ペルー共和国向け円借款契約の調印

−ペルーの持続可能な経済成長実現のため、環境対策・気候変動対策を支援−

2012年10月12日

国際協力機構(JICA)は、10月12日、ペルー共和国政府との間で「エネルギー効率化インフラ支援プログラム」を対象とする87億7,000万円を限度とする円借款貸付契約および「固形廃棄物処理事業」を対象とする43億9,600万円を限度とする円借款貸付契約に調印しました。

調印の後、握手を交わす堂道秀明JICA副理事長(左)とルイス・ミゲル・カスティージャ・ルビオ経済財政大臣

ペルーは近年の急速な経済成長に伴い目覚ましい発展を遂げています。その反面、活発な経済活動に伴いエネルギー需要の逼迫が懸念されており、温室効果ガス排出量が少ない再生可能エネルギーを活用した発電能力の増強の必要性が高まっています。また、廃棄物管理などの環境分野に対する配慮・対策が遅れており、地方部においては一般廃棄物(家庭ゴミ・商業ゴミ)のほとんどが衛生埋立処分場で処理されず、ゴミ捨て場に投棄されているか、野積み方式によって処分されている状況となっており、周辺住民の衛生環境に与える影響が懸念されています。今次円借款は、ペルーの抱える主要な開発課題である気候変動対策・環境対策分野に対する支援を行うものです。

今次調印する円借款の特徴は以下のとおりです。

(1) エネルギー効率化インフラ支援プログラム
本事業は、借入人であるペルー政府から実施機関の開発金融公社(Corporación Financiera de Desarrollo S.A.、以下「COFIDE」という)に資金移転後、COFIDEから仲介金融機関を通じ、民間企業等を中心としたエンドユーザーに対し、エネルギー効率化促進に資するサブプロジェクトに必要な中長期資金を融資します。合わせて、融資対象サブプロジェクトのための技術支援(コンサルティング・サービス)を提供することにより、エンドユーザーによる環境対策の促進を図り、持続的な経済発展と気候変動緩和に貢献するものです。

(2) 固形廃棄物処理事業
本事業は、ペルーの23地方都市を対象として、廃棄物の収集・最終処理体制の整備・改善を行い、廃棄物の統合的な処理管理能力の向上を図り、もって対象地域の自然環境の改善および住民の生活環境の改善、気候変動の緩和に寄与するものです。本事業はペルー政府が策定した31の地方都市を対象とした統合的な廃棄物の収集・処理体制を整備するプログラムの一部として、プログラム対象の31都市のうち23都市を対象とするものであり、残りの8都市については米州開発銀行(IDB)の融資により整備される予定です。

気候変動対策については、わが国は2008年1月にクールアース推進構想や2009年9月の「鳩山イニシアティブ」等により、途上国の気候変動対策への取り組みに積極的に協力することを表明しており、JICAとしても地球的規模問題への対処の一環として、気候変動対策を含む環境保全分野を重点的に支援していく方針です。

JICAは今後とも、他機関とも連携しながら、ペルーが持続可能な経済成長を遂げていくための開発課題の解決を支援していく方針です。

【参考】借款金額および条件

案件名 借款金額
(百万円)
金利(%/年) 償還期間
(年)
据置期間
(年)
調達条件
本体 コンサルティング・サービス
エネルギー効率化インフラ支援プログラム 8,770 0.6 0.01 15 5 一般アンタイド
固形廃棄物処理事業 4,396 0.6 0.01 15 5 一般アンタイド

(1) エネルギー効率化インフラ支援プログラム

(a) 事業の背景と必要性
ペルーでは近年の急速な経済成長により、2010年までの5年間にエネルギー需要(最終消費量)が年平均8パーセント増加しています。今後も同ペースでエネルギー需要が伸びた場合、2019年には発電・供給能力を現在の約2倍に増やす必要があります。こうした発電能力増強に際しては、最近増加傾向にある天然ガスを燃料とする火力発電ではなく、温室効果ガス排出量が少ない水力やその他再生可能エネルギー源の利用を更に拡大させるエネルギー政策の推進・維持が必要となっています。本事業のターゲットの一つである小水力発電でも今後、大きな資金需要が見込まれています。また、増加していくエネルギー需要への対策として、特にエネルギー消費の多い部門でのエネルギー効率化(生産部門での省エネルギー対策、運輸部門での低公害車導入)を図ることも喫緊の課題となっています。省エネルギー対策を促進するには、エネルギー診断やワークショップなどを通じ、民間企業のニーズの特定化や投資意欲向上のためのきめ細かな技術支援も必要となっています。

(b) 事業の目的および概要
ペルー政府は、1992年の国連気候変動枠組条約および1997年の京都議定書をそれぞれ批准しており、また「国家環境政策(2005年)」、「気候変動の適応および緩和策アクションプラン(2010年)」を策定する等、法整備や組織体制を整え、国家として包括的に気候変動対策に取り組んでいます。本事業は、ペルーの経済開発のための政策金融機関であるCOFIDEを通じて、ペルー政府が掲げる気候変動対策におけるエネルギーの効率的利用の実施促進を図り、民間部門の気候変動対策への取り組みを支援・促進するものです。

本件に係る貸付資金は小水力発電をはじめとした再生可能エネルギー開発や省エネルギーの取り組み、低公害車の導入(公共バスの天然ガス化、低排ガスディーゼル車両の導入)などの分野のサブローン、コンサルティング・サービスに充当されます。

(c) 事業実施機関
開発金融公社(Corporación Financiera de Desarrollo S.A、「COFIDE」)
住所: Augusto Tamayo 160, San Isidro, Lima, Peru
TEL:511-615-4000、FAX:511-442-2705

(d) 今後の事業実施スケジュール(予定)
(i) 事業の完成予定時期: 2017年5月(貸付完了をもって事業完成)
(ii) コンサルティング・サービス(事業全体監理等)に係る招請状送付予定時期:
2012年12月
(iii) 本体工事に係る国際競争入札による最初の調達パッケージの入札公示:本事業では、国際競争入札による調達はありませんが、仲介金融機関により供与されるサブローン対象事業において事業実施のための調達が行われる見込です。

(2) 固形廃棄物処理事業
(a) 事業の背景と必要性
ペルーでは国全体で1日あたり約2万3,260トンの一般廃棄物(家庭ゴミ・商業ゴミ)が発生していますが、衛生埋立処分場で処理されているのは全体の約26パーセントにとどまっています。それらのほとんどがリマ地域の廃棄物であり、地方都市ではほとんどが回収されないままゴミ捨て場に投棄されているか、野積み方式によって処分されており、環境に対する十分な配慮がなされていません。このような不適切な廃棄物処分は、浸出水の流出・地下浸透に伴う地下水や水源の汚染、周辺住民の衛生環境の悪化といった深刻な問題を引き起こしています。特に、地方部における衛生埋立処分場の建設、収集・運搬の能力強化等を含む、環境に配慮した統合的な一般廃棄物の収集・処理体制の整備が喫緊の課題となっています。

(b) 事業の目的および概要
2008年に設立された環境省(Ministerio del Ambiente: MINAM)は、国家環境計画の中で2021年までにすべての一般廃棄物を適切に処理するという目標を掲げ、その第一段階として、一般廃棄物の50パーセントが適切に処理されることを目指し、31の地方都市を対象として統合的な廃棄物の収集・処理体制を整備するプログラムを策定しました。本事業はこのプログラムの一部を構成し、31都市のうち23都市で23ヵ所の衛生埋立処分場の建設と収集・運搬の能力強化のための機材調達等を行います。残りの8都市については、米州開発銀行(IDB)の融資により整備される予定です。

本事業は、ペルーの中央政府が主管して多くの地方都市で統合的な廃棄物管理システムを構築する初めての試みを支援するものであり、今後のペルーの廃棄物管理にとって重要な意味を持っています。JICAとしては、IDBとも協調し、事業を主管する環境省に対し、必要に応じて適切な支援を行いつつ、事業を進めます。また、本事業で整備される施設の運営維持管理を担う各地方自治体に対する能力強化や住民への啓発活動支援に関して、技術協力やボランティア派遣などを行う可能性も検討していきます。

貸付資金は衛生埋立処分場建設等に伴う土木工事、資機材調達(処分場運営用重機、収集・運搬車両等)およびコンサルティング・サービスに充当されます。

(c) 事業実施機関
環境省 (Ministerio del Ambiente: MINAM)
住所: Av. Javier Prado Oeste 1440, San Isidro, Lima, PERU
Tel: +511-611-6000 Fax: +511-611-6034

(d) 今後の事業実施スケジュール(予定)
(i) 事業の完成予定時期:2016年7月(全施設の完成および調達機器の調達完了時をもって事業完成)
(ii) コンサルティング・サービス(事業全体監理等)に係る招請状送付予定時期:2012年12月
(iii) 本体工事に係る国際競争入札による最初の調達パッケージの入札公示:
調達パッケージ名:
[1]衛生埋立処分場の建設
[2]処分場運営用重機、収集・運搬車両等調達
予定時期:2013年9月