ビル&メリンダ・ゲイツ財団と、ナイジェリアにおけるポリオ撲滅に向けた連携の合意文書を締結

−円借款に民間資金を活用し、ナイジェリア全土でのワクチン接種を支援−

2014年9月17日

署名式の様子。 JICA(東京)とゲイツ財団(米国)をテレビ会議で接続

ゲイツ財団 グローバル開発プログラム・プレジデント クリストファー・エライアス博士(C)BMGF/Rachel Lonsdale

JICA加藤宏理事

JICAの加藤宏理事とビル&メリンダ・ゲイツ財団(以下、「ゲイツ財団」)のグローバル開発プログラム・プレジデントであるクリストファー・エライアス博士は本日、ナイジェリアにおけるポリオ撲滅対策を支援するための合意文書(債務承継契約)を締結しました。

これに先立ち、今年5月26日に、JICAは、ナイジェリアのポリオ撲滅のための取り組みに対して、ナイジェリア連邦政府との間で82億8,500万円を限度とする円借款貸付契約に調印しました。本事業は、ポリオ・ワクチンの調達を通じ、ナイジェリア全国における5歳未満児に対するポリオ・ワクチンの円滑な接種を図り、同国のポリオの早期撲滅に寄与することを目的としています。貸付資金は、ポリオ・ワクチン4億7,600万ドースを調達する資金として活用されます。

本事業は、今後事業成果が達成されれば、ゲイツ財団が、ナイジェリア政府に代わって、JICAに対する円借款の返済を肩代わりする「ローン・コンバージョン」という手法を採用します。この画期的な手法により、ナイジェリア連邦政府によるポリオ撲滅事業への積極的取り組みを、財政的負担を強いることなく支援することができます。JICAは、2011年にパキスタンにおけるポリオ撲滅事業において、同様の手法を採用しており、今回が2回目の適用となります。

アフリカで最大の人口と経済規模を有するナイジェリアは、世界の中でも屈指の経済成長著しい国の一つですが、妊産婦死亡率および5歳未満時児死亡率は他のアフリカ諸国よりも劣悪な水準にあります。特に、ナイジェリアは、アフリカ大陸で唯一のポリオ・ウイルス常在国(未撲滅国)で、世界でも、パキスタン、アフガニスタンと並び、常在国3ヵ国の一つとされています。今年1月から4月だけで、ポリオ常在国を含む10ヵ国で患者が確認され、国境を超えて広がるケースも出ているとして、今年5月5日に、世界保健機関(WHO)は「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言しました。

ナイジェリア連邦政府は2012年より「ポリオ国家緊急行動計画」の策定や大統領タスクフォースの設置を進め、早期撲滅のためにさまざまな活動を展開してきました。その結果、ナイジェリアでのポリオ感染数は2012年の122件から2013年の53件、さらに、2014年は、9月3日時点で6件と、ここ数年で確実に減少しています。これら感染数の減少は、ポリオの感染拡大阻止における大きな前進を意味しますが、他方、2014年から2015年にかけての資金需要ギャップが大きな問題となっています。

日本が長年にわたり世界中で展開してきたポリオ撲滅に対する支援は、世界銀行との協調融資、ワクチン調達における国連児童基金(UNICEF)、ポリオ撲滅キャンペーンの実施における世界保健機関(WHO)といったような関係機関との連携などにより実施され、世界ポリオ撲滅イニシアティブ(Global Polio Eradication Initiative: GPEI)の枠組みに沿って行われています。JICAは、こうした枠組みと協調を継続し、ナイジェリア政府によるポリオ根絶のための取り組みを支援します。


【関連機関紹介】

・世界ポリオ撲滅イニシアティブ(GPEI)
世界ポリオ撲滅イニシアティブ(GPEI)はWHO、ロータリー財団、UNICEFおよび米国疾病予防管理センター(USCDC)をはじめとする国際機関や各国政府による官民パートナーシップ。1988年以来、2,000万人以上のボランティアが世界中でポリオを根絶するという目標のためGPEIを支援してきた。

・ビル&メリンダ・ゲイツ財団
「すべての生命の価値は等しい」という理念の下、ビル&メリンダ・ゲイツ財団はすべての人が健康的で生産的な生活を送れるよう活動している。開発途上国においては健康の増進や、飢餓や極度の貧困から脱出する機会を提供するための支援を重点的に展開している。アメリカ国内においては、すべての人々——特に貧困層の人々が教育機会や通常の生活を送る機会を得るための支援を行っている。ワシントン州シアトルに本部を置き、ビル・ゲイツ、メリンダ・ゲイツ夫妻とウォーレン・バフェットの指揮の下、スー・デスモンド-ヘルマンCEOおよびウィリアム・H・ゲイツ・シニア共同議長が運営にあたっている。