国連南南協力賞をJICAが受賞

−南南協力の先駆者、支援者としての長年の貢献が認められる−

2012年11月19日

11月19〜23日、国際連合南南協力事務所(United Nations Office for South-South Cooperation)の主催で、「南南協力Expo 2012」がウィーンで開催され、各国・国際機関の南南協力の実施責任者が一堂に会し、南南協力のあり方について話し合い、好事例を共有します。国際協力機構(JICA)は、南南協力の実施支援、優良事例や教訓の共有など40年近くの長きにわたる取り組みが評価され、今回南南協力賞(South-South Cooperation Award)を初めて受賞することになりました。また、JICAの実施している病院管理に関する三角協力(通称「きれいな病院」プログラム)が保健分野における問題解決につながる模範的な好事例としてソリューション(Solution)賞を受賞します。農業部門では、JICAがドミニカ共和国と連携してハイチの農業普及員等の能力強化を支援してきた「対ハイチ農業技術研修コースプロジェクト」が同じくソリューション賞を受賞します。

1978年12月、国連総会で開発途上国間の技術協力を推進する枠組みをまとめた「ブエノスアイレス行動計画」が承認されました。30年余りたった今日、新興国をはじめとする多くの途上国が発展を遂げる傍ら、先進国の経済は停滞し、援助資金の減少が続いています。南の途上国が他の途上国を支援する形態の南南協力は、伝統的援助国としての北の先進国から南の途上国への援助を量的にも質的にも補完するものとして、昨今は特に、その可能性に対する関心と期待が高まっています。

日本は、他の援助機関に先駆けて「ブエノスアイレス行動計画」から4年も前の1974年よりJICAを通じてアジア、中南米、アフリカで南南協力を積極的に進めてきました。ある国の開発問題の解決に際し、その国と言語や地理的条件、文化・社会的背景や発展段階が似ている国の知見や経験を活用することで効率的かつ効果的に取り組むことができると考えたからです。これまで、60ヵ国以上の開発途上国とJICAが連携し実施してきた第三国研修の受講者は累計で約5万6,000人にのぼります。

今回、ソリューション賞を受賞した「きれいな病院」プログラムは、病院管理に関するスリランカの革新的な経験を基にした三角協力(注1)で2007年から行っています。スリランカでは、日本の製造業で発展した総合的品質管理(Total Quality Management:TQM)の手法である5S(整理・ 整頓・清掃・清潔・しつけ)とカイゼン(KAIZEN)を病院管理に取り入れて、限られた人材、資機材、活動予算の中でも新生児感染症の低減などの成果をあげました。JICAはこの経験をアフリカでも容易に導入できる援助手法として体系化し、アフリカ15ヵ国(注2)の医療サービスの質向上に取り組んでおり、患者の待ち時間の削減や会計業務の向上による病院の収入増加など、具体的な成果を上げています。

JICAによる南南協力の促進・三角協力の実施は、途上国の有用な知見の活用を図るという直接的な意義にとどまりません。三角協力を通じて、最終受益国の課題が解決されるのみならず、これからドナーとして開発協力を行おうとする新興国などの途上国には開発協力の実施能力が蓄積されるのです。こうした新しいパートナーとの活動は、途上国と日本の相互理解を深めています。将来、より多くの国が効果的な開発協力を行うようになることで、世界の開発協力活動の底上げを図るという意義も同様に重要であると考え、JICAは引き続きこれに取り組んで参ります。


(注1)三角協力は、先進国や国際機関と、支援を行う途上国が連携して、支援を受ける途上国の発展・開発のための共通の案件目標を設定し協力を実施すること。
(注2)ウガンダ、エリトリア、ケニア、コンゴ民主共和国、セネガル、タンザニア、ナイジェリア、ニジェール、ブルキナファソ、ブルンジ、ベナン、マダガスカル、マラウイ、マリ、モロッコ