2013年度第1四半期における無償資金協力の贈与契約の締結について

2013年8月1日

国際協力機構(JICA)は、2013年度第1四半期(2013年4月〜6月)において、計28件の無償資金協力の贈与契約(Grant Agreement: G/A)に調印しました。
案件の一覧については、添付情報をご覧下さい。

今般調印した主な案件の特徴は以下の通りです。

【ミャンマー連邦共和国 農業人材育成機関強化計画】

近年、急速な民主化や政治・経済改革で注目を集めるミャンマーの発展には、農業セクターは欠かせない存在です。ミャンマーでは国民の約6割が農業に従事し、農業部門はGDPの約3割を占めています。ミャンマー政府は農業をすべての産業の根幹と位置付け、近年は農業振興のために農産物の研究・開発活動にも力を入れており、ミャンマーで唯一の農業専門大学であるイエジン農業大学には、人材育成や農業研究・開発に対する高い期待が寄せられています。しかし、イエジン農業大学をはじめとする国内の教育・研修施設は、長年の閉鎖的な体制の影響もあり、老朽化が著しく、農業の近代化は阻害されてきました。

軍事政権時代に欧米が経済制裁を課す中、JICAは農業をはじめとする民衆に直接裨益する基礎生活分野を中心に協力を続けてきました。これまで農業灌漑省をカウンターパートとして、中央農業研究研修センター(1982年)、蔬菜果樹研究開発センター(1984年)、シードバンク(1998−2003年)および灌漑技術センター(1988−2004年)に対し、無償資金協力並びに技術協力を実施してきており、ミャンマーの農業研究・開発活動への協力を続けてきました。

このような流れの中で、本無償資金協力はイエジン農業大学を中心とする農業人材育成機関の実験施設の整備および実験・研修機材を整備することにより、効率的かつ多様化・高度化するニーズに対応した教育・研修・訓練を実施する体制整備を図るものです。具体的には、イエジン農業大学構内の実験講義棟の建設や、同大学・農業関連研修センターに対して実に375種類に上る農学実験機材の調達を行います。今回の協力を通じて、市場および生産者のニーズに対応した農業技術の開発・普及に携わる人材の育成に寄与することが期待されています。

 
【エチオピア連邦民主共和国 第四次幹線道路改修計画(2/2期)】

エチオピアでは、道路が少なく(道路密度は1,000平方キロメートル当たり42.60キロメートル、道路総延長は4万6,812キロメートル)、また状態も悪いため(舗装率は14.8パーセント)、国内および近隣国との円滑な物流に支障を来しています。

わが国の対エチオピア国別援助方針(2012年4月)では、食料の安全保障および工業化の観点から、農産物などの流通円滑化を目的とした運輸・交通インフラの整備・維持管理を重点課題の一つとしています。これまで、第一次〜第三次幹線道路改修計画を通じ、国道3号線アディスアベバ〜ルマメ郊外間の道路を改修しました。

本件が対象とする国道3号線は、主要幹線道路として、産油国スーダンへと繋がるアフリカ縦断回廊の一部を成しています。また、同国における農産物の約40パーセントを生産する穀倉地であるアムハラ州と、市場である首都アディスアベバを結ぶ最重要路線です。JICAは、第四次幹線道路改修計画(1/2期) (デジェン〜ルマメ郊外間〈29.0キロメートル〉)により、国道3号線の未舗装区間の改修を進めており、本件は、残る未舗装区間のデジェン〜デブレマルコス間(65.5キロメートル)のうち、ルマメ郊外〜デブレマルコス間(36.5キロメートル)の改修を行うものです。これにより国際物流路線の機能を強化するとともに、同国の社会経済活動の活性化が期待されます。

また、TICAD Vで策定された横浜行動計画においてもインフラ整備は重点分野の一つとして掲げられており、本協力は同計画の実現に資するものです。

 
【モザンビーク共和国 ナンプラ州モナポ初等教員養成校建設計画】

モザンビークでは初等教育の需要が急激に拡大する一方で、教員の供給が追いついておらず、ナンプラ州では教員一人当たりの生徒数は2011年で75人にのぼり、教員不足が大きな問題となっています。また教員不足を補うため、無資格教員の採用を続けた結果、同州では前期初等教育で20.1パーセント、後期初等教育で15.9パーセントと高い無資格教員比率となっており、正規訓練を受けていない教員の増加による教育の質の低下が懸念されています。

JICAはこれまで「シブトゥトゥニ初等教育教員養成校再建計画」(1996年)、「シャイシャイ初等教育教員養成学校再建計画」(2004年)、「シモイオ初等教育教員養成学校建設計画」(2005年)、「クアンバ教員養成学校建設計画」(2007年)を実施し、ハード面を充実させるとともに、「ガザ州初等教育強化計画プロジェクト」(2006年−2009年)、「教員研修アドバイザー派遣」(2010年−2012年)の技術協力を通じて、ソフト面でもモザンビークの初等教育の質の改善、教員の能力向上に向けた取り組みを行ってきました。

また、「ナカラ回廊開発・整備プログラム(注)」の一環として、2012年から「ナンプラ州中学校改善計画」を開始し、ナカラ回廊地域の中等教育へのアクセスおよび学習環境の改善に寄与するための支援を進めています。

本件は、ナンプラ州モナポ郡において初等教員養成校(教室・事務管理棟・学生寮等)を建設し、必要な機材を整備することにより、対象校において必要な能力を備えた初等教員が養成され、ナンプラ州における初等教育の質が改善されることを目的としています。



(注)「ナカラ回廊開発・整備プログラム」:モザンビーク北部のナカラ港からザンビアのルサカにいたる国際回廊「ナカラ開発回廊」の社会経済インフラの整備・関連人材育成、農産業開発支援、気候変動対策支援などを通じ、インクルーシブで持続可能な地域開発を支援。具体的には、「ナカラ回廊経済開発戦略策定支援プロジェクト(開発調査型技術協力プロジェクト)」を通じ、同地域の包括的な開発計画の策定を支援しているほか、日本・ブラジル・モザンビーク三角協力によるアフリカ熱帯サバンナ農業開発プログラム(ProSAVANA)を通じた農業開発支援のための協力や、「ナンプラ・クアンバ間道路改善事業(円借款)」、「イレ・クアンバ間道路橋梁整備詳細計画策定(無償資金協力)」、「ナンプラ州中学校改善計画(無償資金協力)」等の社会・経済インフラ整備事業を有機的に連携させ、産業開発・雇用促進を通じた地域開発への貢献を進めています。