ラオス人民民主共和国向け円借款契約の調印

−「ASEANのバッテリー」ラオス 首都圏のピーク電力対応を支援−

2013年6月21日

国際協力機構(JICA)は、6月21日、ラオス人民民主共和国の首都ビエンチャンにて、同国政府との間で「ナムグム第一水力発電所拡張事業」を対象として55億4,500万円を限度とする円借款貸付契約に調印しました。

署名後、握手を交わす武井耕一JICAラオス事務所長(左)とサンティパブ・ポンビハン財務副大臣

本事業では、首都ビエンチャンの北方約65キロメートルに位置するナムグム第一水力発電所において、発電ユニットを1基増設することにより、ビエンチャン首都圏のピーク電力需要への対応能力の強化を図るものです。本件にかかる貸付資金は、土木工事、資機材調達およびコンサルティング・サービス(施工監理、環境社会配慮モニタリング等)費用に充当されます。

ラオスは「ASEANのバッテリー」と呼ばれ、豊富な包蔵水力を利用した電源開発を進めています。ラオスの年間総発電量の8割はタイなどの近隣国へ輸出されており、主要な外貨獲得源となっています。しかし、近年の高い経済成長を背景に国内の電力需要が伸びており、過去10年間で消費電力量は3倍以上に増加し、それに比例して近隣国からの電力輸入量も近年増加傾向にあります。さらに、ラオスの電力供給源の大部分は水力発電であることから、乾季と雨季の出力変動が大きく、特に乾季・首都圏がある中部地域のピーク時間帯における需給ギャップは著しくなっています。首都圏への安定供給、エネルギー安全保障の観点からラオスの国内需要向けの電源開発が課題となっています。

ナムグム第一水力発電所は、わが国が1960年代から無償資金協力、円借款を通じて建設を支援し、2000年代に入ってからも第1号機および第2号機の補修を支援しています。猪苗代湖の約2倍の貯水量を誇る、70億立法メートルという巨大な貯水池を有する同発電所は、一年を通して流入量が安定しているため、乾季における首都のピーク需要に応じた電源として活用することが期待されています。

このような背景から、2012年3月にトンシン・ラオス首相が来日した際に、本事業に係る資金協力が要請されたものです。本事業では既設ダムの堤体に穿孔(せんこう)を行う施工方法を採用する予定で、これにより既設ダムの運転を止めずに工事を行うことができます。この技術は、日本企業が過去30年間に30以上の事例を通じ確立したもので、競争力のある日本企業による実施も期待されます。また、既存ダムを利用した拡張であるため、事業実施による貯水池および下流等への環境・社会的な影響がほとんどないことも大きな利点です。

これまでの日本の支援と本事業の実施により、ラオス国内の安定的、持続的かつ効率的な電力供給の拡大に貢献することが期待されます。

(参考)

1. 借款金額および条件

案件名 借款金額
(百万円)
金利(%/年) 償還期間
(年)
据置期間
(年)
調達条件
本体 コンサルティング・サービス
ナムグム第一水力発電所拡張事業 5,545 0.55 0.01 40 10 一般アンタイド

2. 事業実施機関
ラオス電力公社(Electricite du Laos)
住所:  Lao-Thai Mittaphab Road Thongkang Village, Sisattanak Dist. P.O.Box 309, Vientiane Capital, Lao P.D.R.
TEL: + 856 - 21 - 451529
FAX: + 856 - 21 - 416381

3. 今後の事業実施スケジュール(予定)
・ 事業の完成予定時期:2018年6月(施設供用開始をもって事業完成とする)
・ 本体工事に係る国際競争入札による調達パッケージの入札公示予定時期:2014年6月(事前資格審査の公示)
・ 調達パッケージ名
土木工事、水力機械(取水口と水圧管路)の調達と据付、発電機器の調達と据付