ニュースリリース

スリランカ民主社会主義共和国向け円借款契約の調印

−紛争後の均衡のとれた復興・経済開発へ本邦技術を活用した支援−

2012年03月28日

【写真】

署名後、握手を交わす志村JICAスリランカ事務所長(左)とジャヤスンドラ財務計画次官

1. 国際協力機構(JICA)は、3月28日、スリランカ民主社会主義共和国政府との間で、計3件を対象として、総額424億7,700万円を限度とする貸付契約を調印しました。

2. スリランカでは、25年以上にわたる紛争が2009年5月に終結したことを踏まえ、国の安定化に基づく成長戦略を掲げ、2010年の実質GDP成長は8パーセントを達成する等、本格的な成長期にあります。紛争後の均衡のとれた復興と経済開発を軌道に乗せるためには、電力・運輸などの経済基盤の強化、および地域間の格差を是正する社会サービスの改善などが喫緊の課題です。

3. こうした中、今次円借款では、日本の優れた技術を生かし、南アジア地域での交通の要所として観光産業等のさらなる発展を目指す首都国際空港の旅客ターミナルの拡張、低損失送電線の技術を活用した基幹送電網の整備、疾病構造の変化に対応し、地域医療の核となる保健医療サービスの改善を支援します。具体的な特徴は以下の通りです。

(1)日本のエコ・エアポートの概念を導入した首都国際空港の近代化を支援
現在、スリランカ唯一の国際空港である「バンダラナイケ国際空港」は、経済活動の活性化や観光客の増加に伴い、1999年に供与した円借款で旅客ターミナルの整備を行いましたが、既に取扱容量(600万人/年)を超過しています。今回円借款を供与する「バンダラナイケ国際空港改善事業フェーズ2」では、日本のエコ・エアポートの概念を導入し、首都国際空港に第2旅客ターミナルビル等を建設することにより、増加する旅客需要に対応するとともに、利便性・安全性を向上し、スリランカの経済発展を目指します。

(2)本邦技術を活用し、安全な医薬品製造と地域医療の充実を支援
スリランカでは、社会サービスの改善に重点を置いた政策・対策を着実に実施してきた結果、基礎保健指標の改善が進んでいます。しかし、経済発展が進み、生活習慣病が増加する中で、治療に必要となる必須医薬品の生産が需要に追いつかない状態が続くとともに、疾病構造の変化に対応した適切な地域医療サービスの提供が大きな課題になっています。「地方基礎社会サービス改善事業」では、本邦技術を活用し、安全な医薬品の製造能力を強化するとともに、地域の中核となる医療施設を整備し、経済発展と均衡のとれた社会開発を目指します。

(3)スリランカ初の低損失技術を基幹送電線に導入しエネルギー効率化を支援
スリランカではこれまで発電設備への投資を先行してきた結果、基幹送電網の多くは、約40年前に建設された132キロボルト送電線が利用されており、システム全体の老朽化が進んでいます。送配電損失率は13.0パーセント(2010年)と高く、エネルギーの効率化が課題となっています。「ハバラナ・ヴェヤンゴダ送電線建設事業」では、送電損失率の削減と安定供給の観点から、スリランカ初の低損失大容量送電線を導入する予定です。日本が技術開発した低損失送電の活用により、従来型の送電線と比較し年間約22パーセントの損失率低減が見込まれ、CO2排出量の削減にも貢献することが期待されます。

4. 今後もJICAは、技術協力、有償資金協力(円借款)、無償資金協力それぞれのスキームの特性を生かしつつ、3スキームを一体的に活用し、紛争影響地域の復興並びにすべての国民が国の発展を享受できるための、経済・社会インフラ整備を支援していく方針です。

【参考】借款金額および条件

案件名借款金額
(百万円)
金利
(%/年)
償還期間(年)据置期間(年)調達条件
本体コンサルティング・サービス
バンダラナイケ国際空港改善事業フェーズ228,9690.20※(1)0.014010日本タイド
地方基礎社会サービス改善事業
3,9350.20※(1)0.014010日本タイド/二国間タイド
ハバラナ・ヴェヤンゴダ送電線建設事業
9,5730.30※(2)0.014010一般アンタイド

※(1)STEP(本邦技術活用条件)を適用
※(2)気候変動対策条件を適用

(1)バンダラナイケ国際空港改善事業フェーズ2
Bandaranaike International Airport Development Project Phase 2

(事業の背景と必要性)
島国であるスリランカにとっては、空路と海路が国際旅客輸送の手段になります。現在唯一の国際空港であるバンダラナイケ国際空港は、世界主要31 都市に就航し(2011 年現在)、空路での物流、旅客輸送の拠点となっています。2009 年の国内紛争終結後、経済成長を背景として、観光客等も含めて増加している旅客取扱数は、2011年に現行の旅客ターミナルの取り扱い能力(600 万人/年)を超過し、610万人に到達しており、早急なターミナルの拡張が必要とされています。

2009 年の国内紛争終結を踏まえ、現マヒンダ・ラージャパクサ大統領が発表した「マヒンダ・チンタナー未来に向けてのヴィジョン」では、速やかな経済成長と経済構造の変革を目指しており、航空分野においては、各国との航路を拡大し南アジア地域のハブを目指しているところです。本件空港は、首都の玄関口と位置付けられ、安全性が高く国際基準を満たしたハブ空港として開発していくことが掲げられています。

(事業の目的と概要)
本事業は、現在スリランカ唯一の国際空港となっているバンダラナイケ国際空港において、旅客ターミナルビルおよび駐機場の増設、ターミナルへの高架アクセス道路の整備、下水処理施設、その他附帯設備の整備を図ることにより、完成後の2017年に想定される旅客数900万人/年に対応し、将来的には1,200万人/年までの旅客数に対応可能にするとともに、同空港の利便性・安全性向上を図り、もってスリランカの経済発展に寄与することを目的としています。高度なバゲッジ・コントロール・システムや、環境に配慮したエコ・エアポート概念の導入を通じ、日本の技術が採用される予定です。本件にかかる貸付資金は、旅客ターミナルや駐機場の増設、アクセス道路の整備、およびコンサルティングサービス(詳細設計レビュー、入札補助、施行監理等)の費用に充当されます。

(事業実施機関)
スリランカ空港公社(Airport and Aviation Services 〈Sri Lanka〉Ltd.)
住所:Bandaranaike International Airport, Katunayake, Sri Lanka
TEL:+94-11-225-2861、FAX:+94-11-225-9435

(今後の事業実施スケジュール(予定))
(i)事業の完成予定時期:2015年12月(施設供用開始時をもって事業完成)
(ii)コンサルティング・サービス(施工管理等)にかかる招請状送付時期:2012年3月発出済
(iii)本体工事に係る国際競争入札による入札公示:
調達パッケージ名:
[1]旅客ターミナルビルの増設  
[2]駐機場の増設等 
予定時期:2012年4月

(JICA情報提供窓口)
本事業の調達スケジュールに関する情報は、下記窓口にお問い合わせください。
国際協力機構スリランカ事務所 運輸交通セクター情報窓口
(Contact Point for Transportation Sector, JICA SRI LANKA Office)
住所:10th Floor, DHPL Building, No.42,Navam Mawatha,Colombo02, SRI LANKA
TEL:+94-11-230-3700, 94-11-230-0470
FAX:+94-11-230-3692, 94-11-230-0473

(2) 地方基礎社会サービス改善事業
Project for Improvement of Basic Social Services Targeting Emerging Regions

(事業の背景と必要性)
スリランカでは、高齢化、食生活、生活習慣の変化等に伴い、1980 年代から心臓疾患や脳疾患等の非感染症(Non-communicable Diseases: NCD)が死亡原因として感染症を上回っています。一般的にNCDは長期治療が必要となるため、医療費増加の主原因となっている状況を踏まえ、スリランカ政府は、「健康な社会の形成」を国の重点政策とし、予防および健康増進活動、早期治療を中心としたNCD 対策強化による効率的で持続可能な保健医療システムの確立を国家の保健政策として打ち出しています。

JICAは開発調査を通じ、NCD 対策強化を盛り込んだ保健セクター改革のための政策提言を実施するとともに、 技術協力プロジェクト「健康増進・予防医療サービス向上プロジェクト」(2008〜2013年)を実施し、住民に最も近い1次医療施設を中心としたコミュニティレベルでのNCD 予防の取り組みモデルの構築・普及を進めています。これに加えて、スリランカ政府は、早期発見・治療・予防を行う2次医療施設でのNCD対策を充実させていく方針ですが、地方を中心に予算不足のため、深刻な機材・専門医不足の問題を抱えており、こうした2次医療施設の充実および付随する救急搬送体制の早急な強化が必要となっています。また、NCD 患者増加に伴い医薬品の需要が急増しており、NCD 治療用の医薬品生産体制強化が優先課題となっています。

(事業の目的と概要)
本事業は、疾病構造の変化に対応するべく、非感染症(NCD)の早期治療・発見・予防を実施する2次医療施設の改修・機材整備および国立必須医薬品製造センター(State Pharmaceutical Manufacturing Corporation :SPMC)の機材整備等を行うことにより、NCD対策の強化に貢献することを目的としています。なお、信頼性の高い医薬品製造ラインの整備(製錠、計量、梱包等機材およびライン)および救急車両について、日本の技術が活用される予定です。本件にかかる貸付資金は、2次医療施設の改修・機材整備、SPMCの機材整備、救急車の調達およびコンサルティングサービス(事業全体管理、詳細設計、入札補助、機材据付・運用支援)費用に充当されます。

(事業実施機関)
財務計画省(Ministry of Finance and Planning)
住所:Colombo 01, Sri Lanka
TEL:+94-11-2484693
FAX:+94-11-2447633

(今後の事業実施スケジュール〈予定〉)
(i) 事業の完成予定時期:2016年5月(施設供用開始時をもって事業完成)
(ii)コンサルティング・サービス(施工監理等)にかかる招請状送付予定時期:2012年4月
(iii)本体工事に係る国際競争入札による入札公示:
調達パッケージ:
[1]SPMC機材および土木工事
[2]2次医療施設の改修・機材整備 
[3]救急車
予定時期:
[1]2014年9月
[2]2012年4月
[3]2012年4月

(JICA情報提供窓口)
本事業の調達スケジュールに関する情報は、下記窓口にお問い合わせください。
国際協力機構スリランカ事務所 保健医療セクター情報窓口
(Contact Point for Health and Medical Sector, JICA SRI LANKA Office)
住所:10th Floor, DHPL Building, No.42,Navam Mawatha,Colombo02, SRI LANKA
TEL:+94-11-230-3700, 94-11-230-0470
FAX:+94-11-230-3692, 94-11-230-0473

(3)ハバラナ・ヴェヤンゴダ送電線建設事業
Habarana-Veyangoda Transmission Line Project

(事業の背景と必要性)
スリランカでは、近年の年平均7パーセントの経済成長に伴い、エネルギー需要も増加しており、今後2020年までに石炭火力を中心に2,138メガワットの電源を追加する等、電力需要の増加に対応した大規模な電源開発が計画的に進められています。基幹送電網は、220キロボルトと132キロボルトから構成されており、220キロボルト送電線は水力発電所が集中する中央部からコロンボ圏の変電所や火力発電所が集中する北および西方向に整備されています。

一方、これまで発電設備への投資を先行してきた結果、現状の基幹送電線の多くは、約40年前に建設された132キロボルト送電線が利用されており、システム全体の老朽化が進み、新規送配電網の整備が遅れています。送配電損失率は13パーセント(2010年)と、他のアジア諸国と比較しても高く、また一部の故障が広範囲の供給支障につながる等の連系脆弱性の問題等を抱えています。また、発電所が中央部の山岳地帯と西部のコロンボ圏に集中していることから、送配電網の損失率改善とともに、変電所増設・改修を含む送配電網の拡充による全国への電力供給安定化が課題となっています。

(事業の目的と概要)
スリランカ北中部州ハバラナから首都近郊ヴェヤンゴダへの電力供給の重要拠点間に、低損失大容量送電線を敷設し、変電所を建設・増強し、送電容量の増強、電力供給信頼性の向上および送電損失の改善を図り、もって投資および経済・社会発展に寄与することを目的としています。また、本事業は送電損失の改善により温室効果ガスの削減にも寄与することが期待されています。本件にかかる貸付資金は、送電線敷設工事およびコンサルティングサービス(施工監理)費用に充当されます。

(事業実施機関)
電力エネルギー省(Ministry of Power and Energy)
住所:No.72, Ananda Kumaraswami Mawatha, Colombo 7, Sri Lanka
TEL:+94-11-257-4918、FAX:+94-11-257-4635

(今後の事業実施スケジュール〈予定〉)
(i)事業の完成予定時期:2016年9月(施設供用開始時をもって事業完成)
(ii) コンサルティング・サービス(施工監理等)にかかる招請状送付予定時期:2012年4月
(iii)本体工事に係る国際競争入札による入札公示:
調達パッケージ:
[1]送電線(220キロボルト)の建設(148キロメートル)
[2]変電所の新設・増強
予定時期:2012年9月