ボツワナ共和国・ザンビア共和国政府向け円借款契約の調印

−南部アフリカ地域の悲願である二国間橋梁の建設を通じた地域経済開発の促進−

2012年10月12日

国際協力機構(JICA)は、10月12日、JICA本部にてボツワナ共和国、ザンビア共和国両政府との間で「カズングラ橋建設事業」を対象として、対ボツワナ87億3,500万円、対ザンビア28億7,700万円、計116億1,200万円を限度とする円借款貸付契約に調印しました。 ボツワナに対する円借款供与は1995年12月以来17年ぶり、ザンビアに対する円借款供与は2009年3月以来3年ぶりとなります。

調印を終えて握手を交わすザンビアのンゴナ・ムエルワ・チベサクンダ・ザンビア共和国大使館特命全権大使(左)、ボツワナのオンテフェツェ・ケネス・マタンボ財務開発計画省大臣(その右)と、堂道秀明JICA副理事長(右端)

本事業は、ボツワナとザンビアの国境地点カズングラにおいて、ザンベジ川を渡河する約930メートルの橋梁(鉄道併用橋)、隣接するアクセス道路ならびに国境管理施設を建設するものです。本事業により、輸送の効率化を図り、南北回廊周辺地域における物流の改善および経済開発の促進に寄与することを目的としています。

近年の資源価格の上昇等を背景とし、ボツワナ、ザンビア両国は2010年、2011年とも6パーセントを超える実質GDP成長率を達成するなど、着実な成長を遂げつつあります。しかしながら、共に資源に依存した経済構造であるため、産業の多様化や投資の促進が長年の国家的課題となっています。一方、内陸国である両国では、インフラの未整備、国境での煩雑な手続き等が貿易障壁となり、輸送コストが大きいことなどが産業育成や投資環境整備の障害となっています。そのため、両国の更なる開発には、運輸回廊と呼ばれる複数の国を繋ぐ広域運輸インフラの整備を通じた国境を越えた物流の円滑化が不可欠です。

重量トラックを運ぶフェリー、2012年現在の現地の様子

ボツワナ、ザンビアを通る南北回廊は、南部アフリカ地域で最大の貨物取扱量を誇る南アフリカのダーバン港からザンビア等を結ぶ、域内で極めて重要な運輸回廊の一つです。南北回廊は、ボツワナとザンビアの国境を東西に流れるザンベジ川によって隔てられていますが、現在両国の国境地点であるカズングラでのザンベジ川の渡河手段は、合計2台のフェリーのみであり、車両輸送能力は1日約30台(大型トラック換算)と著しく制限されています。この結果、トラック運転手は国境通過に平均約30時間を要し、南北回廊における物流、さらには南部アフリカ地域の経済開発上のボトルネックとされてきました。このため、カズングラにおける南北回廊を結ぶ橋の建設は、ボツワナおよびザンビアのみならず、南部アフリカ地域諸国の長年にわたる悲願となっていました。ボツワナ、ザンビア両国政府は、今から10年以上前に橋の建設を構想し、両国政府の要請を受け、JICAはフィージビリティ調査を実施。その後、2国間での事業計画に関する調整を経て、この度の借款供与に至りました。本事業は、「アフリカの民間セクター開発のための共同イニシアティブ(EPSA for Africa)」(注1)のもとで、JICAとアフリカ開発銀行との協調融資で実施されます。

また、JICAは、本事業の持続的な効果を確保するため、以下の取り組みを行う予定です。

(1)本事業では、橋梁建設に加え、国境管理施設の建て替えを行い、税関、出入国管理、検疫等を両国で一本化するという、ワン・ストップ・ボーダー・ポスト(OSBP)化による国境通過手続き迅速化の支援も計画しています(注2)。JICAは、ジンバブエとザンビア国境のチルンドにおいて先駆的に取り組んでおり、ケニアとタンザニア国境のナマンガ、ルワンダとタンザニア国境のルスモなどでもOSBP化の支援を進めています。

(2)本事業は、サブサハラ・アフリカ初のエクストラ・ドーズド橋(注3)を建設する画期的な事業です。サブサハラ・アフリカ地域で初めて導入される設計での橋梁建設となることから、JICAは実施機関への技術支援のための専門家を派遣し、事業の着実な実施と技術移転を促進しています。

【画像】

エクストラ・ドーズド橋の完成予想図(出典:本事業詳細設計レポート)

(注1)Enhanced Private Sector Assistance for Africaの略称。EPSA for Africaとは、2005年に日本政府が発表した、アフリカの民間セクター開発を包括的に支援するイニシアティブ。JICAが実施する円借款については、アフリカ開発銀行との協調融資によるソブリン向け融資およびアフリカ開発銀行を通じたノンソブリン向け融資で構成されている。

(注2)JICAでは国境通過手続きの迅速化を目指したワン・ストップ・ボーダー・ポスト(OSBP)の取り組みを重点的に行っており、現在サブサハラ・アフリカ地域7ヶ国で技術協力を実施中。

(注3)PC(プレストレストコンクリート)橋の形式のひとつで、斜張橋と桁橋の中間の特性を持つ橋梁形式。外観的にはPC斜張橋に似ていますが、主塔が低く斜材の角度が水平に近いことが特徴。

1. 借款金額および条件

案件名 借款金額
(百万円)
金利(%/年) 償還期間
(年)
据置期間
(年)
調達条件
本体 コンサルティング・サービス
カズングラ橋建設事業(ボツワナ共和国政府) 8,735 1.2 0.01 25 7 一般アンタイド
カズングラ橋建設事業(ザンビア共和国政府) 2,877 0.01 0.01 40 10 一般アンタイド

*本事業は、AfDBとのジョイント協調融資(Accelerated Co-financing Facility for Africa: ACFA)であるため、ボツワナに対しては優先条件が適用される。

2. 事業実施機関

(1) ボツワナ
運輸通信省
(Ministry of Transport and Communications)
住所: West Gate Mall, Unit 28, Western Bypass,
Gaborone, Republic of Botswana
Tel: +267 3612091 Fax: +267 3907236

(2) ザンビア
道路開発庁(Road Development Authority)
住所: Government/ Fairley Road
P.O. Box 50003, Lusaka, REPUBLIC OF ZAMBIA
Tel: +260 211 253088/253801 Fax: +260 211 253404

3. 今後の事業実施スケジュール(予定)

(1) 事業の完成予定時期:2018年3月(施設供用開始時をもって事業完成)
(2) コンサルティング・サービス(詳細設計等)にかかる招請状送付時期:
2012年9月
(3) 本体工事に係る国際競争入札による最初の調達パッケージの入札公示:
調達パッケージ: 橋梁、国境管理施設、アクセス道路
予定時期:2013年10月(予定)

関連ファイル: