7463、FAX:94-11-288-7464

(今後の事業実施スケジュール[予定])
(i) 事業の完成予定時期:2015年3月(施設供用開始時をもって事業完成)
(ii) コンサルティング・サービス(施工監理等):雇用済
(iii) 本体工事に係る国際競争入札による調達パッケージ入札公示:公示済