ニュースリリース

ベトナム社会主義共和国向け円借款契約の調印

−成長を牽引する都市部のインフラ整備と地方の生活向上をバランス良く支援−

2012年03月30日

【写真】

署名後、握手を交わす築野元則JICAベトナム事務所長(左)と財務省のグエン・コン・ニエップ副大臣

1. 国際協力機構(JICA)は、3月30日、ベトナム社会主義共和国政府との間で、総額1,364億4,700万円(計8件)を限度とする円借款貸付契約に調印しました。2011年6月15日には総額409億4,600万円(計2件)、11月2日には総額926億4,500万円(計6件)を限度とする円借款貸付契約に調印しており、これと合わせ、2011年度では総額2,700億3,800万円(計16件)の貸付契約に調印しています。

2. ベトナムは、1990年代以降順調に経済成長を続けており(参考1)、国家目標であった2010年までの中所得国化を達成するとともに、貧困削減の実績を挙げてきました(参考2:貧困率は1998年の37.4パーセントから2008年には14.5パーセントまで低下)。今後、国際経済への一層の統合が進み、周辺国との競争も激化していく中、引き続き持続的な経済成長を遂げるためには、経済基盤整備を含む投資環境の改善や、産業の高付加価値化が課題となります。また、経済成長のかたわらで、地方部の生活向上が遅れていることにも配慮が必要です。

3. このような状況のもと、今次円借款では、都市部の大型インフラや科学技術集積拠点の整備等を通じてベトナムの経済成長を引き続き促進するとともに、地方部の医療サービスの改善や環境改善等を通じて、ベトナム全体としてバランスのとれた、持続可能な開発の実現を支援します。

(1)都市インフラ・科学技術集積拠点の整備と改革の促進
ベトナムの経済成長を牽引するホーチミン市において、市内の人口・車両の急速な増加に伴う交通問題を解決するため、ベトナム初の都市鉄道建設を支援します(ホーチミン市都市鉄道建設事業[ベンタイン−スオイティエン間(1号線)]〈II〉)。また同市の北に隣接するビンズオン省において、下水道システム整備を支援することにより、対象地域の衛生改善と、ホーチミン市の上水源保全に寄与します(南部ビンズオン省水環境改善事業〈フェーズ2〉)。

首都ハノイにおいては、首都の玄関である国際空港の新ターミナル建設(ノイバイ国際空港第二旅客ターミナルビル建設事業〈II〉)、ハノイ市と北部の新興工業都市タイグエンを結ぶ高規格道路の建設(国道3号線道路ネットワーク整備事業〈II〉)を支援します。またハノイ市近郊のホアラック地区において、科学・産業技術集積拠点の基礎インフラ整備を支援することで、先進ASEAN諸国に後れをとっている科学技術振興や人材育成を促進し、産業の高度化に貢献します(ホアラック科学技術都市振興事業〈I〉)。

さらに、こうした物理的なインフラ整備とあわせて、ベトナムの国際競争力強化に必要となる各種の制度改革を、財政支援を通じて後押ししていきます(第10次貧困削減支援借款)。

(2)地方部の生活向上
ベトナムでは、都市部での医療サービスが一定の水準に達しつつある一方、地方部の医療には依然多くの課題が残されています。今回、10の省/市の中核病院を対象に、医療機材整備と人材育成を支援します(地方病院医療開発事業〈II〉)。

また、中部沿岸11省において、流域保全林の造林や住民の生計向上等の支援を行い、対象地域の貧困削減を実現するとともに、国全体としての環境保全に寄与します(保全林造林・持続的管理事業)。

4. JICAは今後とも、円借款、技術協力や無償資金協力などの多様なODAスキームの連携を強化しながら、ベトナムの開発課題に対して機動的に取り組んでいく方針です。

<参考1> ベトナム:成長パフォーマンス

【画像】

(IMF World Economic Outlook Databaseより作成)

<参考2> ベトナム:貧困率

【画像】

(Vietnam Living Standards Surveyより作成)

<参考3>借款金額及び条件

案件名借款金額
(百万円)
金利
(%/年)
償還期間(年)据置期間(年)調達条件
本体コンサルティング・サービス
(1)ホーチミン市都市鉄道建設事業(ベンタイン−スオイティエン間〈1号線〉)(II)44,3020.2%0.01%4010日本タイド
(2)南部ビンズオン省水環境改善事業(フェーズ2)19,9610.65%0.01%4010一般アンタイド
(3)ノイバイ国際空港第二旅客ターミナルビル建設事業(II)20,5840.2%0.01%4010日本タイド
(4)国道3号線道路ネットワーク整備事業(II)16,4861.4%0.01%3010一般アンタイド
(5)ホアラック科学技術都市振興事業(I)15,2181.4%0.01%3010一般アンタイド
(6)第10次貧困削減支援借款3,5001.4%3010一般アンタイド
(7)地方病院医療開発事業(II)8,6930.2%0.01%4010日本タイド
(8)保全林造林・持続的管理事業7,7030.3%0.01%4010一般アンタイド

※(1)、(3)、(7)はSTEP(本邦技術活用条件)、(2)は 優先条件、(8)は気候変動対策円借款の条件を適用。
※ なお、調達プロセスの公正性と競争性を確保するため、ベトナム政府とJICAの協議を経て特定された案件について、ベトナム側が調達手続の第三者機関等による事後監査を実施することとするが、同監査費用は円借款に含めない。