インドネシアの産業人材育成を支援し、日本企業の現地進出促進にも貢献

−海外投融資事業、インドネシアで初の案件に調印−

2014年3月17日

国際協力機構(JICA)は、3月13日、インドネシアの大手民間商業銀行であるインドネシア国際銀行(PT Bank International Indonesia Tbk:BII)との間で、「インドネシア国産業人材育成事業」を対象とした、融資契約に調印しました。本件は、2012年10月に再開されたJICAの海外投融資業務において、初めてインドネシアで実施される事業です。

本事業は、インドネシアの現地企業(Pt. Japan Indonesian Economic Center:PT.JIAEC社)が優秀な産業人材の育成を行うために必要となっている校舎建設等の事業拡大のための資金を、JICAが海外投融資を通じて支援するものです。支援の実施にあたっては、JICAからBIIに対して融資が行われ、同銀行からPT. JIAEC社に転貸が行われます。

インドネシアは長期開発計画(2005〜2025年)で、自立した先進的で公平かつ繁栄した国家づくりを基本理念として掲げていますが、そのために現時点における克服すべき課題の一つとして、インフラの不足とともに、産業を支える人材の不足を挙げています。特に熟練技術者の不足が従来から指摘されており、製造業成長のために克服すべき課題とされています。そうした状況の中、インドネシア政府は労働者の海外派遣による技能研修を積極的に推進しており、わが国が実施する技能実習制度を通じた技術者育成も、積極的に利用するようインドネシア国内で奨励しています。

現在、日本の技能実習制度のもと、インドネシアから、技能習得および人材育成を目的として、毎年1,800〜2,800人程度の技能実習生が日本に派遣されています。技能実習生は、日本の中小企業等で2〜3年間の実習を受け、帰国後、インドネシアの産業発展に貢献することが期待されています。他方、技能実習生が日本滞在期間中に技能を十分習得するためには、派遣前の十分な語学教育と職業訓練が必要であることが、日本の受け入れ現場からも指摘されています。

これに対応すべく、PT.JIAEC社は、技能実習生・技術者に対する派遣前の日本語および職業訓練を実施しており、受け入れ側の日本の企業からも高い評価を得ています。同社の派遣前訓練を受け、日本での技能実習を経てインドネシアに帰国した実習生・技術者は、同国のさまざまな分野で活躍しています。また、PT.JIAEC社は、中小企業をはじめとする日本企業と幅広いネットワークを構築しており、これら日本での受け入れ企業のニーズにきめ細かく対応し、経営やカリキュラム等に反映しています。今回のJICAの支援は、PT.JIAEC社によるこれらの事業をさらに拡大し、日本の技術・経験を得た優秀な現地産業人材の一層の拡充および質の向上を図るものです。本事業が、インドネシアにおける産業人材育成に貢献することはもとより、現地の日本企業の投資環境整備にも貢献することが期待されます。

一般的に、日本企業がインドネシアに進出する際、特に日本の中小企業にとっては現地での人材の獲得が経営上の大きな課題となっているといわれます。本事業で支援するPT.JIAEC社は、日本での実習を終えて帰国したインドネシア人を、現地に進出する日本企業に紹介する事業に今後力を注いでいくこととしており、中小企業をはじめとする日本企業の海外展開促進にも寄与することが期待されます。

現在、日・インドネシア両国政府間の協力により「ジャカルタ首都圏投資促進特別地域(MPA: Metropolitan Priority Area)」が推進されており、インドネシア経済を牽引するジャカルタ首都圏のさらなる成長を促すため、インフラ不足の解消と投資環境整備の整備をODA事業等で推し進めています。他方、インドネシアでは賃金上昇等に伴う成長の減速(中進国の罠)が懸念される中、高水準の産業人材の育成は成長を持続・加速化する上で重要な課題に対処するものであり、本事業はこの観点においても、日本企業の投資環境整備、および日系企業の現地進出の促進を通じたインドネシアの製造業成長に資するものです。

本事業により、高い技能を習得した人材がより一層輩出され、ひいてはインドネシアの発展に寄与することが期待されます。