ベトナム社会主義共和国向け円借款契約の調印

−インフラ整備を通じた国際競争力強化と脆弱性への対応−

2014年3月19日

国際協力機構(JICA)は、3月18日、ベトナム社会主義共和国政府との間で、総額864億2,500万円(計3件)を限度とする円借款貸付契約に調印しました。

ベトナムは、1990年代以降順調に経済成長を続けており(参考1)、国家目標であった2010年までの低中所得国入りを達成するとともに、貧困削減の実績を挙げてきました(貧困率は1998年の37.4パーセントから2010年には14.2パーセントまで低下〈注〉)。2015年にはASEAN域内関税の撤廃が予定される中、引き続き持続的な経済成長を遂げるためには、インフラ整備を通じた投資環境の整備に加え、金融システムの改善等の経済構造・行政制度の改革を通じて中長期的にマクロ経済の安定化を図り、国際競争力を強化する必要があります。他方で、都市部に比べて貧困率が高く全人口の約7割を占める農村住民の所得向上や、都市化に伴い悪化する公衆衛生環境の改善、世界で最も影響を受けやすい国の一つと言われる気候変動の影響緩和・適応といった、脆弱性への対応も必要です。

(注)出所:General Statistics Office “Vietnam Living Standards Survey”

このような状況のもと、今次円借款では、主に投資環境を整備する観点から、ベトナムの競争力強化に不可欠な経済インフラ整備を支援します。主な特徴は以下の通りです。

(1)南北高速道路建設事業(ダナン−クアンガイ間)(II)および同事業(ホーチミン−ゾーザイ間)(III)は、ベトナム中部、南部の中核都市であるダナン、ホーチミン市周辺において、高速道路を整備するものです。両市周辺は、工業団地や輸出加工特区等の物流・生産拠点が多数整備され、経済活動が活発化することに伴い、交通量の増大によって交通渋滞が深刻化・慢性化し、効率的な社会経済活動が阻害されていることから、本事業は交通・物流の円滑化を図るものです。

(2)ラックフェン国際港建設事業(II)は、ベトナム北部ハイフォン市において、大型コンテナ船の入港が可能となる国際大水深港を建設するとともに、周辺基礎インフラを整備することによって、増大する貨物需要や海運市場における船舶の大型化への対応を図り、北部の経済発展、国際競争力強化に寄与するものです。

JICAは今後とも、円借款、技術協力や無償資金協力などの多様なODAスキームを一体的に運用しながら、ベトナムの開発課題に対して機動的に取り組んでいく方針です。


<参考1> ベトナム:成長パフォーマンス

【画像】

(出所)IMF World Economic Outlook Databaseより作成

<参考2>借款金額および条件

案件名 借款金額
(百万円)
金利(%/年) 償還期間
(年)
据置期間
(年)
調達条件
本体 コンサルティング・サービス
(1)南北高速道路建設事業(ダナン-クアンガイ間)(II) 30,008 1.4 0.01 30 10 一般アンタイド
(2)南北高速道路建設事業(ホーチミン-ゾーザイ間)(III) 18,459 1.4 0.01 30 10 一般アンタイド
(3)ラックフェン国際港建設事業(II) 37,958 0.1 0.01 40 10 日本タイド

※(3)はSTEP(本邦技術活用条件)を適用。
※ なお、調達プロセスの公正性と競争性を確保するため、ベトナム政府とJICAの協議を経て特定された案件について、ベトナム側が調達手続の第三者機関等による事後監査を実施することとするが、同監査費用は円借款に含めない。


(1)南北高速道路建設事業(ダナン−クアンガイ間)(II)
North-South Expressway Construction Project (Da Nang – Quang Ngai Section)(II)

(事業の背景と必要性)
ベトナム社会主義共和国中部地域における最大の都市ダナン市と隣接するクアンナム省、クアンガイ省には、輸出加工特区等の物流・生産拠点の整備が進んでおり、日本企業の進出も増えています。近年の経済発展に伴い、同地域における交通量は急激に増加しており、今後もさらなる増加が予想されています。また、交通特性の変化も著しく、自家用車や大型トラックが増加傾向にあるため道路の劣化が進み、異なる車種の混在が、交通事故の一因ともなっています。こうした状況の中、効率性・安全性・快適性を備えた高速道路の建設が喫緊の課題となっています。さらに、ダナン市は、ラオス、タイを通りミャンマーまで続く東西経済回廊の東の物流拠点となっていることから、本事業は、同国及びメコン地域の東西南北を結ぶ国際物流の主要道となる区間として、中部地域の経済振興、さらには国土の均一な発展という点でも重要な意味を持っています。

(事業の目的と概要)
本事業は、ベトナム南北高速道路網のうち、優先路線の一つであるダナン−クアンガイ間の高速道路を建設することにより、中部地域の物流・生産拠点であるダナン市周辺において増加する交通需要への対応、交通・物流の効率化および交通安全の促進を図り、もってダナン市を含むベトナム中部地域の経済成長促進・国際競争力強化に寄与することを目的としています。

本事業は世界銀行との協調融資の枠組みのもと、第I期(2011年6月承諾、159.12億円)の円借款を供与済であり、今次円借款は第II期の供与となります。

借款資金は、高速道路規格の道路建設に必要な土木工事や資機材の調達およびコンサルティング・サービス等に充てられます。

(事業実施機関)
ベトナム高速道路公団(Vietnam Expressway Corporation)
住所: 4th floor, MITEC Building, Lot E2, Cau Giay Town, Yen Hoa Ward, Hanoi, Viet Nam
TEL: 84-4-6430273 FAX: +84-4-6430270

(今後の事業実施スケジュール〈予定〉)
(i)事業の完成予定時期:2017年7月(施設供用開始時をもって事業完成)
(ii)コンサルティング・サービス:雇用済み
(iii)本体工事:契約済み。


(2)南北高速道路建設事業(ホーチミン−ゾーザイ間)(III)
North-South Expressway Construction Project (Ho Chi Minh City - Dau Giay Section)(III)

(本計画の背景と必要性)
ベトナム社会主義共和国における商工業の中心地であるホーチミン市およびベトナム南部地域には、数多くの工業団地が整備されており、日本企業の進出も目立っています。近年の急速な経済発展に伴い、交通量の増加が著しく、渋滞が深刻化している現状に加えて、新国際空港建設や港湾新設も計画されていることから、将来的にはさらに交通需要が増えていくことが予測されています。

現在、この地域の基幹道路としては国道1号線および51号線がありますが、すでに交通量が既存道路の許容容量の限界に達しています。また、異なる車種の混在による安全性の低下、他の道路網の未整備等の問題を抱えています。こうした中、渋滞を緩和させ、工業団地と空港・港湾等を結ぶ高速道路整備による交通の効率化が必要とされています。

(事業の目的と概要)
本事業は、ベトナム南北高速道路網のうち、優先路線の一つであるホーチミン−ゾーザイ間の高速道路を建設することにより、国道1号線および51号線において増加する交通需要への対応、物流の効率化および交通渋滞の緩和を図り、もってホーチミン市内およびベトナム南部地域の経済成長促進・国際競争力強化に寄与することを目的としています。

本事業については、アジア開発銀行との協調融資の枠組みのもと、第I期(2008年3月承諾、166.43億円)および第II期(2011年6月承諾、250.34億円)の円借款を供与済みであり、今次借款は3期目の供与となります。

借款資金は、高速道路規格の道路建設に必要な土木工事や資機材の調達およびコンサルティング・サービス等に充てられます。

(実施機関)
ベトナム高速道路公団(Vietnam Expressway Corporation)
住所: 4th floor, MITEC Building, Lot E2, Cau Giay Town, Yen Hoa Ward, Hanoi, Viet Nam
TEL: 84-4-6430273 FAX: +84-4-6430270

(今後の事業実施スケジュール(予定))
(i)事業の完成予定時期:2016年7月(ITS機器の設置完了時をもって事業完成)
(ii)コンサルティング・サービス:雇用済み
(iii)本体工事:契約済み


(3)ラックフェン国際港建設事業(II)
Lach Huyen Port Infrastructure Construction Project (II)

(事業の背景と必要性)
ベトナム北部海岸沿いのハイフォン市・ハロン市から首都のハノイまでの地域には、日本を含む多数の外国企業が進出しており、北部の経済発展に貢献しています。円借款で改修および拡張を実施したハイフォン港とカイラン港は、これら外国企業の活動を支えてきました。しかし、今後の拡張計画を含めても、両港におけるコンテナ取り扱い可能量の合計は4,000万トンにとどまる一方、経済成長に伴い、ベトナム北部のコンテナ貨物の需要は、2015年には4,200万トン、2020年には5,900万トンに増大すると見込まれています。また、近年の国際的な海運市場では、大型コンテナ船が増加傾向にあることから、ベトナム北部地域の国際的な物流拠点としての機能を高めるためには、大型コンテナ船を受け入れるのに十分な水深を有する港を整備する必要があります。

(事業の目的と概要)
本事業は、ハイフォン市東部のラックフェン地区に国際大水深港を建設するとともに、周辺基礎インフラを整備することにより、ベトナムにおいて増大している貨物需要や海運市場における船舶の大型化への対応を図り、北部地域のみならず、同国の経済発展促進・国際競争力強化に寄与するものです。

本事業に対しては、第I期(2011年11月承諾、港湾部分・道路橋梁部分 計209.95億円)の円借款を供与済みであり、今次円借款は第II期分の供与となります。借款資金は、港湾および周辺基礎インフラ(アクセス道路・橋梁を含む)の建設に必要な土木工事や資機材の調達およびコンサルティング・サービス等に充てられます。

なお、本事業では本邦技術活用条件(STEP)を適用し、日本の技術を生かして、工期の短縮および安全性の向上を図る予定です。


(事業実施機関)
港湾:
ベトナム海運総局(Vietnam Maritime Administration)
住所:8 Pham Hung Road, Hanoi, Viet Nam
TEL:84-4-3795-0927 FAX:84-4-3768-3058

道路・橋梁:
交通運輸省(Ministry of Transport)
住所:80 Tran Hung Dao Street, Hanoi City, Viet Nam
TEL:84-4-3942-0197 FAX:84-4-3942-3291

(今後の事業実施スケジュール(予定))
(i)事業の完成予定時期:2017年12月(施設供用開始時をもって事業完成)
(ii)コンサルティング・サービス:雇用済み。
(iii)本体工事に係る国際競争入札による最初の調達パッケージ入札公示:契約済み

(JICA情報提供窓口)
本事業に関する情報は、下記窓口にお問い合わせください。

国際協力機構ベトナム事務所 ラックフェン国際港建設事業案件情報窓口
(Contact Point for Lach Huyen Port Infrastructure Construction Project, JICA Viet Nam Office)
住所:16th Floor, Daeha Business Center, 360 Kim Ma Street, Ba Dinh District, Hanoi, Viet Nam
TEL:84-4-3831-5005 FAX:84-4-3831-5009