ミャンマー「少数民族のための南東部地域総合開発計画プロジェクト」合意文書締結

−ミャンマーの少数民族州で、はじめての地域総合計画策定−

2013年11月13日

署名式の様子。トゥエ・ラ国境省国境地域少数民族開発局長(右)、テ・ナイン・ウィン国境大臣(中央)、田中雅彦JICAミャンマー事務所長(左)

国際協力機構(JICA)は、11月7日、「ミャンマー少数民族のための南東部地域総合開発計画プロジェクト」実施にかかる政府間技術協力プロジェクト合意文書(Record of Discussion:R/D)を、ミャンマー連邦国境省(Ministry of Border Affairs)との間で署名しました。

60年以上にわたる紛争の影響により、カレン民族が中心となるカレン州は、インフラの破壊や人々の流出、民族間の関係悪化、開発の停滞など、さまざまな問題を抱えています。本プロジェクトは、カレン州の紛争の影響を受けた人々や、その隣に位置するモン民族中心のモン州における貧困層に対して、水・道路・教育施設などの生活基盤整備、雇用機会の創出など緊急的ニーズに応えつつ、少数民族の意向を反映した中長期的な安定につながる南東部地域総合開発計画の策定を、中央政府の国境省、カレン州政府、モン州政府と共に行うものです。

ミャンマーには100以上の少数民族がいるといわれており、国境地域の7州においては主要民族であるビルマ族を上回る数の少数民族が居住しています。2011年3月に発足した新政権が民主化・国民和解に向けて精力的に取り組んでいる中、抗争を続けてきたカレン民族同盟(KNU)と2012年1月に停戦合意に至ったことの意味はとりわけ大きく、これを後戻りさせることなく、最終的な和平合意に着実につなげていく必要があります。

長年の戦闘により土地を追われてタイ側へ流出し、国境沿いの難民キャンプで生活している人々はおよそ14万人、ミャンマー国内に留まる避難民も数十万人いるといわれています。政治解決を後押しするためにも、紛争被災者とそれ以外のコミュニティーや民族間の格差解消をはじめとする構造的な問題を改善していくことは重要で、ミャンマーが国家として持続的かつ安定して発展するために不可欠といえます。

また、新政権になってから州政府の体制が整備され、ボトムアップの開発計画策定が指示されています。軍政時代はこのようなアプローチで開発が推進されていなかったため、州政府が中核となって参加型の開発を推進するための知見は、圧倒的に不足している状況です。

JICAが少数民族州で州政府と共に地域総合開発計画を策定する支援は、ミャンマーで初めての取り組みとなります。本プロジェクトでは、中央政府、州政府、地域に住む少数民族や帰還してくる少数民族の人々と一緒に検討するプロセスを提示し、「地域経済の発展」と「少数民族と政府の信頼醸成」という、2つの重要な課題に応えられるよう、カレン州とモン州の地域総合開発計画を策定することを目指しています。この手法やアプローチが良い事例となり、他の少数民族州においても少数民族の意向を反映した開発推進に貢献することが、ミャンマー政府からも期待されています。