モロッコ王国向け円借款契約の調印

−基礎教育分野の改革・改善支援を通じて教育格差の是正に寄与−

2013年12月9日

国際協力機構(JICA)は、12月6日、モロッコ王国の首都ラバトにて同国政府との間で「基礎教育セクター支援事業」を対象として88億9,900万円を限度とする円借款貸付契約に調印しました。

調印式の様子

本事業は、モロッコ政府が進める基礎教育のアクセス、質、およびガバナンスに関する政策・制度の改革・改善、および教育施設整備への支援を通じて、同国の基礎教育セクターにおける格差是正を図り、もって同国の社会開発および経済安定に寄与することを目的としています。本件に係る貸付資金は、同国政府がこれまで進めてきた教育分野の政策・制度改革の継続、促進するための財政支援および地方農村部の寮付中学校施設の新設費用等に充当されます。

モロッコ政府は、1990年代末から基礎教育(初等教育および前期中等教育までの義務教育)の普及に取り組んだ結果、初等教育純就学率は1999年の71パーセントから2011年には96.6パーセント、前期中等教育純就学率は2005年の37パーセントから2011年の53.9パーセントに大幅に改善しました。一方で、(1)地域格差および男女間格差、(2)前期中等教育の普及、(3)教育の質、(4)教育行政のガバナンスが問題となっており、モロッコ政府は2009年から2012年まで多くの援助機関の支援の下で「緊急教育プログラム」を通じて政策・制度の改革を実施。JICAは同プログラムにおいて「政策アクション」を設定し、同国政府との政策対話を続けてきました。本事業は上記「政策アクション」の達成を踏まえて、同国の政策・制度面の改革を評価するとともに、同分野のさらなる改革・改善を支援する事を目的として世界銀行と協調して財政支援を行うものです。さらに、就学率等の改善が必要な地域の農村部において寮付中学校の建設を行う事で、同国の基礎教育に対するアクセスと質の改善に寄与することが期待されています。

JICAはこれまで同国の基礎教育セクターに対し「地方基礎教育改善計画調査(技術協力、2003〜2005年)」、ボランティア派遣および「地方部中学校拡充事業(円借款、89億3,500万円、2004〜2011年)」を実施しており、教育へのアクセスとその質の改善に貢献し、モロッコ政府から高い評価を得てきました。特に、上記技術協力でのパイロット事業は、退学率減少や教師の行動様式の改善に寄与し、これまで日本が培ったボトムアップ型の学校運営手法等の成果が「緊急教育プログラム」の中に反映される等、日本発の支援がモロッコの教育政策として取り入れられており、本事業はこれまでの日本の支援をさらに定着させると同時に全国的に促進・普及させる事に寄与するものです。

また、本事業は「アラブの春」を受けてG8で進められているドーヴィル・パートナーシップにおいて、わが国が打ち出した「人づくり」および「公正な政治・行政の運営」、TICAD V横浜行動計画上の「万人が成長の恩恵を受ける社会の構築」そして、国際公約であるミレニアム開発目標(普遍的初等教育の達成、2015年)の達成に貢献します。

(参考)

1.借款金額および条件

案件名 借款金額
(百万円)
金利(%/年) 償還期間
(年)
据置期間
(年)
調達条件
本体 コンサルティング・サービス
基礎教育セクター支援事業 8,899 0.25 30 10 一般アンタイド

2.事業実施機関
国民教育・職業訓練省(Ministère de l'Éducation Nationale et de la Formation Professionnelle)
住所:Place Annasr, Bab rouah- Rabat Kingdom of Morocco
TEL:+212-537-687221、FAX:+212-537-772046

3.今後の事業実施スケジュール(予定)
(1)事業の完成予定時期:
プログラム型融資:2013年12月 (貸付完了時をもって事業完成)
プロジェクト型融資:2016年10月 (施設供用開始時をもって事業完成)
(2)コンサルティング・サービスにかかる招請状送付予定時期:本事業においてはコンサルタントの雇用予定なし。
(3)本体工事に係る国際競争入札による最初の調達パッケージの入札公示:国際競争入札の予定なし(すべて国内競争入札)